ドリームガールズ+D Style 最新シネマ情報

» 2007年01月15日 00時00分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
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1960〜70年代のモータウン・サウンド隆盛期を背景に、スターを夢見るエフィー、ディーナ、ローレルの女性ボーカルグループ、ザ・ドリームズが時代の寵児になっていく……そんな美談だけではなく、煌びやかなショー・ビジネス界の裏側は、ドロドロ愛憎渦巻く弱肉強食の世界でもありました、というもの。

オリジナルは人気アーティスト、ダイアナ・ロス率いるザ・シュープリームスのサクセス・ストーリーを元にしたブロードウェイ・ミュージカル。1981年の初演から4年に渡って1522回もの公演が行われ、1982年にはトニー賞13部門にノミネート、6部門に輝いた傑作である。

この作品、アカデミー賞の大本命というから、主演のビヨンセかと思っていたら、助演のジェニファー・ハドソンという、どえらい新人だった。

バック・コーラスから、ピンでの本格デビューが決まったザ・ドリームズ。ところが、実力はもちろん見た目も重要ということで、エフィーに代わって美貌のディーナがリードボーカルの座へ。栄光とは裏腹に、音楽性の変化、膨れ上がるエゴ、やがてグループ内の確執も表面化し、エフィーは脱退を余儀なくされる。

ショー・ビジネス界の光と影。“光”の部分を担うのがディーナ役のビヨンセである。着せ替え人形のごとくクルクル変わる衣裳も華やかに、さすが歌姫のオーラと貫禄十分。でも、それ以上に、“影”のエフィーを演じたジェニファー・ハドソンの圧倒的な存在感が光る。人一倍ブライドの高い彼女は、怒りと悲しみをド迫力の歌唱力とボディで表現。その生命感漲るパフォーマンスは、涙が出るほど感動なのだ。

彼女、アメリカで大ブーム中のオーディション番組「アメリカン・アイドル」の出身者だが、上位3位にすら選ばれなかったという。いやはや、こんな新人がゴロゴロしているかと思うと、ハリウッドの懐の深さに感心しきり。

キャスト、セット、衣裳と、何から何までゴージャスという言葉がピッタリの本作。これぞエンタメの真髄、ぜひ大スクリーンで味わって欲しい。ラストは恍惚感いっぱいに劇場を後にできるはずだ。

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ドリームガールズ

2006年/アメリカ/130分

監督・脚本:ビル・コンドン

出演:ジェイミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディ・マーフィ、ダニー・グローバー、ジェニファー・ハドソン、アニカ・ノニ・ローズ

2007年2月17日、日劇3ほかにて全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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