「ケータイ×ファッション」という風潮――「PANTONEケータイ」から自分に合う色を学ぶ+D Style News(1/2 ページ)

» 2007年02月26日 12時06分 公開
[塙恵子,ITmedia]

 2月23日、ソフトバンクモバイルの新機種“PANTONEケータイ”812SHの発売を記念したイベント「20 COLORS」が、女性ブロガーを対象に開催された。同端末の最大の特徴は20色という前代未聞のカラーバリエーション。本イベントは、同端末のコンセプトである「色とファッション」をテーマとしたもので、カラーアナリストの高野美穂氏によるトークやアトラクションを用意。女性ばかりが集まった会場では、色鮮やかな端末とともに華やいだ雰囲気でイベントが行われた。

 「記者の立場で取材してほしい」――イベント開始前、参加者の女性ブロガー向けにこんなアナウンスが流れた。通常、このようなイベントでは報道関係者以外の撮影や録音はNG。だが、今回のイベント参加者は流行に敏感な女性ブロガーとあって、これを宣伝の一貫とする狙いだ。「ぜひともケータイで撮影をし、自身のブログにイベントの内容を載せてください」と参加者に促す異例のイベントとなった。

 まず、高野氏とともに、ソフトバンクターミナル企画部の大道伸氏が登壇。PANTONEケータイの開発裏話を語った。

PANTONEケータイができるまで

photo 左からソフトバンクターミナル企画部 大道伸氏、カラーアナリスト高野美穂氏

 大道氏は「ケータイって、みなさんにとって身近なものですよね。単なる“もの”というよりは、“ファッションアイテム”なのではないかとわれわれは考えます」と始める。

 「(ボーダフォンから)ソフトバンクに変わって、“今までと違うことをやりなさい”という環境に変わりました。そこで世界でわれわれしかできないことをやろうと。それからカラーというテーマを決め、おもしろい色を作るというよりも、みんなが驚くぐらいの色数を導入しようじゃないかと企画が生まれたんです」(大道氏)。

 「好きなデザインがあっても好きな色がないというお客さまもたくさんいらっしゃったのではないかと思う」と語る大道氏の言葉に、うなずく参加者も多かった。(メーカーである)シャープと検討を重ね、ようやく20色ならばこれまでできなかったことができるという段階まできた。

 ただ、たくさんの色を出すだけではおもしろくない。自分たちがいつも使っているツール「PANTONE(色見本)」の名前と色を、このまま携帯電話に採用したら、おもしろいのではないか。方向性は決まった。しかし通常3色から5色。20色を作り出すには、大変な苦労があった。大道氏は、次の3つのチャレンジを行ったと話す。

 第1に「ソリッドカラー(チップそのままの色)」をそのまま使った点。「通常ケータイは、高級感を出したり、かわいらしく見せたりするため、ソリッドカラーに混ぜものをします。ケータイの塗色はものすごく薄く塗られているので、ケータイでソリッドカラーをそのままを出すのは、奥行きや深みが感じられず、安っぽい感じに仕上がってしまう」と、ソリッドカラーの難しさに、一度諦めかけたことを明かす大道氏。しかし「メーカーや塗装の業者の協力によって、楽しみながら作ることができた」と、苦労の末に完成したソリッドカラーには満足気。

 次の悩みは時間の壁。通常3色程度のカラーバリエーションしかないケータイと同じスケジュールで、20色作らなければならない。部品それぞれが違うメーカーによって作られているため、色がなかなか合わないのだ。当初キーパッドも開発の段階では、同じ色にしていなかったという。色を合わせるのが難しいので、少しでも同じ色の部品を減らしたいところだが、妥協は許されない。その苦労が形となり「金属の色合いで不調和なところがない。デザイナーにも受ける理由ですね」と高野氏もその仕上がりを絶賛する。

photo 20種類の色の並びはいつも同じ

 端末を入れるだけの「箱」にもこだわる。PANATONEとわかるようにしたい。そのため、ソフトバンクショップでは、箱自体もディスプレイしている。また20種類の色の並び方(広告もポスターもお店も)はどれも一緒の組み合わせとなっている。「どの色から始まってどの色から終わる。それぞれの色がきれいに見えるように、並び方を検討に検討を重ねました」と細部に渡るこだわりを披露した。

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