「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」+D Style 最新シネマ情報

» 2007年08月31日 10時20分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo (C) 2007 Sukiyaki Western Django film partners All rights reserved.

 「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」という人を喰ったようなタイトルからしてステキな三池崇史監督の最新作。出演者は友情出演のクエンティン・タランティーノ以外はすべて日本人、舞台は無国籍な雰囲気漂う日本、内容はマカロニ・ウエスタン、主題歌は演歌の大御所・北島三郎、そしてセリフは「インプリント〜ぼっけぇ、きょうてぇ〜」(05)に続き全編英語!と、ごった煮感と自由な発想が楽しい痛快和製ウエスタンの誕生である。

 壇ノ浦の合戦から数百年後。埋蔵金が眠ると噂される寒村の村“湯田(ユタ)”では、義経率いる源氏ギャング(白軍)と清盛率いる平家ギャング(赤軍)が村人も巻き込み、お宝争奪戦を繰り広げていた。そこへ、さすらいのガンマンが流れ着く。華麗な銃さばきで、飛んできた矢をも撃ち落とすそのスゴ腕ぶりに、両ギャングは用心棒として彼を取り合い、血で血を洗う壮絶なバトルが勃発する。

 平家vs源氏の激突に悲恋も絡んでくる。しかもお腹に風穴が開き、棺桶からガトリング銃が飛び出し、清盛がヘンリー6世の薔薇戦争に影響されるという荒唐無稽ぶり。既成概念がまるっきり通用しないとんでもない展開ながら、新しい世界観を構築しているあたり、三池マジック、恐るべし!

 役者陣が全員生き生きしているのも本作の魅力。ガンマンを演じた伊藤英明がハマっていたのは意外だったが、それ以上に注目したいのが刀を振り回す義経役の伊勢谷友介。若かりし頃のジュリーを思わせるほどの色っぽさだ。コメディリリーフの香川照之が「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムばりの怪演をみせているのも見逃せない。あと木村佳乃は何かが吹っ切れたのか、「さくらん」に続き強烈な印象を放っていた。だが、一番おいしかったのは桃井かおり。二丁拳銃に跳んで、跳んで、跳んでのアクションを披露し、惚れ惚れするほどカッコイイ。

 サブちゃんが「ジャンゴ〜さすらい」を朗々と歌い上げるエンディングロールも最高。ノルかノレないかで好き嫌いが真っ二つに分かれそうだが、とりあえずクールな画と役者たちの本気印の熱演を見るだけでも一見の価値あり!

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(C) 2007 Sukiyaki Western Django film partners All rights reserved.

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

監督・脚本:三池崇史/脚本:NAKA雅MURA

出演:伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、石橋貴明、木村佳乃、香川照之、桃井かおり

配給:ソニー・ピクチャーズ

2007年9月15日より渋谷東急ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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