「今、北京旅行のいちばんのお勧めは、オリンピックの後に、オリンピック関連の施設をめぐるプランです。例えば、メインスタジアムの“鳥の巣”や、国家水泳センター“水立方”などは、オリンピックの期間中は警備が厳しく、観戦チケットのない一般の観光客は近くまで入れません。でも、オリンピックが終わった後なら、一般にも開放され、壮大なスケールの施設や建築をじっくり味わうことができます」。こう語るのは、中国旅行に強い旅行会社「悠遊ワールド」の代表取締役社長 張晞さんだ。 「これまでの北京観光のイメージといえば、万里の長城や故宮、天安門などの史跡めぐりが主体でした。でも、今はそれだけではありません。現在の中国を象徴する新しい観光名所が続々と生まれつつあります。“鳥の巣”と“水立方”のほかには、国家大劇院も必見です」と張さんは続ける。 気になる料金はいくらなのか。夏休み期間中は高いと思われがちだが、実は8月後半から9月にかけての成田/北京の往復の航空券にはまだ余裕がある。同社の場合、今からでも4万円台から購入できるという。宿泊についても、オリンピック開催期間中の三ツ星以上のホテルは割高だが、閉会式の8月24日以降は多くが通常料金になる。 オリンピックは自宅のテレビでゆっくり観戦し、8月下旬から秋にかけて北京を訪れ、テレビ等で見た施設や建物を自分の目で確かめるという旅のプランはいかがだろうか。張さんに北京旅行を楽しむ秘訣を聞いてみた。 |
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「急速に変化し続けている中国では、最新の現地情報をどれだけ集められるかによって、旅の楽しみや快適さ、効率が大きく変わってきます。例えば、最近ではネットを利用して、一般の人が現地のホテルを日本から直接予約することは簡単にできます。しかし、単に安さだけでホテルを選んで失敗したという話もよく耳にします。同じホテルでも、料金や部屋のグレードはまちまちです。そうした情報を知っているか知らないかの差が大きいのです」。 張さんがおすすめするのは、パッケージツアーではない、手作りの北京旅行だ。同社では、電話1本で航空チケットのみを素早く手配することも可能だが、お客さんの目的や好みを聞き、予算に応じた観光や宿泊のプランを相談しながら組むこともできる。中国人と日本人が半々を占めるスタッフは全員が日本語と中国語が堪能で、常に生の現地情報を収集することに余念がない。スタッフを少数精鋭にしぼることで、無駄なコストを省きつつ、きめ細かいサービスと情報提供で大手旅行会社との差別化を図っているのだ。 |
張さんがおすすめするホテルには2種類のタイプがある。ひとつは、三ツ星か四ツ星クラスの外資系ホテル。北京は中国国内では物価が高いとはいえ、日本に比べるとまだまだ安い。その物価の差を利用して、日本ではつい敬遠してしまうような高級ホテルでも、例えば日本円で1部屋2人で1万5000円から2万円くらいで泊まれるという。 もうひとつは、四合院と呼ばれる中国の伝統的家屋を改装し、宿泊施設やサービスを整えた「民族系のホテル」だ。リーズナブルな料金で、レトロな中国情緒や優雅な皇族気分を味わえる。食事についても、張さんにはこだわりがある。「高級ホテルで食べる宮廷料理は、正直あまり美味しいとはいえません。おすすめは、四合院を改装したレストランにある、清の時代の皇族や公人が食べる料理を現代風にアレンジした創作料理です」。 |
また、同じく悠遊ワールドの富永泰浩さんは、レンタル自転車で北京の街をめぐるプランを提案する。「北京はもともと城壁に囲まれた街で、東西南北に道路がきれいに分かれています。なので、地図を見ながら自転車で回れば、たいていの行きたい場所には、すんなり行けるはずです。意外と迷うこともありませんし、自転車なら庶民の生活をかいま見られます」。 「食事をする場所は、現地の人はいっぱい入っている店なら、まずハズレはないでしょう。水餃子やジャージャー麺、羊のしゃぶしゃぶなどは、庶民的な店のほうがホテル内の高級店よりずっと美味しいと思います。また北京ダックは、本場北京では実は高級料理ではなく、庶民的な食べ物です。味や作り方も日本のものとはまったく異なります。庶民的な店構えの北京ダック専門店がいちばんの狙い目でしょう」と富永さんは続ける。 |
旅で気を付けることも聞いてみた。「北京は中国でも最も治安のいい都市ですから、大きな心配は要りません。ただ、顔や外見は似ていても、文化や習慣がまったく違う外国に行くわけですから、お互いを尊重する気持ちは欠かせません」と張さんは言う。 悠遊ワールド |
取材・文/永山昌克
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