今年は「ダークナイト」や「インクレディブル・ハルク」、「アイアンマン」などアメコミ出身のヒーロー映画が乱立するが、オリジナルキャラの「ハンコック」は“迷惑なヒーロー”というヒネリの効いたアイデアがウリだ。主演は今ハリウッドで最も稼ぐスター、ウィル・スミス(ビジネス誌フォーブス発表によると年収8000万ドル)。監督は「キングダム/見えざる敵」のピーター・バーグ。
ハンコック(ウィル・スミス)は特別なパワーを持ち、何千年もの間、生き続けている不死身のスーパーヒーロー。現在はロスに住み、たった1人で悪と戦ってはいるのだが、アル中で、いつも仏頂面。服装も無精ヒゲにくたびれたスウェットに短パンとだらしない。やる気もゼロで、時には子供から「事件発生!」と叩き起こされて仕方なく犯罪現場へ飛んでいく始末。ウィスキー片手にフラフラ飛行でビルに激突、離着陸の際には地面に大穴を開ける。座礁したクジラを救うはずが放り投げて沖のヨットに命中させ、踏切で故障した車を見つければ自分の体で列車を止めて脱線させてしまう。「クズ」と言われると頭に血が上り、相手が誰であろうとブチ切れる。「いいことをして何で怒られるの?」とハンコック本人は不満げだが、器物破損の常習犯で品格もないから、社会からヒンシュクを買ってしまうのも当たり前。
そんなハンコックに目を付けたのが、彼に命を救われたお人好しなPRマンのレイ(ジェイソン・ベイトマン)。レイはお礼にとハンコックをディナーに招待するが、妻のメアリー(シャーリーズ・セロン)はどうやら彼のことを気に入らないらしい。ハンコックとメアリー、2人の過去には何かある模様。ハンコックはレイの助けを借りながら、愛されるヒーローにイメチェンを図るが……。
ハンコックがいかにしてさわやか系ヒーローに更生するか? とりあえず刑務所に入って反省していることをアピールし、「人に好かれる方法」を嫌々ながらも実践するあたりが、笑いどころ。ウィル・スミスらしいノーテンキなアクション・コメディで終わるのかと思いきや、これが大間違いで、後半は意外な展開へ。詳しくは見てのお楽しみということにしておくが、まさか男と女の物語へ雪崩れ込んでいくとは……。
ハンコックの暴れっぷりは見ているだけで楽しいし、92分というコンパクトさもいい。ウィル・スミスとシャーリーズ・セロン共演の華やかなスター映画としての醍醐味も十分なので、劇場でぜひどうぞ。
監督:ピーター・バーグ/脚本:ヴィンセント・ノー、ヴィンス・ギリガン
出演:ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
8月30日(金)より丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー
本山由樹子
ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。
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