「秋休み」「1ウィークバカンス」ってなんだ?+D Styleインタビュー(1/2 ページ)

» 2008年09月01日 16時08分 公開
[小笠原由依,ITmedia]

 皆さんは“秋休み”という言葉をご存じだろうか。その名の通り、秋季の休暇のことだが、農村地帯の学校では秋の農繁期に家の手伝いをするための休暇を“秋休み”と称していた所もあるようだ。

 最近では、一部の学校で1年を各100日前後で2つに分け、1学期と2学期の合間である10月が休みとなる「2学期制」を導入、新たな“秋休み”が発生している。

 だがもうひとつ、大人のための“秋休み”が存在する。それを推進しているのが日本ツーリズム産業団体連合会(以下、TIJ)だ。

 TIJが提案してきた「秋休み」、その6年間の取り組みと、そして今年から新たに提案する「1ウィークバカンス」についてその“仕掛け人”に話を聞いた。


photo TIJ 事業部長の須田純一氏

 TIJは、観光産業に携わる民間企業や業界団体を中心に組織された団体。このTIJの事業部長を務める須田純一氏が、その“秋休み”の仕掛け人だ。

 “秋休み”キャンペーンは「長期連続休暇を作り出し、旅行に出かけてもらおうという考え」(須田氏)から始まったプロジェクトだという。ハッピーマンデー(祝日を月曜日に移動することで3連休の取得促進を図る制度)の効果で9〜11月はもともと3連休が多い。その3連休の前後に有給を組み合わせることで長期連続休暇を取得してもらい、国内旅行の需給を増やしていくのが狙いだ。

旅行ニーズは「海外」から「国内」へ

photo 「1週間休暇があったら何をするか」(TIJ調べ)

 長期の連続休暇が取れれば、国内よりも海外に行くのではないか? ――おそらくそう考える読者も多いことだろう。しかし、右のグラフを見て欲しい。「1週間休暇があったら何をするか」(TIJ調べ)というアンケートの結果では、1位が81.2%の「国内旅行」、次いで42.0%の「日帰りドライブや遠出」3位に36.0%の「海外旅行」と海外旅行に45.2ポイントも差をつけて国内旅行が人気を博している。

 実際、原油高による燃油サーチャージの高騰や広がる景気後退感が、旅行業界、特に海外旅行にもたらしている影響は大きい。「第25回JATA旅行市場動向調査〜国内(2008年6月期)」(日本旅行業協会)の資料にも「海外旅行から国内旅行へのシフトが目立つ」との記述があり、海外旅行に比べて国内旅行の需要が高まっていることが分かる。

photo 「秋に旅行に行けない、行かない理由」(TIJ調べ)

 涼しく爽やかな日本の秋はおいしい旬の食材も数多く、紅葉などの観光にも恵まれている季節。国内旅行の需要喚起にはもってこいのシーズンのはずだ。だが右の表にあるように、多くの人は「仕事の忙しさ」や「家計の節約」、「子供が(学校を)休めない」ことなどを理由に秋に長期の休暇は取りづらいと感じているようだ。

 実際に過去6年間、JR東日本やJTBとともに旅行商品を開発してきた“秋休みキャンペーン”だが「長期休暇向け商品はやはり難しく、メインは日帰りから1泊、あるいは2泊の商品だった」(須田氏)という。

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