大スクリーンの感動を忘れていませんか? シネコンで映画を楽しもう!特集 大人の最新シネコン(2/3 ページ)

» 2008年09月05日 10時00分 公開
[ITmedia]
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“白いシネコン”「新宿ピカデリー」
都内最大級のシネコン「新宿ピカデリー」
伊地知俊之支配人

 東京繁華街の映画館は変わりつつある。最も大きな変化が起きているのは新宿。歌舞伎町の映画街と新宿初のシネコン「新宿バルト9」の間に、全10スクリーン(2237席)を擁する都内最大級のシネコン「新宿ピカデリー」が7月19日にオープンした。老朽化した旧新宿松竹会館を閉館し、およそ2年かけて完成。副都心線の新宿三丁目とは至近距離、しかも伊勢丹のすぐ裏という好立地にある。

 2人で3万円の「プラチナルーム」など、映画館の常識を覆す、さまざまなタブーにチャレンジした最先端シネコン。伊地知俊之支配人にオープンしたばかりの“白いシネコン”を案内していただいた。

なぜ“白”なのか?

 新宿ピカデリーの入り口は、靖国通り側と紀伊国屋書店裏通りの2カ所。1階には無印良品がある。“白いシネコン、新宿にデビュー”というキャッチコピーがついていたが、外観ばかりか、エントランス、ロビーまでもが真っ白で清潔感たっぷり。ディスプレイもシンプルで、映画館というよりは美術館といった雰囲気だ。

(左)新宿ピカデリー館内01 (中) 新宿ピカデリー館内02(右)新宿ピカデリー外観

 「メインターゲットは20〜30代の女性です。都会で暮らす人のライフスタイルに合った、快適な空間を提供していこうというコンセプトから、白を基調にしました。ファミリー層に向けた郊外型のシネコンとは明らかに違うイメージを打ち出しています。実は、白をこれだけ使うのは業界ではタブーなんです。汚れが目立ってしまいますからね。白にしたことで、映画のポスターもより際立つようになっています」。

(左)周囲が白い分、ひと際目立つのが映画の予告編が流されているインフォメーションディスプレイ。世界初となるシャープAQUOSの108V型を使用 (右)チケットカウンターの情報インフォメーション用ディスプレイも、同じくシャープAQUOSの65V型。液晶が4枚並び、後方から見ても目を細めずに見られる大きさだ
映画館にあります! 充実のフードメニュー!

 映画館といえば、ポップコーンやホットドッグにジュースなんていうのが王道のパターン。ポップコーンのあの香ばしい香りを想像しただけでもよだれが……。もちろんそんな定番もアリだが、近頃はカフェのようなフードメニューがあるのだ。

 新宿ピカデリーでは、女性を意識したメニューが並ぶ。デニッシュやクロワッサンなどは劇場内のオーブンで焼き上げるから、ホカホカの焼きたて。季節のスープと併せて好評だとか。男性にはビールセットがオススメ。居酒屋定番メニューのカリカリパスタ(パスタを揚げたもの)がついて、800円(スーパードライの場合)〜900円(熟撰の場合)。

充実のフードメニュー
話題の2人で3万円のプラチナルームに潜入

 3階のメインロビーからエスカレーターを上がって4階の劇場へ。スクリーンに近づくにつれダークな色調となり、落ち着いた雰囲気へガラリと様変わり。最大のスクリーン1はビル3層分を抜いた天井の高い空間を作り、1階は580席の一般席、2階のバルコニー席には22席のプラチナシート(1人5000円)と、2部屋のプラチナルーム(2人で3万円)が設置されている。「ほかのシネコンと同じ事をしていては勝てないので、どうせだったら、豪華に、やれるところまでチャレンジしようということで、プラチナシート、プラチナルームを用意しました。多少高いお金を払っても、自分の時間と空間を大事にするという需要をあえて掘り起こしたかったんです」と支配人。

 バルコニーの中央に位置したプラチナシートは、映像の迫力を満喫できる、映画鑑賞のベストポジションに位置する。イスはカッシーナ・イクスシー社が、劇場用シートを初めてデザインだ。

 プラチナシートの両脇に1つずつ設けられたプラチナルームは世界で初めてのプライベートルーム型のバルコニー席。ソファはモダンデザインのリーディングブランド、カッシーナの名作。イタリアデザイン界の巨匠ヴィコ・マジストレッティ氏デザインの「ポルトヴェーネレ」だ。このソファだけでウン百万円だとか。高級感たっぷりだが、座ってみると、家でくつろいでいるような心地よさがある。

(左)2階のバルコニー席にあるプラチナシート (右)プラチナルームのソファ「ポルトヴェーネレ」

 映画館のファーストクラス「プラチナ」は、専用エレベーター、専用ロビーが設けられ、完全な別導線での入場が可能だ。プラチナロビーは5階にあり、プラチナシート、プラチナルーム、それぞれ専用ロビーが用意され、上映1時間前から利用できる。またウエルカムドリンクとしてシャンパン一杯がサービスされる。

 5階エレベーターを降りて左側にあるのはプラチナシート専用のロビー。シャンパンゴールドに統一されているが、イメージしたのはハリウッド往年の大女優にして、モナコ公妃のグレース・ケリーだという。「潰れかけたモナコの劇場を改築しようとした際に、グレース・ケリーが“おもてなしをするにはシャンパンゴールドが一番”と提言したらしく、それにあやかり、シャンパンゴールドにしました。オブジェもシャンパンの泡をイメージして、職人さんにひとつひとつ手作りしていただきました」

(左)プラチナシート専用ロビー入り口 (右)シャンパンゴールドに統一されている

 右側にあるプラチナルーム専用ロビーは個室仕様。新宿のど真ん中にいるのを忘れてしまうほど、静かで落ち着いた大人の雰囲気。上映前にはスタッフが呼びにきてくれるので、心ゆくまでリラックスできそうだ。ちなみにフード・ドリンクメニューの中にはキャビア15000円、ミネラルウォーター10000円なんていうのもあり。8月上旬の取材時点では、オーダーはまだないとのこと。

 プラチナシート、プラチナルームのチケットは、5Fプラチナロビーのほか、オンラインでも購入可能だ。ところで、気になるのは利用状況だが……。

 「最初は話題性、目新しさということでしょうが、平日は4〜5組くらいで、土日は予約で埋まることも。当初想定したターゲットのお客様はもちろん、中には大学生くらいのお客様もいらして、客層が思ったよりも若いので驚いています」

個室仕様のプラチナルーム専用ロビー
こんなサービスもやってます

 豪華な「プラチナルーム」ばかりが話題になっているが、各種割引サービスも充実している。中でも最前列限定・平日1000円というのは新宿ピカデリーのオリジナル。高い席もあれば、幕間みたいな立見席もあってもいい、という歌舞伎の料金設定をイメージしたものだとか。「1人でも多くの人に映画を見ていただきたい。割引のほか、ハリウッドに行けるオープンキャンペーンや、配給会社さんにもらった非売品のTシャツを先着でプレゼントするなど、実は地道に色々やっているんですよ(笑)。これらのキャンペーンはすでに終わりましたが、今後もキャンペーンやイベントは色々計画していますので、まずは一度、新宿ピカデリーに足を運んでください」と力強く語る支配人。

 最後にライバルのことを聞いてみた。

 「新宿シネコン戦争勃発、みたいな見出しが躍っていましたね(笑)。バルト9さんと話す機会も多いんですが、実際の現場では、一緒に新宿の映画人口を増やしましょう、映画を盛り上げていきましょうと話しています」

 観客とってはサービスが充実するのは嬉しい限り。シネコン情報をこまめにチェックして、大いに活用しよう。

オススメ上映作品

公開中の作品では、ヒース・レジャーの熱演が話題になっている「ダークナイト」、そして女性には「セックス・アンド・ザ・シティ」がオススメです。滝田洋二郎監督、本木雅弘主演の「おくりびと」(9月13日公開)はやや地味ですが、映画のクオリティは非常に高いですよ。

http://plusd.itmedia.co.jp/d-style/articles/0808/01/news107.html

「ダークナイト」

取材・文/本山由樹子



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