「ウォンテッド」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年09月19日 15時53分 公開
[本山由樹子,ITmedia]

 90年代に「X-MEN」や「スパイダーマン」などを手掛けた人気アーティスト、マーク・ミラーのグラフィック・ノベルを映像化した「ウォンテッド」。監督は、奇想天外なダーク・ファンタジー「ナイト・ウォッチ」で母国ロシアの歴代興行成績のトップを塗り替えた鬼才ティムール・ベクマンベトフだ。

photo (C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 主人公は企業の顧客管理を担当する平凡なサラリーマン、ウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)。デスクワークにうんざりし、巨漢の女上司からはいびられ、恋人を寝取った同僚にも何も言えず、薬を飲んで緊張を抑えるというストレスだらけの毎日を送っていた。そんな彼の前に、謎の美女フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)が現れ、人生が激変する。彼女はフラタニティのメンバー。フラタニティとは1000年以上も前から存在し、世界の秩序を守ってきた暗殺組織だ。

 彼らは、組織の優秀な暗殺者だったウェスリーの父親が同じ組織の裏切り者に殺されたとウェスリーに告げる。そして新たな仲間として、その父の血を継いだウェスリーに白羽の矢が立てられたのだ。ウェスリーは今までの生活に見切りをつけ、組織の過酷な特訓を受ける。眠っていた暗殺者の潜在意識を覚醒させ、組織のエースへと成長していくが……。

photophoto (C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 どこからともなく飛んでくる銃弾に倒れる男。フィルムを逆回転させて暗殺者を特定するという面白さ。拳銃の撃ち方もユニークで、上級暗殺者ともなれば障害物を避けるために銃弾を曲げ、相手を撃ちぬくことができる。ほかにもアンジェリーナ・ジョリーがスポーツカーのボンネットに身を横たえてアクロバティックな銃撃シーンを披露するなど、映画の雰囲気は「マトリックス」的だが、あの手この手の映像表現は華麗かつ豪快で、最後まで飽きることはない。

photophoto (C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 アクションシーン以上に楽しいのが、一見ひ弱そうなウェスリーと、いつでもどこでもクールなフォックスのキャラクター。ウェスリーは、フォックスに殴られ蹴られるといったドSな指導を受け、「いや、もうダメ、勘弁して」とボロボロになりながらも、蝋(ろう)のような液体で満たされた“回復風呂”に入れば数時間で元通り。ミスキャストかと思われたジェームズ・マカヴォイ(「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」のタムナスさん)だが、うれしいことにその予想は大きく外れた。アンジェリーナ・ジョリーのビジュアルに決して負けていないところが、本作の成功理由のひとつと言える。

 クライマックスの壮絶なガンファイト、意表をついたオチまで楽しめる、この秋、大本命のアクションだ。

ウォンテッド

監督:ティムール・ベクマンベトフ/原作:マーク・ミラー、J.G.ジョーンズ

出演:ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、アンジェリーナ・ジョリー、テレンス・スタンプ

配給:東宝東和

9月20日より日劇1ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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