「イーグル・アイ」+D Style 最新シネマ情報

» 2008年10月21日 13時20分 公開
[本山由樹子,ITmedia]
photo Copyright (C) 2008 DREAMWORKS LLC. All Rights Reserved.
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 ある日突然、自分の行動すべてが携帯電話の向こうの何者かによって、監視されてしまったら……。個人情報が管理・売買される現代の情報化社会へ警鐘を鳴らした問題作が「イーグル・アイ」だ。

 コピーショップで働く青年ジェリー(シャイア・ラブーフ)は、双子の兄を亡くし、葬儀から自分のアパートに戻ると、部屋にはやたらと荷物が運び込まれていた。中身は爆弾、化学薬品など、穏やかでない。途中で寄ったATMでも大金が振り込まれていた。呆然としていると携帯電話が鳴り、知らない女の声で「すぐに逃げろ」と命令される。もたもたしていると、踏み込んできたFBIにテロ容疑で拘束されてしまうが、彼には全く身に覚えがない。尋問の途中でクレーン車が建物を破壊し、ジェリーはその混乱に乗じて逃走。謎の女はジェリーにまつわる情報をすべて掌握しており、彼を強制的にコントロールしていく。

 同じころ、シングルマザーのレイチェル(ミシェル・モナハン)も子供を人質にとられ、ジェリーと同様に監視されていた。ジェリーとレイチェルは合流させられ、女からの無茶な要求に従うことを余儀なくされる。

 スピルバーグが10年前から構想し、そのイメージが現実世界に近づいた今、ようやく映画化が実現した。主演は「トランスフォーマー」「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」などハリウッド大作に立て続けに出演している、スピルバーグの秘蔵っ子シャイア・ラブーフ。高校生役が似合っていた彼が、大人の役へとうまく転換を図っている。監督は「ディスタービア」でもシャイア・ラブーフと組んだD・J・カルーソ。

 テクノロジーの進化は人類にメリットとデメリットを与えているというテーマは、これまでの映画でも度々扱われてきたので目新しさは感じられないが、携帯電話や監視カメラ、クレジットカードなど身近なアイテムがモチーフになっている分、恐怖感は増している。

 主人公たちが逃亡者になり、追い詰められていく展開はノンストップで面白い。しかも、一体何が起きているのか分からない彼らの状況を、見ているこちらも同化して味わえるのだから、まさにジェットコースターに乗っているような感覚だ。「フレンチ・コネクション」を目指して、できるだけCGに頼らなかったというカー・チェイスのこだわりも相当なもの。携帯の主が分かってしまう中盤以降はやや失速気味だが、彼女が仕掛けた陰謀は皮肉が込められていて、考えさせられるものがあり、鑑賞後の満足度は高いはず。

 携帯電話にご用心、思わず電源を切ってしまいたくなるような恐怖をあなたも体験してみては?

イーグル・アイ

監督:D・J・カルーソ/製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、エドワード・L・マクドネル

出演:シャイア・ラブーフ、ミシェル・モナハン、ビリー・ボブ・ソートン、ロザリオ・ドーソン

配給:角川映画/角川エンタテインメント

10月18日より丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー



筆者プロフィール

本山由樹子

ビデオ業界誌の編集を経て、現在はフリーランスのエディター&ライターとして、のんべんだらりと奮闘中。アクションからラブコメ、ホラーにゲテモノまで、好き嫌いは特にナシ。映画・DVDベッタリの毎日なので、運動不足が悩みの種。と言いつつ、お酒も甘いものも止められない……。


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