「拉致被害者に会いたい」とアンジェリーナ・ジョリー 映画「チェンジリング」会見+D Style News

» 2009年01月30日 17時07分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo アンジェリーナ・ジョリーさん

 2月20日より公開される映画「チェンジリング」の記者会見が1月30日に行われ、夫のブラッド・ピットさんとともに来日している主演のアンジェリーナ・ジョリーさんが、報道陣の質問に答えた。

 1928年のロサンゼルスで起こった事件を基に、失踪した息子を探す女性を描いた「チェンジリング」。ジョリーさん演じる主人公クリスティンは、捜査の功績をアピールしたい警察から息子とは別人の少年を引き取らされ、本当の息子を取り戻すためにさまざまな圧力と闘うことになる。「実話を基にした作品だから、当時の裁判の記録や新聞に目を通したの。それで、この女性は私の母親に似た女性だと思ったわ。普段はソフトで静かなんだけど、子供を守る時にはとても強い面を見せる。ブラッド(夫のブラッド・ピットさん)が映画を見たとき、彼も私の母親に似てると言ってくれた」(ジョリーさん)


photophoto 久々の日本の印象について、「ワンダフル。子供たちも一緒に来られて、本当に楽しんでるわ。キディランドや公園に連れていったりしたの」とニッコリ
photophotophoto 6人の子供の母親でもあるジョリーさん。「すべてを失っても、子供が元気でいてくれたらそれでいい」と語る姿は、作品の主人公とシンクロする

 演じる上でジョリーさんが気をつけたのが、勇気ある行動と挫折を繰り返す主人公の“強さ”と“弱さ”を表現すること。「彼女は、作品の最初と最後で違う女性になっている。彼女の中の強さが顔をのぞかせては挫折し、再び彼女が強さを取り戻すと、さらに2倍の挫折が待っている。作品の中には、そんな波があるの」

photophotophoto グレーのシンプルなドレスで会見に臨んだ

 同映画は「ミリオンダラー・ベイビー」や「硫黄島からの手紙」などを手掛けたクリント・イーストウッド監督がメガホンを取っている。ファーストテイクでOKを出すなど“ハヤ撮り”で知られているイーストウッド監督の印象について聞かれると、「彼はスタッフをとても尊重する偉大なリーダーで、スタッフも彼のためなら何でもしてしまいたくなるの。初めはワンテイクを撮ってすぐ次の撮影に入るスタイルに驚いたけど、そういうやり方だからこそ誰ひとり気を抜けないし、真摯な態度が重んじられる現場になった。今回はエモーショナルなシーンも多かったから、何度もやらされるよりもやりやすい面があったわ」と撮影を振り返った。

 難民問題に関する国連の親善大使も務め、社会問題と積極的に向き合うジョリーさん。腐敗した権力に1人の女性・母親として立ち向かったクリスティンは、彼女にとって“ヒーロー”だという。「最初に脚本を読んだ時は出演を断ったわ。自分の子供にこんなことが起きたらと、いろいろ考えてしまったから。でも、その後も作品のことがずっと頭に残っていた。子供への愛情や、子供を失うことがどんな意味を持つかに加えて、正義を貫く女性の姿、その思いが社会の制度をも変えていく様子が描かれている。クリスティンのような女性の存在は私にインスピレーションを与えてくれるし、私がいろいろな運動をしているのも、彼女のような女性――迫害や暴力と闘う世界中の女性にあうためなの」

 また、ジョリーさんは「日本に来て、北朝鮮の拉致問題のことを知りました。クリスティンも子供を失い、本当に苦しい思いを経験するけど、同じような気持ちを持つ母親のお話を、ぜひお会いして聞いてみたい」と言葉を続けた。「この映画の受け取り方は人によってさまざまだと思うけれど、多くの女性から“家に帰って子供を抱きしめたい”という意見をもらった。無力だと思われていた1人の女性でも、これだけのことができる。非常に勇気のある女性だと思うし、その姿が私たちに勇気を与えてくれると思う」

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