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「クルマ版Web2.0」を目指す新世代カーウイングス



テレマティクスをもっと身近に――カーウイングス
カーウイングス

 国内初の総合テレマティクスサービスとして業界をリードする日産自動車の「カーウイングス」。その会員数は23万人を誇る。テレマティクスに対する日産の取り組みは非常に早く、1998年9月には有人オペレーターによるテレマティクスサービス「コンパスリンク」の提供を開始している。これは、ドライバーが欲しい情報をオペレーターに口頭で告げることで、情報センターから携帯電話のデータ通信経由で各種情報をドライバーに提供するという画期的なサービスだった。そしてこれが、その4年後に始まるカーウイングスの前身となる。

 コンパスリンクは、当初はシーマやセドリックといった日産のハイグレードカーに搭載されるプレミアムな機能という位置付けだった。ただし、簡単に目的地を設定したり、ドライブのさまざまな情報を簡単に入手したいという思いは、高級車/大衆車/スポーツカーに限らず、どんなユーザーにも当てはまること。カーウイングスは、「すべての人に豊かなカーライフスタイルを」という日産のポリシーから生まれたのだ。

マーチ

 カーウイングスは2002年2月に国内初の総合テレマティクスサービスとしてスタート。特筆すべきは、カーウイングス第1号車として最初に設定されたのが、コンパクトカー「マーチ」だったということだ。しかも1DINタイプのカーウイングス端末を4万9000円という安価で提供した。この大英断が、一般ユーザーへのテレマティクス普及に大きく貢献。その功績は計り知れない。そして2004年には、カーウイングス利用料を新車購入後3年間無料にするという新たな展開を実施。テレマティクスをさらに身近なものにしていった。

そしてカーウイングスはRSS対応へ

 カーウイングスには、情報チャンネル(AutoDJ)という2002年から行っている主力サービスがある。交通情報のみならず、ドライブ目的地の天気情報や周辺のレジャー情報、イベント、グルメなど、便利で役に立つ最新情報を、簡単な操作でいつでもすぐに入手できるというサービスだ。

 ただしこれまでの情報チャンネルは、日産が購入した情報コンテンツをカーウイングスのユーザーだけに提供するという、いわば“閉じられた世界”でのサービス展開だった。これだと、多様化するユーザーニーズになかなか応えられない。そこで日産は、ウェブニュースやブログで使われているRSS(配布に最適化されたサイト概要を記述するためのフォーマット)を使って情報チャンネルを作る新サービスを今秋からスタートさせると発表した。カーウイングスがRSSに対応したというわけだ。

ジ・オリジナル ダイバー

 具体的には、RSSをセンター側で情報チャンネル用に加工し、ナビに向いたカタチにしてカーウイングスに配信する。情報チャンネルならではの、音声による読み上げ機能にも対応している。本来はナビ側でRSSリーダーの機能を搭載できれば簡単なのだが、以前から情報チャンネルを利用している既存カーウイングスユーザーにも使ってもらうためにセンター経由という手段を選んだという。これによって2002年のカーウイングス端末でも、この最新のサービスを受けられるのだ。

 サービス開始時にはヤフー、インクリメントP、ゼンリンデータコム、リビット、TOKYO FM、ソネットエンタテインメント(ソネット)、日産自動車の各社がRSSにて情報を提供するほか、日産が選んだ著名ブログのRSS配信も予定されている。ユーザーが好きなRSSを選んで登録するという機能は来年から追加される予定。当面は日産側が選んだものが提供されることになる。

関連リンク

カーウイングス  http://www.nissan-carwings.com/
日産自動車    http://www.nissan.co.jp/

取材・文/+D Style編集部

取材協力/日産自動車