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半世紀を駆け抜けたグランドツーリングカー「SKYLINE」

 長い道のりを気持ちよく走るための“グランドツーリングカー”として1957年に誕生した「スカイライン」。以後、半世紀にわたり愛され続けたこのクルマは、日本の経済発展とともに歩み、それぞれの時代を反映しながら数々の神話・伝説を作ってきた。
 「ハコスカ」「ケンメリ」など、これだけ世代ごとに愛称が冠せられたクルマも珍しいだろう。そして、これほど長い間、最先端の“走り”を提案してきたクルマもほかに類を見ない。

スカイライン・クロニクル(初代〜6代目)
初代「プリンス スカイライン」 (ALSI系、1957〜1963年)

 記念すべき初代スカイラインは、航空機メーカーを前身とするプリンス自動車工業(後に日産自動車と合併)によるもの。アメリカ車の影響を受けたというテールフィンが特徴。直列4気筒OHVエンジンを搭載し、セダンながら最高出力60馬力・最高速度125km/hを誇った。当時の大卒初任給が6000円ぐらいの時代に約120万円、現在の貨幣価値でいうと4000万円という超高級車だった。

初代「プリンス スカイライン」01 初代「プリンス スカイライン」02

【時代背景】
力道山の空手チョップや皇太子・美智子妃殿下の結婚に国民が沸いた。1958年には東京タワーが完成、1960年には安保闘争で全学連と警官隊が衝突した。

2代目「羊の皮を着た狼」 (S50系、1963〜1968年)

 ボディを大型化して6気筒エンジンを搭載。日本グランプリ2位などレースの活躍でスカイライン神話の起源になった伝説のモデル。また、自動車大衆化時代を予測して4万kmまたは2年間保証の「封印エンジン」などメンテナンスフリー化を進めた。

2代目「羊の皮を着た狼」01 2代目「羊の皮を着た狼」02

【時代背景】
マイカーブームが到来。日本発の高速道路「名神高速」が部分開通。1964年には東京オリンピックが開催された。

3代目「愛のスカイライン」 (C10系、1968〜1972年)

 “GTカー”スカイラインの人気を不動にした歴史に残る名車。エッジの効いたスタイリングから「ハコスカ」の愛称で親しまれた。高回転・高出力のOHCエンジンや前輪ディスクブレーキなど最新装備をいち早く採用。ファミリーユースとスポーツ性能の両立を狙った。

3代目「愛のスカイライン」01 3代目「愛のスカイライン」02

【時代背景】
ヒッピーやベルボトムのファッションが流行。アポロ11号が人類初の月面着陸に成功した。1970年には日本万国博覧会(大阪万博)が開幕。

4代目「ケンとメリーのスカイライン」 (C110系、1972〜1977年)

 広告キャンペーンが大ヒットし、「ケンメリ」の愛称で歴代最高売り上げを記録。CM撮影地が観光スポットになるなど社会的ブームにも。四輪ディスクブレーキやリアスタビライザー、ラジアルタイヤなど足回りを大幅に強化。ハードトップや2000GTなど幅広い車種バリエーションを揃えた。テールランプの丸目4灯を初めて採用したのもこの4代目。

4代目「ケンとメリーのスカイライン」01 4代目「ケンとメリーのスカイライン」02

【時代背景】
1972年に札幌オリンピックが開幕。同年に沖縄返還。第一次オイルショックやロッキード事件などが暗い影を落とす一方で、人々は自由でスタイリッシュなライフスタイルを求めた。

5代目「SKYLINE JAPAN」 (C210系、1977〜1981年)

 走りのスカイライン復権を目指して登場。キャッチフレーズの「ジャパン」には、日本が生んだ名車という自負が込められている。1980年に発表したターボ付き145馬力の2000GTは、国産高性能車のターボ化トレンドを牽引。2000GTターボは、刑事ドラマ「西部警察」の劇中車としても使われた。

5代目「SKYLINE JAPAN」01 5代目「SKYLINE JAPAN」02

【時代背景】
ブランド志向のクリスタル族がこの時代の若者を象徴。ファッションではハマトラ、ニュートラ、プレッピーが流行。1979年に発売されたウォークマンが大ヒット。

6代目「ニューマン・スカイライン」 (R30型、1981〜1985年)

 愛称の由来は、レーサーとしても活躍していたハリウッドスター、ポール・ニューマンのCM起用から。だが、1983年以降の後期型は特徴的なフロントデザインから「鉄仮面」と呼ばれた。量産車初のアジャスタブル・ショックアブソーバーで、高い安定性と快適な乗り心地を両立。日本初の4バルブDOHCターボの2000RS-TURBOも登場。

6代目「ニューマン・スカイライン」01 6代目「ニューマン・スカイライン」02

【時代背景】
スタジャンに代表されるスポーツファションや黒ずくめのカラス族ファッションが流行。1985年には青函トンネルが開通。CDプレーヤーが登場。