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新たなグランドツアラー アウディ「A5」「S5」

 Aシリーズの展開とともに、アウディのラインアップから姿を消していた“大人4人がドライブを楽しめるクーペ”が、久々に帰ってきた。アウディの新モデル「A5」、そしてA5のスポーツ仕様車である「S5」は、ミドルセダン「A4」クラスの全長と、高級モデル「A6」クラスの全幅というワイドプロポーションが特徴的なツーリングクーペ。シングルフレームグリルやヘッドライトを縁取るLEDライトなど、同社の新しいデザインアイデンティティーを取り入れながら、「R8」や「TT」とも違う、どっしりとしたスポーティーさを備えたモデルに仕上がった。

「A5」01
(左)「A5」02 (右)「A5」03
3.2リッターのV型6気筒FSIエンジン

 エンジンは縦置きとし、フロントアクスルを前に持ってくることでロングホイールベースを確保。前後の荷重配分を50:50とバランスよくまとめ安定性を高めている一方で、伝統の4WDシステム「クワトロ」は、R8などと同じくトルク配分を40:60とし、後輪に多くパワーを伝えることでダイナミックな走りを実現する。

 A5に搭載されるエンジンは3.2リッターのV型6気筒FSIエンジン。最高出力は265馬力(195kW)で、最大トルク330Nm(33.7kgm)を3000〜5000rpmという低回転域で発生。6速ティプトロニックとの組み合わせにより、幅広い速度域でのスムーズな加速に貢献する。

 新エンジンのポイントは、A6にも搭載されている新機構“可変バルブリフト”の採用。バルブの開閉タイミングに加え、回転域に応じてバルブの開度も2段階に調節することにより、エンジン効率の向上に貢献する。この機構はバルブの開度を左右するカム山を2種類用意し、カムシャフトに配置、そしてこのカムシャフト自体をスライドすることでカム山を使い分けるというシンプルな構造が特徴だ。このバルブリフトと直噴との組み合わせが、A5のパワーと燃費性能の両立を支えている。

新機構“可変バルブリフト”
(左)「S5」01 (右)「S5」02
4.2リッターV型8気筒FSIエンジン

 高性能モデルのS5には、354馬力(260kW)、最大トルク440Nm(44.9kgm)を誇る4.2リッターV型8気筒FSIエンジンを詰め込んだ。0-100km/h加速はわずか5.1秒。専用チューンが施されたアルミニウム製サスペンションを採用し、シフトポイントやステアリングの舵角、サスペンションの固さなどを変更できる「アウディ ドライブ セレクト」などを装備することで、“走り”の性能をより際立たせている。

 A5/S5のインテリアは、クーペモデルらしいスポーティーなもの。コックピットは各操作パネルがドライバーの方向に傾き、情報が視野に収まりやすい。もちろん、ツアラーとしての快適性も考えられている。地上デジタルテレビチューナーやiPodと接続できるAMI(アウディ ミュージック インターフェース)を搭載し、アウディ自慢のMMI(マルチメディアインターフェース)で操作が可能。また「日本の紙地図の色遣いをデザインの参考にした」という同社オリジナルのDVDナビも搭載するなど、標準装備の充実にも注目したい。

A5、S5のインテリア

取材・文/+D Style編集部