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朝本浩文vs.水野仁輔(東京かり〜番長) 大人のカレー対談



「大人のカレー」とはわざわざ食べにいくのではなく、偶然出会うもの

朝本

やっぱり、「大人のカレー」っていうと、お酒と一緒に食べるカレーかなぁ。ウイスキーとかワインを飲みながら一緒に食べても旨いよね。

朝本浩文朝本浩文 Profile ‘86年に伝説のバンド・ミュートビートに参加し、その後UAやSugarSoulなど、様々なアーティストへの楽曲提供やプロデューサーとして活躍中。

水野

お酒にカレーって合わないと思われていたけど、そういう愉しみ方を教えてくれるのがこの「ヒュッテマンクス」だったり、青山の「シターラ」だったりするんですよね。カレーの味の問題ではなくって、食べ方の問題だと思うんです。1皿がっついて食べるのではなくて、コースで食べるとかスタイルさえ変えれば、お酒とぜんぜんいけると思います。

朝本

日本の場合、お皿でがっと食べる感じのお店が主流だから、そうなっちゃうんだろうね。

水野

僕は「カレー、カレー」って頭に浮かべてどっかに食べに行のはあんまり大人っぽくないなぁと思っていて、カレーも食べたいんだけど他にもう1つぐらい目的があってお店にいってカレーを嗜むというのが大人の感じがするなぁ。あと僕が今個人的にハマっているのが、イタリアンとかフレンチとかにいって、ランチとか裏メニューにあるカレーを食べることですね。カレーだけでやってきたわけじゃないお店で、コースの最後とかにカレーを食べることがちょっと大人っぽい感じがするんです。

やっぱり、「大人のカレー」っていうと、お酒と一緒に食べるカレーかなぁ。ウイスキーとかワインを飲みながら一緒に食べるかれーかなぁ。子供にはできないからね。



水野仁輔水野仁輔 Profile ‘99年結成の料理ユニット「東京かり〜番長」調理主任。数々のイベントでカレーと音楽の融合を届けるほか、著作も多数。最新刊は「カレーの法則―スパイスマジックでつくる」(NHK協会) 僕がここのところずっと大人のカレーですね。わざわざ食べに行くはなくって、メニューにカレーがあると食べてしまう。

朝本

ああ、それいいねぇ。あと、バーの裏メニューでシメに食べたりするのがいい。代官山の地下にあるバーで食べたビーフカレーは、量が少なめで良かった。

水野

だいたいそんなときは何を飲むんですか?

朝本

俺はワインが多いですかね。ワインが飲みたくてバーに行くんだけど、メニューにカレーがあるとつい頼んでしまう。バーにあるカレーって、量的にも夜中のちょうどいい少な目なんだよね。そのときのワインは赤ですね。

水野

そういう意味では、僕がここのところずっと大人のカレーですね。わざわざ食べに行くことはなくって、メニューにカレーがあると食べてしまう。それでせいろが食べたくてそば屋に行ったのに、カレーそばがあって、仕方なくせいろとカレーそばを食べたことがありますよ。

朝本

そば屋といえば広尾に「さわなが」っていうお店があるんだけど、そこのカレーせいろは旨いですよ。そば屋のカレーって醤油っぽいというかだしの味が濃いけれども、ここのはスパイスが効いてて辛いの。これも「大人のカレー」ですかね。

水野

そういう動きでないと発見できないカレーがあるんですよ。カレー好きの人がカレー屋を巡っていても出会えないカレーです。

意外に旨い、中華屋の裏メニュー的カレー

朝本

あと、大人とはちょっと違うんだけど、意外なところで中華屋のカレーも好きですね…。六本木の「香妃園」とか。

朝本浩文

水野

ああーっ!僕も「香妃園」は本当に好きですね。 カレーを食べられるお店はたくさんあるけれど、六本木で一番好きなのは実はここ。ポークカレーにラー油をかけて食べるのが好き。

朝本

今度ちょっと試してみます。

水野

「香妃園」でカレーを食べる時間帯は、だいたい大人の時間帯。仕事が終わって、2時3時とかにいくと、他にも「大人カレー」をしている人達がたくさんいる(笑)。

裏メニューだったはずが評判がよくって表メニューになった「茄子カレー」は美味しいですよ。

朝本

あと中華料理屋だと、横浜中華街の「北京飯店」のカレー。ライブの打ち上げとかにも対応しているのでよく使いますよ。あそこのも旨い。

水野

赤坂の「珉珉(ミンミン)」茄子カレーなんて、元々裏メニューだったのが、頼む人が増えたらしく、いまや普通にメニューに載っていますよ。あと、一昨日いった五反田の「たかはし」っていう焼き鳥屋さんがあるんですけど、焼き鳥とワインやシャンパンを出すファンが多いお店らしいんですが、そこのカレーは旨かったですね。

朝本

焼き鳥を食って、シメにカレー。

水野

銀座の「かわむら」では、コースのシメに出てくるご飯にカレーが選べるらしいです。高くって、誰かに連れていってもらわないと行けないんですが(笑)。

朝本

ロンドンに仕事でいっても、毎日カレー食べてますね。

水野

僕、インドにもロンドンにも行ったことありますが、ロンドンのカレーは本当にレベルが高い。

朝本

ちょっとおしゃれしなきゃ入れない感じのお店が多いよね。

水野

なんかちょっと流行ってるんですよね。なんだろ、「ヌーベル・インディアン」じゃないけど、創作料理というか、スニーカーで入れない感じで。「The Cinnamon Club」っていう王立の図書館だったところを改装して作ったインド料理店屋なんて、アートブックっぽいデザインのレシピブックとかバッグなんかのお洒落なグッズまで作っちゃってますよ。

朝本浩文 ロンドンに仕事で行っても、毎日カレー食べてます。ちょっとおしゃれしていく感じのお店が多いですよ。

朝本

ロンドンに行って時々困っちゃうのが、法律や宗教上の問題でお酒がダメな店があるんですよね。持ち込みさえもNGな有名人気店もあります。

水野

それにしても朝本さんカレー詳しいですね!

朝本

独身が長かったので、外食はカレーに限らず詳しいです。あと、仕事で全国色々なところに行くので、先々で食べていますね。

水野

それが凄くうらやましい!ロンドンなんか旅行でしかもちろんないですから。またぜひ第二回をやりましょう!

取材・文/+D Style編集部

撮影/菅沢 健治