「ぼんじゅーる! ゴージャスカレー姉妹のリンリンとランラン、華麗狂子・叫子でございます♪」 |
こんなアッパーなテンションで始まる「ゴージャスカレー姉妹」ブログは、レビューのカテゴリがひたすらカレーに特化していることと、狂子と叫子という、“2人のキョーコ姉妹”のユニットによる、ややもするとセレブのパロディのような軽妙な文体が特徴である。 運営を始めてから瞬く間に人気となり、スタートから3カ月ほどで「東京ブックマーク」の公式ブロガーに。以来、ラジオ出演やグルメ記事のライティング、カレーCMの声優、女性誌のカレー対談など、メディアからも引っ張りだこの人気グルメブロガーである。 そこでカレー姉妹のブレーンを担う妹の華麗叫子さんに、ブログを始めたきっかけをうかがってみた。 |
「日本の女子の皆様を、元気づけたかったんですの。ワタクシは当時26歳、今は27歳。この年齢ともなると、仕事や結婚や将来について漠然とした不安が芽生え、自分に自信を持てないレディーズが、ちらほらと増えてまいりましたの! そこで、とびっきり楽しい事をして笑っていただいて、『そんなのナンセンス! 人生は素晴らしくエキサイティングな、貴方への贈り物ですわ♪ 貴女は貴女らしく、エンジョイしていいの!』というメッセージを発信したかったんですの」 最初にコンセプトありきで、実はグルメの題材は何でもよかったのだと叫子さん。 |
「人生はデリシャス、未来はデリシャス! 皆様がいつでもこの言葉を自由にココロの中から引っ張り出せるようになるまで、ワタクシ達姉妹はいつまでもシャウトし続けちゃいますわよ! それでは皆様ごきげんよう〜! キス、キス、バ〜イ♪」 |
「女子が好きなものと言えばグルメとセレブリティーですわ。でも、もうひとひねり欲しい。ならばセレブが最も食べそうにない庶民グルメで、食べると元気になって、さらに、すでにニッチなファン層を獲得しているラーメンかカレーを食べようと。ラーメンは体を壊してしまいそうなので、消去法でカレーが残ったというわけですわ(笑)」 庶民のグルメの代表である“カレー”と、格差社会のトップに君臨する“セレブ”。巷に溢れた言葉でありながら、今までどこにもなかったマッチングの妙が、勝因のひとつであることは間違いない。さらにカレー姉妹のすごさは、ブログを運営する前にプランニングまで行っていることである。 「ここまで来た時になんだか面白くなってきちゃいまして。事前に、マイセルフの考えをまとめる意味でも、パワーポイントの企画書を書いてみましたの。特に2人でこだわったのはキャラクター設定。ナビゲーター役としてのそれぞれの位置づけと役割を明確に分担しましたのよ」 数多のブログの中で読者の目を留めるには運営者のキャラクターが大きな要因になるが、こうなるとプロも顔負けである。また活動範囲の広がりとリンクして、現実社会での振舞いにも変化が生じたと叫子さんは語る。 「いざカレー姉妹としての活動をスターティングしてみると、たくさんのご縁に恵まれまして、ブログの外でも“華麗叫子”としての振舞いを求められるようになってきましたの。“叫子さんだったらどうするだろう?”と場面場面で自分に問いかけながら、“気持ちのいいブロガー”でいられるよう、気をつけておりますわ♪」 αグルメブロガーは、文字通り“プラスα”の気配りとアイデアによって、トータルな自己プロデュースを行っているといえよう。 |
<今までの食べ歩きで一番印象に残ったカレー> 「人形焼きカレー」750円(カフェラティーノ) 底なし沼にたゆたう、人形焼の七福神たち♪ この人形焼は 人形町にある板倉屋のもの! 「日本一きれいなお顔だから♪」という、ご店主様のこだわりがあるようでございますの。ぜひ、辛口オーダーで召し上がれ!(要予約) |
<最近食したセレブなカレー> 「プーパッポンカリー」4200円(丸ビル・マンゴツリー東京) 丸ビル35Fの煌びやかな夜景でリッチなフィーリング。「プーパッポンカリー」とはマッドクラブのカレー炒めのこと。亜熱帯のマングローブに生息する希少な蟹だそうですの。濃厚な味わいの身がぎっしり! |
食材や自然の造形物を書道に取り入れた独特のスタイルで、グルメな日々が綴られている「書道家蓮花のきょうの筆文字」。TV、新聞、ラジオなど、メディアへの出演多数である運営者の蓮花さんは、ブログがきっかけで現在の表現方法を見出し、OLからプロの書道家としての道を拓いた。 |
「広告代理店に勤務していた時、『筆文字で広告のタイトルを書いて欲しい』という依頼がありました。それまで私は23年間書道に取り組んできたので、張り切って案を出したのですが全部ボツ! 最初はすごくショックだったのですが、改めて自分の作品を冷静に見てみると、美しく書かれているだけで雰囲気が伝わって来ない。じゃあ、伝わるにはどうしたらいいか……ということで、ブログ上で表現するという形を思いついたんです。ブログなら不特定多数の人に見てもらえるし、客観的な意見もいただけますし」 筆文字の練習として始めたブログだったが、もともと旬や話題の味を求めて日本列島を縦断するほどのグルマンであった蓮花さんは、「食」に関する作品が自然に多くなり、注目を集めていったのだそう。 |
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「食べ物に関する『書』を書くときは、思わず『おいしそう!』と感じてしまう字を書こうと心がけています。食の話題だとコメントが盛り上がるのも楽しみのひとつですね」 ブログによって、蓮花さんの世界は明らかに広がった。 「はじめは自分の訓練の場でした。それが自分を表現する楽しみに変わり、そこから新たな人の出会いがあって、さらに今の仕事につながっている……。極端なことをいうと、ブログをやってなかったら書道家として起業していなかったかもしれないし、人生に大きな影響をあたえたもの、といっても過言ではないかもしれません。ブログさまさま、ですね(笑)!」 |
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αグルメブロガーの共通点は、ブログを始める時のモチベーションとコンセプト、そしてキャラクターを明確に打ち出しているということだろうか。たとえ趣味で始めたブログでも、目的意識を持って運営していれば、自己プロデュース能力が磨かれていくのである。 |
取材・文/似鳥 陽子