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ソニー流・新「モノの価値観」
サステナブル――ソニーが考える将来の新たな“モノの価値観”

 6月に行われたソニー製品の環境配慮のハイライトを伝えるイベント「“Sony-made ECO” showcase」で、聞きなれない言葉とともに新鮮なデザインのAV製品が注目を集めた。それが、ソニーが考える将来の“サステナブル”プロダクト「odo(オド)」だ。

 「サステナブル」――もしくはサスティナブルデザインという言葉自体は建築業界などで使われ始めているが、エレクトロニクスの分野ではあまり例が無い。

 チーム名に“サステナブル”を取り入れて推進しているソニー クリエイティブセンター クロスオーバーデザイングループ サステナブルデザインチーム シニアプロデューサーの中村光宏氏は「現在はユーザーの感性・知性がリードする商品を作らなくてはいけない時代。ソニーでも大量生産の商品が多いが、そうではないモノの価値観というところに訴える商品作りをしていく時代になってきている」と語り、大量消費から価値観重視へと変わってきた時代背景を訴える。

クリエイティブセンター クロスオーバーデザイングループ サステナブルデザインチーム シニアプロデューサーの中村光宏氏(左)と同チームプロデューサーの長坂佳枝さん(右)。そして2人の前にあるのがサステナブルプロダクト「odo(オド)」

 今年4月にソニー クリエイティブセンター内に発足したサステナブルデザインチームの活動を具現化するもののひとつが「odo(オド)」だ。未来の新しい体験、社会意識(価値)、インスピレーションを提供するために、子供たちの創造力、エネルギー、好奇心によって高められるデザイン提案モデル――というのが「odo(オド)」のコンセプト。

odo(オド)

 サステナブルデザインチームプロデューサーの長坂佳枝さんは「odo(オド)はキネティックエンジン(手動発電)を使ったデザイン・プロトタイプ(試作品)。“楽しみを高めること”と“環境負荷を軽減すること”の両立を目指したサステナブル・プロダクトを提案している」と説明する。

 たとえば、デジタルビデオカメラ「Crank N' Capture」は、パラパラ漫画のようなアニメーションを作る省電力設計のビデオカメラ。電源に充電池や乾電池は使用せず、内蔵手回しの機能によって録画・再生、そして充電ができる。

モニターディスプレイ「PUSH POWER PLAY」 (左)、デジタルスチルカメラ「SPIN N' SNAP」(右)
太陽電池充電器「JUICE BOX」 (左)、ステレオヘッドフォン「Pull N' Play」(右

 大量消費の時代が終焉を迎え、モノの価値観を重視した商品作りが、求められている。「エコロジー」「ユニバーサルデザイン」をさらに進めた「サステナブル」というキーワードは、“モノの価値観”の新しい風を起こすことができるのか。ソニーの取り組みに注目したい。

取材・文/+D Style編集部

取材協力/ソニー http://www.sony.co.jp/