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最新シネマ特集〜unknown アンノウン〜

密室で、記憶がない、5人の男。

 目が覚めると、自分は古い工場にいる。ほかには、自分同様に倒れこんでいる男が5人。そのうち1人は手錠につながれ、また1人は椅子に縛られている。そして、自分は誰なのか。全く思い出すことはできない。

 どうやら毒性のあるガスを吸い込んだことで一時的に記憶を失っているようだ。様々な状況を調べていくうちに、自分達のうち、3人が誘拐犯で、2人が人質だとわかってくる。ボスが戻ってくるタイムリミットは日没。ハイテク錠と厚い扉に覆われた工場を脱出するため、それぞれは自分が何者かはっきりしないまま、脱出のための策を練る…。

 まるで舞台劇のような空間で作られたこの映画を支えているのは、なんといっても個性的な俳優陣だ。最初に目覚める「デニムジャケットの男」を演じるのは、『パッション』でキリストという難役を演じたジム・カヴィーゼル。次に目覚める「椅子にしばられた男」には、『マトリックス』での裏切り者・サイファーで強い印象を残した、ジョー・パントリアーノ。残る3人もバリー・ペッパー、グレッグ・キニア、ジェレミー・シストという次世代を担う個性派が揃っている。密室で、かつ、自分のキャラクターが固定していないという難しい登場から、徐々に個人の記憶が戻るにつれ変化する様は必見だ。

 自分が何者なのかわからないまま、敵かもしれない男と協力しあうスリル。『ユージュアル・サスペクツ』の緊張感が好きだった方ならば、両方見た人とは熱く語りたくなるはずだ。今年の秋の男のクチコミ映画といえるだろう。

unknown アンノウン

2006年/アメリカ/85分
監督:サイモン・ブランド
主演:ジム・カヴィーゼル、グレッグ・キニア、ジョー・パントリアーノ、バリー・ペッパー、ジェレミー・シスト、ブリジット・モイナハン、ピーター・ストーメア
11月上旬 シネクイント(渋谷)ほか全国順次ロードショー

http://www.movie-eye.com/unknown/

筆者プロフィール
北本祐子
+Dstyle編集担当。
雑誌編集畑から異動によりインターネットの世界にデビュー。
映画は本数よりも、好きな作品を何度も見る派。それでも、年間鑑賞作品数はDVDを入れると200本ぐらい。3度の飯もお酒も好きだけど、甘いものがもっと好き。会社の近くのパティスリー・サダハル・アオキのスイーツを食べ尽くすのが目下の目標。




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