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最新シネマ特集〜敬愛なるベートーヴェン〜

圧巻の第九はスクリーンで堪能してこそ!

この冬には人気クラシック漫画「のだめカンタービレ」のドラマ化&アニメ化もあり、クラシック・ブームの到来を予感させる。その決定打として、2006年冬に劇場で見て欲しいのがこの作品だ。

いまや年末イベントの恒例ソングとなっている「第九」の作曲者、ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベンの晩年の姿を描いたこの作品は、これまでに作られたベートーベンものとは異な作りだ。彼の難解な楽譜を写譜するために雇われたアンナという音楽学生の視点から、名声を獲得しながらも、愛に飢え、常に不安を抱える人間・ベートーベンの姿を映し出している。

第九の演奏は、圧巻の10分間。これを見るためだけでも劇場に足を運ぶ価値がある。それまではどこか「映画」を見ていたのが、まさにルードヴィヒ・ヴァン・ベートーベンの姿を見ているのだと思わせる存在感。『トゥルーマンショー』や『アポロ13』でのやせた本来のエド・ハリスからは想像がつかない太鼓腹で、音楽の渦に観客を巻き込んでゆく。映画館への足が遠のいている人も、この作品の第九の場面を見れば、劇場で見る良さを再認識できるだろう。ちょっとアンナ役のダイアン・クルーガーの眉間にしわを寄せて困った顔をする演技は気になるものの、素晴らしい演奏シーンで全てが帳消しになった。普段はクラシックを聞かないレベルの筆者の感想なので、クラシック通の方のご意見が気になる。

敬愛なるベートーヴェン

2006年/アメリカ/110分
監督:アニスカ・ホランド
出演:エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、マシュー・グッド、フィリーダ・ロウ
イギリス・ハンガリー映画

12月、日比谷シャンテ シネ、新宿武蔵野館、シアターN渋谷他全国ロードショー

(C)2006Film&Entertainment VIP Medienfonds2 GmbH & Co. KG

筆者プロフィール
北本祐子
+Dstyle編集担当。
雑誌編集畑から異動によりインターネットの世界にデビュー。
映画は本数よりも、好きな作品を何度も見る派。それでも、年間鑑賞作品数はDVDを入れると200本ぐらい。3度の飯もお酒も好きだけど、甘いものがもっと好き。会社の近くのパティスリー・サダハル・アオキのスイーツを食べ尽くすのが目下の目標。




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