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奇跡は信じ続けたものに、やさしく訪れる

やんちゃ盛りの9歳の少年ハニと、物静かな兄のハンビョル。いつものごとく学校でイタズラをして叱られたハニは、ハンビョルの早退に乗じて自宅に帰るが、兄はただの頭痛ではなく脳腫瘍に侵されていた。お兄ちゃんが病気だということも、それが死に至る病であるということも理解できないハニ。でも自分なりに家族を元気づけようと頑張るのだが、どうも空回りしてしまう。それでもただひたすら、自分ができることを探すハニ。

たった一人のお兄ちゃん、死んじゃうの…?もう遊べなくなるの…?

実話をベースにした作品だというと、病気になって、それを克服して…という感動ストーリーを期待するかもしれない。
しかし、この作品は奇跡がすべてのものに訪れるわけではない、という悲しい現実も描いている。しかし、それが何なのだろうか。たとえ短い時間であっても、その最期の瞬間まで信じ続けるものには、奇跡は訪れるのだ。周囲が求めていたものではなくても、小さな夢がかなうことは奇跡と呼べないだろうか?

一昨年ブームを巻き起こした韓国ドラマ「冬のソナタ」にハマった女性には、「初恋を思い出した」という年配の女性が多かったというが、少し懐かしい匂いがする韓国の作品は、どこかに忘れてきてしまったものを心に呼び戻してくれる。 主人公ハニを演じたパク・チビンの演技にも注目してほしい。

この夏、やさしい気持ちになりたい人のために薦めたい。

奇跡の夏
2005年/韓国映画/97分
出演:パク・チビン、ソ・テハン、ペ・ジョンオク、パク・ウォンサン
監督:イム・テヒョン
7月15日よりシャンテ シネにて全国順次ロードショー

オフィシャルサイト
http://www.kisekinatsu.jp/

筆者プロフィール
北本祐子
+Dstyle編集担当。
雑誌編集畑から異動によりインターネットの世界にデビュー。
映画は本数よりも、好きな作品を何度も見る派。それでも、年間鑑賞作品数はDVDを入れると200本ぐらい。3度の飯もお酒も好きだけど、甘いものがもっと好き。会社の近くのパティスリー・サダハル・アオキのスイーツを食べ尽くすのが目下の目標。




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