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最新シネマ特集〜夜のピクニック〜

明日のスターの瑞々しい演技に注目

1000人一緒に24時間夜を徹して、80キロを歩く伝統行事「歩行祭」。高校最後の歩行祭に、甲田貴子は密かに心の中で賭けをしていた。それは、クラスメイト西脇融に声をかけること。貴子と融の父親は同じで、父の葬儀で初めて出会ったのだ。同じ高校になり、気まずいまま時は流れているが、今夜こそはと思う貴子。しかし、クラスメイトは彼女が融のことを意識しているのは、恋愛感情からだと誤解し続けている。

高校生活で最後の歩行祭、生徒それぞれが思いを抱えながら、長い道のりを歩き始める。

映画の中の1シーンで、男子生徒二人が田んぼが広がるまっすぐな道に座りながら、「この光景をお前と一緒に見ることは二度とないんだよな」というシーンがある。普段はふざけ会うだけの仲だったはずが、24時間という長い時間を共有することにより、これまでは話せなかった気持ちを語り合う。まったく同じではないけれども、こういった経験をしたことは誰しもあるのではないだろうか。

貴子と融の父親の問題を除けば、特に大きな事件は起きない。しかし、何気ないが、きらきらした瞬間がちりばめられた映画だ。

この歩行祭は実際に原作者・恩田陸氏の母校、茨城県立水戸第一高校で戦後から続く伝統行事だ。出演者・スタッフは、実際に60キロを撮影前に歩いたらしい。

『HINOKIO』『青空のゆくえ』でブルーリボン賞に輝いた多部未華子、『蝉しぐれ』でキネマ旬報ベスト・テンの新人男優賞受賞の石田卓也をはじめ、『花とアリス』の郭智博、ドラマ『花より男子』や『ダンドリ。』の西原亜希、『シムソンズ』など映画での主演作が続く加藤ローサなど期待の若手が顔を揃えている。ここからきっと明日のスターが生まれるはずだ。

夜のピクニック

2006年/日本映画/96分
出演:多部未華子、石田卓也、郭智博、西原亜希、貫地谷しほり、松田まどか、高部あい、池松壮亮、加藤ローサ、柄本佑
監督:長澤雅彦
配給:ムービーアイ+松竹 共同配給

9月30日(土)、丸の内ピカデリー1他全国松竹・東急系にてロードショー
http://www.yorupic.com

(c)2006「夜のピクニック」FILM VENTURER

筆者プロフィール
北本祐子
+Dstyle編集担当。
雑誌編集畑から異動によりインターネットの世界にデビュー。
映画は本数よりも、好きな作品を何度も見る派。それでも、年間鑑賞作品数はDVDを入れると200本ぐらい。3度の飯もお酒も好きだけど、甘いものがもっと好き。会社の近くのパティスリー・サダハル・アオキのスイーツを食べ尽くすのが目下の目標。




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