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最新シネマ特集〜天使の卵〜

「助演」の沢尻エリカが煌く不思議

美大を目指して浪人中の歩太は、ガールフレンドの夏姫がいながらも忘れられない女性がいた。たった1度、満員電車で乗り合わせた人。数日後、歩太は父親が10年も入院している病院でその女性と再会する。彼女の名は春妃。彼女は父親の新しい主治医で、夏姫の姉だった。やや陰のある春妃にどんどん惹かれていく。

デッサン用紙に向かい、「僕にしか描けないあなたを描く」と春妃を見つめる歩太。ひたむきに彼女を求める歩太に心を開き始める春妃。二人でいることの幸福を手に入れたとき、突然悲劇が訪れる…。

『リリィ・シュシュのすべて』やドラマ『ウォーター・ボーイズ2』などで主役を演じる市原隼人と『UDON』での演技でも注目を集める小西真奈美を迎えて、ついに小説「天使の卵」が映像化された。'93年に原作小説が小説すばる新人賞を受賞して以来、長く愛されてきたこの作品を映像化するのにふさわしい配役といえるだろう。

しかし、そんな二人の好演を凌駕してしまったのが、夏姫を演じた沢尻エリカだ。『パッチギ!』で鮮烈な映画デビューを飾り、公開作が多数控える新星の輝きは、助演でも隠すことはできなかった。歩太の「前」と「後」をすべて力いっぱい走り、見届けようとするひたむきな姿は、「沢尻エリカ」ではなく「夏姫」そのものだった。初のショートカットで実年齢よりもやや上の教師役を演じる姿は、ファンならずとも必見だ。

天使の卵

2006年/日本映画/97分
出演:市原隼人、小西真奈美、沢尻エリカ、戸田恵子、北村想、鈴木一真、三浦友和
監督:富樫 森

10月21日(土)全国ロードショー
http://www.tentama.jp/

(C)『天使の卵』フィルムパートナーズ

筆者プロフィール
北本祐子
+Dstyle編集担当。
雑誌編集畑から異動によりインターネットの世界にデビュー。
映画は本数よりも、好きな作品を何度も見る派。それでも、年間鑑賞作品数はDVDを入れると200本ぐらい。3度の飯もお酒も好きだけど、甘いものがもっと好き。会社の近くのパティスリー・サダハル・アオキのスイーツを食べ尽くすのが目下の目標。




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