エンタープライズ:ニュース 2002/07/04 00:33:00 更新


Keynote:「今後10年間にこれまで以上の変化がおきる」とCAのクマーCEO

N+I 2002 Tokyo展示会初日の基調講演に米CAのサンジェイ・クマーCEOが登場。「明日のテクノロジーが果たすもの」と題した講演で、「今後10年間に、これまでの変化が小さなものに思えるほど大きな変化がおきるだろう」と話した。

 NetWorld+Interop 2002 Tokyo展示会の初日となる7月3日、オープニングの基調講演に米コンピュータ・アソシエイツ・インターナショナル(CA)の社長兼CEO(最高経営責任者)、サンジェイ・クマー氏が登場。午前中のセッションにも関わらず1200席の会場は「満員御礼」、来場者で埋め尽くされた。

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CAのサンジェイ・クマーCEO

 2000年8月にCAのCEOに就任後、初の来日となるクマー氏は、「明日のテクノロジーが果たすもの」と題した講演で、「これまでの25年間、コンピューティング環境は目覚しい変革を遂げてきたが、いま大きな変革が始まろうとしている」と話を切り出した。

 コンピューティング分野における25年間は、メインフレームからスタートし、C/Sシステム、分散システム、インターネットと常に変化を続けてきた。クマー氏は、このようなコンピューティング分野の発展は評価できるとしながらも「25年前のものを今でも大事に利用しているのはこのIT分野だけだ」と話す。同氏は、「25年前のシステムの上に、新しいシステムを積み重ねてきた現在のコンピューティング環境は、複雑になりすぎてしまい、拡張性、管理性、柔軟性などを犠牲にしている」と加えた。

 そして今、「さらに新しい大きな波が押し寄せようとしている」と同氏は言う。

「その中でも最も大きな変化となるのがモーバイルとワイヤレスという大波だ。1990年代はインターネットの時代だと言えるが、2000年代はモーバイルとワイヤレスが最も大きなインパクトを与えるだろう」(クマー氏)

 モーバイルとワイヤレスの分野では、アジア市場が重要な役割となるという。これまで、新しい技術を作り出すのは、欧米だったが、現在ではアジアで技術を作り出し、欧米はそれをビジネスに活用する側になってきたという。「アジアはユニークな市場であり、特に日本市場は重要だ」とクマー氏。

 しかし、モーバイルやワイヤレスの分野には、ネットワーク環境やセキュリティ、情報の統合、管理・運用など、まだまだ解決すべき問題も多い。CAでは、インフラ管理の「Unicenter」やセキュリティの「eTrust」、ストレージ管理の「Brightstor」をはじめ、xSP向けのソリューションである「iCan Provider Suite」などにより、これらの問題を解決していく。「特にパートナーとの協力は重要」とクマー氏は言う。

 CAでは、iCan Provider Suiteの日本市場への展開において、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)およびCSKと戦略的な提携を結んでいる。

「新しい技術というものは、今後はサービスとして提供されることが一般的になるだろう。IT技術は、電気やガス、水道などと同様のインフラとして提供されるようになる。そのインフラの実現のために必要なソリューションを提供するのがiCan Provider Suiteだ」(クマー氏)

 実際にITインフラが実現するためには、可用性や信頼性、セキュリティ、サービス性などまだまだ改善すべき問題は多い。しかし、時間はかかるかもしれないが、確実に現実の方向に向かっているというのがCAの考えだ。この考えを実現するためにはCA自身も変革が必要とし、2000年10月にニュービジネスモデルの採用を発表。クマー氏は現在もなお、CAの変革に取り組んでいる。

 現在、CAが取り組んでいるのは、3つのセグメントにフォーカスされている。1つが長期、短期のどちらでもライセンス購入が可能な「フレックスセレクトライセンス」の導入であり、またROI(投資利益率)やTCO(総保有コスト)などを数値化する「アカウントビリティ」の採用だ。さらに現在、CAが最も強力に取り組んでいるのが「顧客フォーカス」だ。

 クマー氏は、「より深いパートナーシップにより、より顧客に近いところで仕事をしなければならない。それにより、顧客のより良い成功を導き出すことができる」と話している。このメッセージは、今年4月に米国で開催された「caworld 2002」でも強調されている。

 3つのセグメントへのフォーカスが必要な理由を同氏は、「プロジェクトの31.1%に何らかの問題があり、52.7%が当初の予定より遅れ、16.2%しかスケジュールどおりに進んでいない」というスタンディッシュ・グループの調査結果を紹介した。

 クマー氏は、「今後の10年間には、これまでの25年の変化が小さなものに思えるほど大きな変化がおきるだろう。しかしCAは、IT分野で26年の歴史を持っており、CAとパートナーが協力することで、このような変化にも柔軟に対応できる共通フレームワークや技術インフラを実現できると信じている」と締めくくった。

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[山下竜大,ITmedia]