エンタープライズ:ニュース 2002/07/04 00:06:00 更新


Keynote:「IPコミュニケーションでビジネスが変わる」とシスコのジャンカルロ氏

NetWorld+Interop 2002 Tokyo展示会の初日には、3つの基調講演が行われた。そのトリを務めたのは、米シスコシステムズのチャールズ・ジャンカルロ氏で、「IPコミュニケーション」をテーマに講演を行った。

 NetWorld+Interop 2002 Tokyo展示会の初日には、3つの基調講演が行われた。そのトリを務めたのは、米シスコシステムズのチャールズ・ジャンカルロ氏(同社テクノロジーデベロップメント担当上級副社長兼ゼネラルマネージャー)。講演のテーマはVoIPやユニファイドメッセージング、ビデオカンファレンスといったアプリケーションを通じて実現される、新しい「IPコミュニケーション」だ。

 これまで「音声とデータの統合」というと、別々に構築されていたインフラを1つの回線に統合することによってコスト削減効果が生まれる、という側面のみが注目されてきた。しかしジャンカルロ氏は、新しいIPコミュニケーションが実現するのはそれだけではないと強調。新しいアプリケーションを通じて、より高度なコミュニケーションが実現されると述べた。

「企業は環境をアップグレードし、新しいIPコミュニケーションに対応する必要がある。音声とデータを統合し、同じネットワークで扱うことによって、コストを削減することができる。もう1つ重要なことは、新しいアプリケーションをサポートできることだ」(ジャンカルロ氏)

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飛行機を模したステージでバーチャルカンパニーを実演したジャンカルロ氏

 同氏は新たなアプリケーションを通じて、ビジネスコミュニケーションの価値を上げ、ひいては社員の生産性を向上させ、顧客サービスの質を高め、会社の競争力を強化することができると述べた。

 この、新しいIPコミュニケーションを形作る具体的なアプリケーションとは何だろうか。ジャンカルロ氏によるとそれは、音声やFAX、電子メールを統合を統合するユニファイドメッセージングであり、音声認識機能の実現や多言語への対応であり、ビデオカンファレンスであり、e-ラーニングやソフトフォンだという。

 中でも興味深いのは、同氏が言うところの「オフィスエクステンションモビリティ」だ。「オフィスの拡張を実現する機動性」、思い切って意訳すれば「どこでもオフィス機能」とでも表現できるこの機能によって、支店であれ、出張先のホテルであれ、あるいは自宅であれ、どこにいようと、自分が普段仕事を行うオフィスと同じように仕事をこなすことができるという。

「つまりこれによって、バーチャルカンパニーを実現できる。固定的なオフィスを持つ必要はなく、ユーザーがいるその場その場がオフィスになる」(ジャンカルロ氏)

 ただジャンカルロ氏は同時に、「IPコミュニケーションにおける大きな問題が1つある。それがセキュアかどうかということだ」と述べ、セキュリティの重要性についても指摘することも忘れない。同社ではもちろん、セキュリティを実現するためのソリューションを提供してはいるが、それも「ベストプラクティスにそって適切に導入、運用されていれば」(同氏)という前提あってのことだと語った。

 続いてジャンカルロ氏は、こうした新しいIPコミュニケーションを導入した企業の例として、新生銀行のほか、シスコシステムズ自身を紹介した。

 事実、ジャンカルロ氏自身、ノートパソコンからVPNクライアントを通じて社内ネットワークに接続し、ソフトフォンを用いてカンファレンスコールに参加したり、自分宛のメッセージを確認したり、といった作業をこなしているという。ステージ上のデモンストレーションは、機内に無線LANシステムを導入したルフトハンザ航空でのフライト中、という設定だったが、N+I 2002 Tokyoのため滞在している帝国ホテルでも、ソフトフォンを活用しているという話だ。

「IPコミュニケーションによって、どこにいても仕事ができる」と同氏は述べ、さらにこう続けた。「IPコミュニケーションの世界では、従来のシステムよりもコストを削減し、生産性を上げることができる。それもセキュリティを実現しながらだ」

関連リンク
▼NetWorld+Interop 2002 Tokyo オフィシャルサイト
▼シスコシステムズ

[高橋睦美,ITmedia]