エンタープライズ:ニュース 2003/01/14 22:58:00 更新


マイクロソフト、家庭内のあらゆるシーンでPCを利用できるスマートディスプレイを発表

マイクロソフトは1月14日、東京国際フォーラムでワイヤレスディスプレイ「Windows Powered Smart Display」(スマートディスプレイ)の記者発表会を開催した。同社は、スマートディスプレイによりPCの利用場面をキッチンやリビング、ベッドルームなどにまで拡大していきたい考えだ。

 マイクロソフトは1月14日、東京国際フォーラムで「Windows XP Professional」の機能を拡張するワイヤレスディスプレイ「Windows Powered Smart Display」(スマートディスプレイ)の記者発表会を行った。

 同製品は、「Windows CE .NET」をベースにしたOS「Windows CE for Smart Displays」を搭載し、「Windows XP Professional」搭載のPCとIEEE802.11bのワイヤレス通信により遠隔地からの操作を可能にする携帯型のディスプレイ。タッチスクリーンを採用し、ユーザーはスタイラスや指先を使った感覚的な操作で、Webブラウジングや電子メール操作などが行える。簡単に言うなら、PCが"親機"でスマートディスプレイが"子機"に相当する関係となるという。

「スマートディスプレイは、PCのディスプレイが進化したもの。パソコンのエクスペリエンスをキッチンやリビングなどへ拡張するものだ」(キース・ホワイト氏 米マイクロソフト エンベディッドアプライアンスグループ シニアディレクター)

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子供が遊んでいる姿を見ながらPCを利用できる、と話すキース・ホワイト氏

 同社は、家庭のPCや家電製品をネットワークで統合するコンシューマ向けの「eHome」構想を掲げており、スマートディスプレイはこれに基づく製品として位置付けている。家庭内のパソコンのない部屋で即座にPCが使える、インターネットがすぐ手元にある環境になる――というスマートディスプレイのモビリティをベータテスターの70%以上が魅力的に感じており、「当初はスーパーユーザーをターゲットに展開し、2〜3年後には一般消費者にまで到達するだろう」(ホワイト氏)と市場を予測する。

 "親機"となるPCには「Windows XP Professional SP1」とIEEE802.11規格のワイヤレス環境が必要になる。家庭での利用を目指しているが、Home Editionでは利用できない。これはHome Editoinではリモートデスクトッププロトコル(RDP)が利用できないため。ただ、国内パッケージ販売の流れからすると、Professionalの売れ行きの方が伸びているとのことで、それほど憂慮する結果にはならないと同社は見ている。

 また、RDPをサポートできるのは現在のところ1セッションとなっており、複数のスマートディスプレイから1台のPCに同時アクセスすることはできない。「今後のサービスパックおよび"Longhorn"と呼ばれる次期OSでは複数台をサポートする」(ホワイト氏)という。

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通常キッチンには雑誌でレシピを確認できるスペースがあるという。雑誌の代わりにここへスマートディスプレイが進出することに。

 同日、日本電気(NECソリューションズ)、NECカスタマックスが「スマートディスプレイ SD10」を発表している。また、富士通も対応製品を近日中に発売する予定だ。

 NECの製品は、10.4型TFT液晶を搭載した290(W)×220(D)×31(H)mmサイズ、重量は約1.5Kgのスマートディスプレイで、キッチンなどでの利用を想定し、JIS防滴II型に準拠した仕様としているのが特徴。HDDも搭載しないため衝撃にも強いという。

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一番手前にあるのが「スマートディスプレイ SD10」(日本電気、NECカスタマックス)

 CPUにはナショナル セミコンダクターの「Geode SC3200/266MHz」を採用し、搭載メモリは64Mバイトとなる。バッテリ駆動時間は、約2.5時間。本体側面にはPCMCIAメモリカードスロット、USB、ミニUSB、ディスプレイ出力インタフェース、ヘッドフォン出力端子をそれぞれ1ポートずつ備える。また、ソフトウェアとしては、画像データソフトにマイクロソフトの「Image Viewer Ver2.1」、Webブラウザには「Internet Explorer 5.5 for Windows CE」を搭載した。

 価格は、9万9800円。同社のパーソナル商品総合情報サイトのショッピングコーナーにて1月22日より受注を開始する。出荷開始は2月16日から。

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[堀 哲也,ITmedia]