エンタープライズ:ニュース 2003/01/29 22:28:00 更新


「Windows Media 9で、デジタルメディアはビジネスとして成立する」とマイクロソフト

マイクロソフトは、デジタルプラットフォーム「Windows Media 9シリーズ」日本語版(WM9)の提供開始に合わせ、製品発表イベントを開催。古川 享氏(アドバンストストラテジー&ポリシー担当副社長)が基調講演で「WM9はプロにも採用される品質を備え、デジタルメディアビジネスのプラットフォームとして堪えられるものになった」と紹介した。

 マイクロソフトは1月29日、デジタルプラットフォーム「Windows Media 9シリーズ」日本語版(WM9)の提供開始に合わせ、製品発表イベントを赤坂ACTシアターで開催。古川 享氏(アドバンストストラテジー&ポリシー担当副社長)が基調講演で「WM9はプロにも採用される品質を備え、デジタルメディアビジネスのプラットフォームとして堪えられるものになった」と紹介した。

 基調講演は、魔術師メリエスの「月世界旅行」、ポーターの「大列車強盗」など、映画史上多くの初を生んだ作品をモンタージュした映像から始まった。基調講演に登場した古川氏は、1895年の映画の発明からメディアの変遷を振り返る。「従来のメディアの技術進歩や普及には50年という多くの時間を費やしたが、デジタルメディア技術のそれはかつてないほどだ」。現在ではネットワークを通じて配信されるまでになったと話す。

 その間、人々の音質・画質に対する目も厳しくなった。しかし、WM9ではこれらの要求に堪えられるようになったと特徴を紹介。Web上で5.1chサラウンドの配信を実現、バッファ時間を短縮するファストストリーミング機能など主要機能をデモを交えて紹介した。また、WM9で実現したオーディオ/ビデオ品質は、音楽家や映像作家などプロの目からも支持され、ビジネス面からの品質要求にも十分に対応できるようになったことを強調した。

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古川氏(右)に「伝えたいのは単なる臨場感ではなく、実際に音が出ているという空気感」と語る久石氏(左)

 プロからの支持を裏付けるために、古川氏は2002年11月に米国で開催されたWM9の発表会にも触れる。「単なる技術発表の場だけでなく、あの映画タイタニックの監督ジェームズ・キャメロン氏がゲストに登場し、ハリウッドのプロがWM9を取り上げてくれたことに感動した」

 今回の基調講演のゲストには、音楽家の久石 譲氏を招いた。同氏は、北野映画や宮崎映画などに印象的な音楽を提供している作家だ。映画「千と千尋の神隠し」で使用された同氏の楽曲「竜の少年」や、初監督映画「カルテット」のメインテーマをWM9の5.1chオーディオで体感し、「いいんじゃないんですか」「かなりのところまできていると思いますよ。ここまでくるのは大変なことだ」とコメント。同氏の次回作「4 MOVEMEMT-四楽章-」はWM9に対応したストリーミング配信が決まっている。

 デジタルメディアのビジネス展開を支える機能として紹介されたのは、音楽CDの不正コピー問題を解消する機能として有効になると語るWindows Media Data Session。家電再生領域とPC再生領域を分けて音楽CDに記録することで、「コピーさせないのではなく、メーカーがある程度PCでの利用を自由に設定してビジネスできるようになる」

 また、コンテンツの有料配信ビジネス展開する場を提供するものとして、WM9の「プレミアムサービス」を紹介。「WM9は、高音質/高精細な再生機能だけでなく、ビジネスフェーズに入るきっかけを提供する」と説明。プレミアムサービスは、「Windows Media Player 9シリーズ」のサイドメニューからワンクリックで会員制の課金コンテンツサービスへ誘導する機能。

 プレミアムサービスには、WOWOW、エイベックス、ショウタイム、スカイパーフェクト・コミュニケーションズの4社が賛同、会員制コンテンツサービスを提供することを明らかにした。WOWOWの吉岡義朗副会長は、「ブロードバンドは放送メディアと切り離せないもの。電波との相互補完となるし、相乗効果を生む」と賛同の理由を語った。スカイパーフェクト・コミュニケーションズの細田泰社長は、「コンテンツの質が高まったことで、ブロードバンド上でデジタルコンテンツビジネスの成立が可能になった」と述べた。

 最後に、国内100社以上のパートナー企業がWM9に協力することも発表。古川氏は「デジタルメディアは、WM9によりビジネスとして成立する世界になった。これらの企業はこれを理解したうえで賛同された」と語った。

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[堀 哲也,ITmedia]