インタビュー
2004/05/23 19:55 更新

Interview:
使いやすさに無限のパワーを融合したFileMaker Pro 7

5月10日から出荷が始まったFileMaker Pro 7は、根幹ともいえる使い勝手の良さはそのままに、データリミットを打ち破る新しいアーキテクチャによって生まれ変わった。社長就任から10年という宮本氏に話を聞いた。

かつてカード型データベースといえば、ひとつの大きなカテゴリーだった。しかし、ネットワーク環境への対応、リレーショナル化、そしてWebへの対応と、一つひとつハードルを越えるたびに多くのプレーヤーが消えていった。そんな中、FileMaker Proは、情報機器やコンピューティングの進化を先取りし、常に最新の機能を取り込むことでオフィスワーカーの頼れるツールとして支持を得てきたという。5月10日から出荷が始まったFileMaker Pro 7は、根幹ともいえる使い勝手の良さはそのままに、データリミットを打ち破る新しいアーキテクチャによって生まれ変わった。「御神体が格段に進化しました」と笑う宮本高誠社長に話を聞いた。

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「社長就任から10年。このハイテク業界では異例ですね」と自ら驚く宮本氏


ITmedia 「FileMaker Pro 7」の出荷が始まりましたね。多くのデスクトップデータベース製品が姿を消していった中、顧客に支持されてきた理由は何でしょうか。

宮本 これは既にバージョン6のときから実現していたことですが、Windows、Macintosh、Linux、Palm、Pocket PC、そしてiモードと、オフィスのナレッジワーカーにとってIT機器といえるものをひと通りサポートしています。一度、データベースアプリケーションを作れば、これらの情報機器を利用して、個人でもワークグループでもインターネットでもシームレスに活用できるのです。このようなデータベースソフトはほかに存在しません。

 また、われわれのユーザーのほとんどが、オフィス業務をこなすためのソリューションとしてデータベースアプリケーションを手作りしています。普通は、項目を追加するだけでも開発者に依頼しなければならないのですが、FileMaker Proであれば、プログラミングの知識がなくとも簡単です。ユーザーは、そこに大きなメリットを見出してくれています。

ITmedia バージョン7では何が変わったのでしょうか。

宮本 1996年のバージョン3でFileMaker Proはリレーショナルデータベース化しました。これは大きな進化でしたが、バージョン7では、さらに将来のユーザーニーズまで先取りし、全く新しいアーキテクチャへと移行しました。

 これまで1ファイル当たり1つのテーブルしか持てませんでしたが、これを100万までとし、フィールド当たりの文字数、ファイルサイズ、1ファイル当たりのレコード数も劇的に拡張しています。ファイルサイズは8テラバイト、レコード数は「6京4000兆」と、もう事実上無制限です。

 これなら個人、企業を問わず、ずっと使い続けられます。「データが限界まで増えたらどうしよう? 別のデータベースに分けるのか?」といったこともなく、安心して使ってもらえます。

 しかし、それでいて、ユーザーインタフェースはちゃんと維持しています。ナレッジワーカーの仕事を快適にするには必須であり、FileMaker Proの根幹です。われわれが最も大切にしている使いやすさにパワーをシームレスに融合しました。「御神体」が格段に進化した、とでも言えばいいでしょうか(笑い)。

多様なデジタルデータのコンテナに

ITmedia FileMaker Pro 7では、さまざまなデジタルデータ、例えば、Word、Excel、PDF、それにイメージやビデオなどをそのまま格納する機能が追加されました。いわば、「コンテナ」としてオフィスにおける使い方の幅がさらに広がるのではないでしょう。

宮本 オフィスでは毎日、WordやExcelとたくさんの文書が生み出されていきます。自分で作成したり、同僚や取引先からもらったり……、フォルダに残すにしても少しずつファイル名を変えながら保存するなど苦労しています。Excelの文書に経営の数字を入れることは多いでしょうが、きちんと共有できていないので、「最新のバージョンが分からない」といったことは日常経験します。しかも、ファイル名だけでは内容がよく分からず、結局はあとから探せない、利用されない文書となってしまっています。

 FileMaker Pro 7では、大幅にセキュリティ機能も強化されています。ロール(役割や部署、役職)ごとにフィールド単位での細かなアクセス制御が可能で、例えば、同じレコードに格納された文書でも、人事部の人はアクセスできるが、それ以外の人は拒否されるといった使い方もできるようになります。

ITmedia しかし、中堅や大企業の基幹業務には、Oracleのようなデータベースが情報管理のインフラとして定着しつつあります。

宮本 FileMaker Proは、XML、ODBC、JDBCといった標準をサポートしています。Officeはもちろん、SQL Server、Oracleなどとも、双方向でデータをやり取りできます。情報システム部門の人たちにとっても、FileMaker Proはワークロードを軽減するツールとなるはずです。しかも、「腰を抜かすくらい」安いです(笑い)。

 1996年にWindows版のバージョン3を日本市場に投入してから7年半、ユーザーの支持を得てきたのも、顧客のビジネスの成長に柔軟に合わせていくリアリティがあったからだと思います。

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[聞き手:浅井英二,ITmedia]

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