キャリアインディペンデントこそが求められるもの――インテリシンク荒井社長(1/2 ページ)

企業のモバイルニーズが高まる中、インテリシンクはどのような戦略を展開するのか。同社社長であり、ノキアで企業ビジネス日本統括を担当する荒井氏に単独インタビューを行った。

» 2007年04月09日 08時30分 公開
[ITmedia]

 企業のモバイル活用に注目が高まりつつある。インテリシンクは、端末と社内システムの同期という、いわばデータの橋渡しを行う重要な役割を担う。同社代表取締役社長の荒井真成氏は、3月にノキア・ジャパンのエンタープライズ・ソリューションズ事業部カントリージェネラルマネージャーに就任。荒井氏に、企業向けモバイルソリューションの戦略を聞いた。

ITmedia 日本のスマートフォン人気は米国のホワイトカラー層の利用が発端だといわれますが、米国での現状はいかがですか?

荒井真成インテリシンク代表取締役社長兼ノキア・ジャパンのエンタープライズ・ソリューションズ事業部カントリージェネラルマネージャー

荒井 2003年頃まで、米国ではフィールドサービスを除いて、携帯電話をビジネスシーンに使うことはあまり無かったですね。そこに人気が衰退していたPDAがワイヤレス対応になって息を吹き返した。

 ワイヤレスでメールを使うというのが受けて、個人のビジネスマンがスマートフォンを積極的に利用し始めました。今では飛行機の機内でもワイヤレスをオフにすれば利用が認められるほど身近な存在ですね。

 そうなると企業も組織としてスマートフォンを管理しなければならなくなり、当社のデータ同期ソリューションへの関心が急速に高まっています。また、専用端末を使うフィールドサービスでもスマートフォンへの切り替えが始まりました。Windows Mobileのような汎用OSであれば、デバイス管理や業務アプリケーションの管理がしやすくなり、維持コストを削減できます。

ITmedia 日本市場に対する印象はいかがでしょうか?

荒井 米国とは反対に、モバイルを利用するには企業の対応が先になります。米国では個人ユーザーの拡大が会社を動かしますが、日本では会社が起点となってモバイル化に取り組むので、我々もそのような動きに合わせて活動しています。

 特に日本で求められるのがセキュリティですね。米国では効率性やコストが一番の関心事ですが、日本ではその目的を達成するために、まずはセキュリティをどうするかが課題になります。

ITmedia 新製品の「Intellisync Mobile Suite 8」では、セキュリティ対応を強調されていますね。

荒井 ユーザーレベルでもセキュリティ対応ができるのが一番のポイントになります。紛失した際に管理者がプッシュメールで端末をリモート消去できる機能を以前から展開していますが、新製品ではユーザーがWebからメールを送ることで消去できます。

 プッシュメールの強みは、端末がエリア内にあれば社内から必要な情報を瞬時に端末へ送ることができる点です。他社のサービスでは、例えば決められた回数でダイヤルをするとロックできる仕組みがありますが、あくまでエリア内に端末があることが前提です。管理者は端末がエリア内に入るまで待機しなくてはなりません。プッシュメールなら、端末がメールを自動受信して自動消去するので、管理者の負担が軽減されます。

 また、ASP対応を強化しパートナーがビジネス展開を行いやすい。このほど開始するウィルコムさんのASPサービスでプラットフォームを提供しますが、これまで当社が苦手としていた中小企業市場にサービスを提供できるようになりました。

 しかし、セキュリティ対策はモバイルを安全に使うための手段です。本来はモバイルによって業務の生産性を高めることが目的なので、新製品ではファイルやデータベースとの同期性や操作性の向上も大きな特徴になっています。

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