テストが甘かった? ――システムトラブルは防げたのか? ネット社会の落とし穴オルタナブログ通信(1/2 ページ)

三菱東京UFJ銀行のシステム統合でトラブルが発生した。Yahoo! 買収、XP SP3の障害、日本に来ないiPhone、トイレより不潔なキーボード、そして……四川大地震。独自の視点からITにまつわる時事ネタを発信しているのが、オルタナブロガーである。

» 2008年05月23日 18時31分 公開
[森川拓男,ITmedia]

なぜ、システム統合トラブルは繰り返されるのか

 5月12日、三菱東京UFJ銀行のシステム統合に関するトラブルが発生した(関連記事)。三菱東京UFJ銀行は、東京三菱銀行とUFJ銀行という大手行の合併でできたメガバンクのため、当初からトラブルが懸念されていたが、長期的なスケジュールを公表し顧客への告知も徹底するなど、慎重なシステム統合が進められているはずだった。しかし、システムトラブルは実に単純なミスから発生してしまった。文字コード問題である(関連記事)

 これに対して、何人かのオルタナブロガーが反応した。まずは、谷誠之氏「谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」」テストが甘いのよのように、「テストをしっかりすれば防げたのではないか」というものだった。

 そこに中寛之氏「情報インフラ24時 眠らないシステム」障害発生が「当たり前」という銀行システム統合、本当にそれでいいの? という投稿をし、複数の読者から異論・反論などのコメントが寄せられ、中氏が追記・コメントで対応するという形となった。

 逆に小林啓倫氏「シロクマ日報」「テスト不足m9(^Д^)プギャー」でいいの? は、肥大化し過ぎたシステムに対する疑問を提示している。このことは、川上暁生氏「ITコンシェルジュの Try ! & Error ?」サービス向上は、リスクの向上、メンテナンス性の低下!?でも指摘された。さらに、栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」三菱東京UFJの件、原因はわかったが理由が知りたいでは、その理由についても疑問を提示している。

 これからが本格的なシステム統合となっているだけに、今回のトラブルの原因をしっかりと分析し、同じような不具合が起きないように努めていただきたいと願うばかりだ。

 また、今回の件に関連して、高橋徹氏「代替案のある生活」三菱東京UFJ さんの件に寄せて 個人的な懸念という投稿もあった。コメントもされているように、筆者もこの心配は杞憂かと思うが、果たしてどうだろうか。

 今後も注目しておきたい。

投稿総数も回復傾向に

 160組近くのオルタナティブ・ブロガーが、ITにまつわる時事ネタなどを独自の視点から発信するITmediaのビジネス・ブログメディア「オルタナティブ・ブログ」。この「オルタナティブ・ブログ」への投稿の中から、筆者の視点から幾つかをピックアップして、読者へとナビゲーションする目的で連載しているのが「オルタナブログ通信」である。

 今回は5月8日〜14日にかけて投稿された中から、冒頭で取り上げた「システム統合トラブル」のほか、「Yahoo! 買収」「ソフトウェア」「iPhone」「四川大地震」などのキーワードに注目した。読者が「オルタナティブ・ブログ」を読む際の参考にしていただければ幸いである。

5月8日〜5月14日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータス

 ここで、5月8日〜14日を5月2週としたオルタナティブ・ブログへの投稿状況グラフを見ていただきたい。オルタナティブ・ブログの可視化である。

 ゴールデンウィーク中に少し落ち込んでいた投稿総数が、3月4週のレベルにまで回復した。久保元治氏「オープンソースでいこう」や、村田嘉利氏「猫の目ブログ」のように、約1年ぶりの更新をしたブロガーがいるなど、更新されたブログ数が増加したことも一因だろうか。しかし、1つしか更新しなかったブログも、4つ以上更新したブログも前回とあまり変わっていない。つまり、多く更新したブロガーが増えたことが分かる。少し余裕ができてきたのだろうか。

 なお、しばらくランキングを独占していた栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」の投稿が滞っていたが、5月9日に【雑談】ただいま入院中ですという投稿があった。症状が心配されたが、13日には【雑談】無事退院いたしましたと、無事に退院したことが報告されている。何より身体が資本である。無理せず頑張って欲しい。また、退院の投稿はなかなか参考になるので、一読されることをオススメする。

 また、5月12日には新規ブロガーとしてティーシーニック代表の新倉茂彦氏「新倉茂彦の情報セキュリティAtoZ」が参加した。今後の投稿に注目したい。

 ここで5月5日〜5月11日の週間アクセスランキングから、注目点をピックアップしてみたい。

 1位には、■正式発表された「がくっぽいど」で何が変わるか(CloseBox and OpenPod)■がランクイン。今回もベスト10内に幾つか入った「ぼかりす」といい、ボーカロイド絡みの投稿が目立った。いずれも松尾公也氏「CloseBox and OpenPod」の投稿で、5位に前回1位だった謎のテクノロジー「ぼかりす」の衝撃、6位にぼかりすのライバル「400氏」のMEIKO版を聴いたカミサンの反応、9位にVocaListener(ぼかりす)で「歌がうまいボカロ使い」が台頭するといった具合だ。

 その中で、2位に初心者のキーボード入力は、ひらがな入力からか?ローマ字入力か? (けんじろう と コラボろう!)が入ったのは興味深い。ちなみに筆者は、中学時代に最初にワープロに触れたときはカナ入力だったが、高校時代にパソコンを使うようになってからはローマ字入力である。ただし、独学で癖が付いてしまったせいか、いまだにブラインドタッチができないのが悩みだ。読者はどうだろうか。

 そして、3位にMicrosoft 撤退を知った瞬間、Yahoo! 幹部はハイタッチで喜んだ、8位に良いデザインほど早く死ぬがランクインした小林啓倫氏「シロクマ日報」の投稿からは、4位にマスコミに残された存在価値が入ったのも注目だ。

 それでは、5月8日から5月14日にかけて、オルタナブロガーたちが注目して来た話題とは何か。キーワードを軸にして振り返ってみよう。

Yahoo! 買収騒動、その後

 米Microsoft(以下MS)の米Yahoo!(以下Yahoo!)買収騒動は、MS側が買収提案を撤回したことで、収束したかに見えた。

 来日したビル・ゲイツ氏の会見記事から、谷川耕一氏「むささびの視線」SaaSはMSにとって賭けなのかは、ゲイツ氏がYahoo! 買収に関しての再提案をしないという言及をしたことを受けて、前回の氏の予想は外れることになりそうだとしている。そして次なる賭けはどこに向かうのか考察しているが、その方向は再びYahoo! へと向かいそうだ。

 小川浩氏「Speed Feed」MSによるYahoo!の買収問題についての補足的コメントも、「MSが完全にあきらめたとも到底思えない」とも指摘している。

 ITmedia海外速報部「海外速報部ログ」MicrosoftはFacebookを買収する前に(澤由紀子氏)や、今度はMSとYahoo!がAOL争奪戦?(広瀬麻子氏)でも次の一手の模索がされているようだ。

 そもそもMSのYahoo! 買収は、ネットを席巻しているGoogleへの対抗策とも見られるが、佐川明美氏「佐川明美の「シアトルより愛を込めて」」グーグル in シアトルでは、GoogleによるMSのお膝元への進出が目立つとも。

 そして5月18日にMSは、Yahoo! に対して完全買収以外の選択肢を含んだ新たな交渉を開始したと発表した。1つはMSのYahoo! 買収撤回後に起きた、投資家によるYahoo! 株取得と、Yahoo! 経営陣を入れ換える委任状争奪戦が始まったことがある。それ以外にもさまざまな要因が絡まっているが、どういう方向へと向かっていくのか、注視していく必要があるだろう。

 それにしても、Yahoo! 買収に限らず企業買収はあちこちで起きている。佐藤比呂志氏「隠れた財産」ボーランド、CodeGearツール部門を売却HPのEDS買収や、藤井等氏「Allegro Barbaro」速報:CodeGear + Embarcadero売却、買収、合併?CodeGear+エンバカデロ・テクノロジーズ、発表のほんとのところでも触れられている通りである。

 しかし、永井孝尚氏「永井孝尚のMM21」IPO幻想の消滅と、社会企業家という考え方でも書かれているように、もはや株式上場が最大の目標ではなくなった、という意見も無いわけでもない。もちろん、あくまでも日本国内の話かもしれないが。

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