EmbarcaderoからDelphi、C++Builderの新リリースが登場CodeGear買収後

米BorlandからCodeGearを買収した米Embarcadero Technologiesが、DelphiとC++Builderの新リリースの提供を開始する。Windows開発向けの「Delphi 2009」と「C++Builder 2009」は、8月25日に出荷される。

» 2008年08月22日 05時30分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK

 米Embarcadero Technologiesは、CodeGear(Borlandから分社)のWindows向け次世代高速アプリケーション開発ツール「Delphi 2009」と「C++Builder 2009」を8月25日にリリースする。

 「パッケージソフトウェアの開発者やクライアント/サーバアプリケーションを開発するエンタープライズ開発者にとって、新しいCodeGearリリースはアプリケーション開発の効率性、生産性を大きく向上させるものになるだろう」と、Embarcaderoのオフィシャルは話す。

 Embarcaderoのマイケル・スウィンデル製品担当副社長は新リリースについて、「DelphiとC++のここ数年間における最大のリリースになる」としている。同社は今年5月、BorlandからCodeGearを買収するとともに、これらのツールを取得した。ちなみにDelphi 7は2002年にリリースされた。

 スウィンデル氏によると、Delphi 2009とC++Builder 2009は、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)とライン・オブ・ビジネスおよびワークグループ用クライアント/サーバ開発の双方をターゲットとしている。

 「パッケージソフトウェア産業と企業のライン・オブ・ビジネスおよびクライアント/サーバ開発は、ソフトウェア市場の非常に重要なパートであり、DelphiとC++Builderはそれらの分野におけるプレミアムツールである」とスウィンデル氏は話す。

 また、「Delphi 2009とC++Builder 2009では、Unicodeをビルトインサポートした。これにより、開発したアプリケーションをグローバルに展開することがいっそう容易になった」とスウィンデル氏は強調する。「われわれは今回、製品を全面的に見直し、Unicodeに完全対応するとともに、ローカライゼーションとトランスレーションツールも刷新した」

 Unicodeをビルトインサポートしたことは、Windowsの全言語バージョンにおいて、アプリケーションが適切に表示、動作し、UnicodeとANSIデータがシームレスにサポートされることを意味する。また同社では、「拡張されたローカライゼーションツールによってアプリケーションの翻訳が容易になるため、ローカル市場での販売に大きく貢献するだろう」としている。

 Delphiを利用するNexus Database Systemsのソフトウェア開発者、ハンネス・ダンゼル氏は、eWEEKの取材に次のように答えている。

 「データベースベンダーにとって、Delphi 2009はDelphi 3以来の最も重要なリリースになる。Unicodeのフルサポートとデータアクセス層のさまざまな変更に期待したい。当然のことながら、データベース製品にUnicodeは重要だ。われわれはこれまで、Unicodeのサポートにあらゆる努力を傾けてきた。Delphi 2009はコンパイラからIDE(統合開発環境)まで、すべてのレベルでUnicodeをフル実装している。これでわれわれも顧客に対して、Unicodeを完全サポートすることが可能になった。Delphi 2009によってCodeGearは再びRAD(高速アプリケーション開発)のトップに返り咲くだろう。データベースアプリケーションをさまざまな国に展開する企業にとって、Delphi 2009は絶対に欠かせない製品だ」

 そのほかの新しいリリースでは、Delphi genericsや次期C++0x標準言語機能など、数多くのパワフルなプログラミング言語機能が追加されている。「こうした新機能の追加で、DelphiとC++Builderは最先端の開発ツールになった」と、スウィンデル副社長は強調する。

 またEmbarcaderoによると、新しいマルチティアDataSnapアーキテクチャにより、開発者は高性能で拡張性の高いデータベース・ミドルウェア・アプリケーションの開発が可能になるという。それらのミドルウェア・アプリケーションは、ライトウエイトのオープンコミュニケーションプロトコルで、あらゆるネイティブあるいはWebクライアントプラットフォーム上で稼働する高機能シンクライアントに接続できる、と同社では説明する。

 スウィンデル氏によると、DelphiとC++Builderの開発者コミュニティーは引き続き拡大を続けており、2006年に175万人だったDelphi開発者は現在は200万人を超えているという。

 HK Engenhariaの開発者で、Delphiを利用するマウリシオ・バッソ氏は次のように話す。

 「Delphi 2009は新しいDataSnap/DBExpressフレームワークによって、新たな段階へ進化した。COMへの依存をなくし、Unicodeをサポートしたことで、“クライアントサイドアプリケーション”という新しいコンセプトをもたらし、クライアントをほかの言語へ容易に展開できるようになった。われわれはブラジルに導入したERPシステムを今後、ラテンアメリカ全体と米国に展開する計画だ」

 スウィンデル氏は、「Delphi 2009とC++Builder 2009は、再販、再配布を目的とするパッケージソフトウェアや高性能グラフィックワークステーション用アプリケーション、クライアント/サーバ・ワークグループ用データベースアプリケーションなどを構築する開発者向けに設計された」と説明し、「DelphiとC++Builderは今日、ISV、マイクロISV、金融、製造、官庁、医療、科学、エンジニアリング、電気通信などの産業において、次世代ソリューションを構築するために利用されている」と胸を張る。

 Delphi 2009とC++Builder 2009は、Windows Vista、Windows XP、Windows 2000、Windows Server 2003、そしてWindows Server 2008の開発をサポートする。

 その他、新たに追加、拡張された機能には、Microsoft Officeスタイルのリボンコントロールを含む新しいVCL(Visual Component Library)コンポーネント、PNG(Portable Network Graphics)イメージのサポート、既存コントロール向けのさまざまな新機能、Windows XPとVistaアプリケーション用のパワフルなUIをシームレスに構築できる機能などがある。

 また、今回のリリースにはVCL for the Webとして知られる新機能も追加された。この機能を利用すれば、AjaxとSilverlight対応のリッチなイントラネットおよびライン・オブ・ビジネスWebアプリケーションを構築することができる。さらに、CodeGear InterBase、Blackfish SQL、Oracle、Microsoft SQL Server、IBM Informix、IBM DB2、SQL Anywhere、Sybase、MySQLの各データベース用ビルトインのdbExpressサポートもアップデートされた。

 スウィンデル氏は、「Delphi 2009とC++Builder 2009は、買収後、Embarcaderoからリリースする最初のCodeGear製品だ」と述べ、「新リリースは先進的なGodeGearとDatabaseGearの機能を単一の製品に統合したEmbarcadero初のソリューションになる」としている。

 今回、CodeGearツールにEmbarcaderoの技術が組み込まれたことにより、新しいエディションが誕生した。Architect Editionである。DelphiとC++BuilderのArchitect Editionは、データベースアプリケーションを設計、構築するための完全なソリューションを提供するために、ER/Studio Developer Editionを含んでいる。同社では、「統合化によってアプリケーション開発の生産性が向上し、製品化までの時間が大幅に短縮される」としている。

 「合併後のわれわれの目標は、アプリケーションとデータベース間にある開発障壁を取り除くことだ。今回、ER/Studioのデータベースアーキテクチャと設計機能をDelphiとC++Builderに組み込み、究極のデータベースアプリケーション設計開発ソリューションを構築した。それがArchitect Editionである」とスウェンデル氏は強調する。

 Delphi 2009とC++Builder 2009は8月25日に出荷する予定。北米での価格は、Professional Editionが1ライセンス当たり399ドル、Enterprise Editionが1299ドル、Architect Editionが2299ドルとなっている。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ