ニンテンドーDSや今後ってどうなんですか?シリーズ人:任天堂豊田氏に聞く(2/2 ページ)

» 2005年02月03日 12時00分 公開
[ITmedia]
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DS購入者の年齢比率について

―― ニンテンドーDSはどのような世代に受け入れられたのでしょう。

豊田 任天堂では「クラブニンテンドー」というサービスを行っていますが、女性層15%が22%になり、19歳以上が49%が59%に上がったという報告を受けています。

 数字は長い目で見なくてはならないとは思いますが、宇多田ヒカルさんのCM効果が大きかったと思います。また、各地でのストリート体験会も重要でした。ゲームと言うことだけでアレルギーを持っていた方も、自分にもできる、自分にも関係のあるものと認識してもらえたのではないかと。

豊田 従来の指先の器用さを競っていたものから、直接タッチペンで遊べるという簡単さが、そういった層を呼び込んだと思います。敷居の低さを強調し、取っ付きがイイと思ってくれました。今後はそれを拡げていくことが大事になります。

 先にも挙げた4月の「Nintendogs(仮称)」のような、触っているだけで楽しかったり、「電子辞書」であったりと、従来のゲームが持っていた定義には入らない手軽な遊びを取り入れていきたいです。

 インターフェースが追加されたことで、いろんな楽しみ方を提供できるようになったのが現状です。社内の開発者たちもすごく健全で、従来の文法にとらわれず、いろんなことにチャレンジしようという雰囲気でいっぱいです。もっとも、任天堂は元々そういう風土なんですが(笑)。

「プレイやん」について

―― 「プレイやん」はPSPを意識したのでしょうか?

豊田 そんなことはありません。先にも述べた任天堂の風土から生まれたものが「プレイやん」だったというだけです。「ゲームボーイアドバンスSP」に付属でこういうものを付ければ、違う楽しさも加味できると現場から上がって来たものを、気軽に商品化しただけのことで、DSにはたまたま対応しちゃっただけです(笑)。

豊田 利用勝手でいえば、ゲームボーイアドバンスSPが一番だと思います。売り方に関しても、「プレイやん」は、その利用に、SDカードにデータを保存して再生と、ある程度の知識を必要としますので、既存のゲームを売っているところで販売するよりは、前提知識を持って購入していただけそうな、ネットでの販売が妥当だろうと。そして裾野が広がってくれば、次のステップにと考えていますが。

ゲーム人口が減少している状況について

―― 最近、ゲームをするユーザー層って限られているように思えるんですが。

豊田 以前ゲームボーイアドバンスで「ファミコンミニ」というシリーズを昨年リリースしましたが、これまでに日米合わせて721万本ほど売れました。昔遊んでいた方が、今遊んでも面白いと思って購入していただいたと思います。

豊田 現在、あまりにも複雑化しすぎたゲームそのものの間口を広くするには、そういう昔のゲームにあった手軽さと、敷居の低さが大事だと改めて認識させられました。

 だからといって既存のゲーム機に簡単なだけのものは「そんなのゲームか?」と既存のユーザーの方には相手にされませんから、老若男女、ゲームの前提知識の有無に関係なく、同じスタートラインに立ってゲームを楽しんでいただくには、新しい遊びの構造をつくる必要がでてきた。

 DSは、ひとつの答えになっているのではないでしょうか? これを機に多くの人に、ゲームと係わりを持ってほしいですね。

今後の任天堂について

―― 今年は、いろんなイベントが目白押しですね。

豊田 今のところ任天堂独自のイベントは考えていません。まずは今年のE3をどうすればいいかを考えているところ。DSがいよいよ欧州で発売され、次いでE3と弾みをつけていきたいですね。

 現在、次世代機を我々は「レボリューション」というコードネームで呼んでいるのですが、それをどういう形で出品すればいいのか、発表すればいいのかを思案しているところです。まあ、他社もそうだと思いますけど(笑)。

1月28日、DS欧州発売発表イベントの様子。3月11日、推定小売価格は、149ユーロまたは99ポンドを予定している。26日の第3四半期連結業績発表の2日後というタイミング
米国、日本に続き、豪州でも2月24日に199.95オーストラリアドルでの発売を予定している。マーケット的には米国の10分の1だが、欧州発売と併せて着々と全世界での浸透を進めている

―― 周囲は気になりますか?

豊田 気にならないといえば嘘になりますが、特に気にしないようにしています。任天堂としては、DSでひとつの答えを出したように、根底に流れている物作りの考え方は変わりません。まあ、他社さんとは進んでいる方向が違うと思っていますし。

 ただ、次世代機として、任天堂からどんな変化球が飛んでくるかと思っているかもしれませんが、我々は従来のハードの延長線上のイメージでやっていくつもりは毛頭ありません。今はその方向性の違いをどううまく打ち出し、「遊びがこんなになるんだよ」と伝えられるかを考えています。

 いずれにしてもE3が「レボリューション」のスタートだという考えは変わりません。実機か映像か、それともコンセプトか……。ある程度の評価も受けたいが、情報の出し過ぎも考えものなので、今はその板ばさみです。楽しさは数値では表せられませんし、遊びの違いをどのように示すかをいつも意識しています。

 話題的には次に行きがちだろうけど、まずはDSの新しい驚きを皆さんのお力を借りて、5歳から95歳までにターゲットを絞って、多くの人に伝えていただきたいと思います(笑)! 

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