「イース」シリーズから考察する最新作「イースIV」は特別な存在(1/3 ページ)
タイトーからリリースされる「イースIV」は、従来発売されていたスーパーファミコン版・PC Engine版とも違ったゲーム内容となっている。以前に発売されていた両機種版共に、賛否両論が渦巻いていると言うこともあり、PS2版がどうなっているのか、気になる人も多いはず。そこで、その詳細をチェックしてみた。
シリーズの中でも特別な存在だった「イースIV」
今でも、数多くのファンを魅了し続けてやまない作品、イースシリーズ。1987年当時、ちまたに氾濫していた“あまりにも難しすぎるゲーム”へのアンチテーゼとして誕生したイースIは、今では日本のPCゲームを代表するシリーズへと成長を遂げたことは、間違いない。
そんなイースシリーズは、大別するとI〜III、IV〜V、VI以降の3つに分けることができる。I〜IIIはパソコンで発売されたシリーズで、IVとVがスーパーファミコンとPC Engine。VI以降やリメイク作品はWindowsプラットフォームとなっている。IやII、IIIなどはコンシューマ機でも発売されているが、ここではこのように定義しよう。そう考えると、パソコン版しか知らないユーザーには、IIIの後はいきなりVIとなってしまう。つまり、その間の作品がどのようにして発売されたのかを、全く知らずに現在へと至ることになる。そこで、まずはIVがどのような経緯で世に出たのかを紐解いてみよう。
IIIをパソコンで発売したファルコムはその後、コンシューマ機でIVを出すことを決めるのだが、当時は3機種が競い合っていた。任天堂のスーパーファミコン(SFC)、NECホームエレクトロニクスのPC Engine(PCE)、そしてセガのメガドライブだ。ファルコムは、これら3機種すべてでイースIVを発売することを考え、原案のみを制作。各社に打診した。それを元に開発、発売されたのが、SFC版とPCE版のイースIVとなる(なお、メガドライブ版のイースIVは、さまざまな事情により発売はされなかった)。
以上の経緯で発売されたSFC版イースIVだが、これまでは開発をトンキンハウスが手がけたと言うこともあり、どちらかというとPCE版が正史と考えられてきた。しかし、イースVIに付属するイースIVがSFC版であることや、ファルコム自身がPCE版をアナザーストーリーと表現していることから、現在ではSFC版が正当なイースのIV作品目となっているようだ。
全てが新しくなったタイトー発の「イースIV」
そのような背景をもつイースIVだが、今回タイトーからPS2用として発売される「イースIV」は、サブタイトルに“a new theory”とついていることからも分かるように、全く新しくなっている。
ちなみに、theoryは理論や学説という意味の他に“説”という意味も持つことから、さしずめ“新説・イースIV”というところだろう。正史となっているSFC版は見た目やシステム、効果音など、パソコン版をプレイしていたユーザーからは“プレイするに耐えられない”との声も聞かれていたほど、あまり良い評判を聞かなかった。もっとも、それは一部のユーザーに限るかもしれないが……。
ともあれ、そういった部分から、今回のイースIVにも心配しているパソコンユーザーは多いはず。だが、そんな心配は全く無用だ。新説というサブタイトルは伊達ではなく、本当に全てが新しくなっているのだ。
全てというのは見た目だけでなく、ゲームシステムやストーリー、音楽までと、まさに何から何までもが新しい、完全なる新作として生まれ変わっている。中でも、すぐに分かるのが見た目とゲームシステムだろう。
SFC版ではパソコン版と同じく、手前から見下ろした感じの視点でゲームが進み、敵への攻撃は主に、半キャラずらしでの体当たりだった。それがPS2版はフル3Dポリゴン表示になり、攻撃方法も剣を振って敵にアタックするシステムへとなっている。
ストーリーは、ベースとなる部分は他機種と同じものの、各所に違いが出ている。BGMもイースシリーズらしくなり、宝箱を開けたときの効果音もお馴染みのものになった。これならば、SFC版に落胆していた人でも納得できる出来栄えだろう。事実、SFC版でがっかりした筆者も、非常に満足できる内容となっていた。早速、その詳しい内容を見ていこう。もちろん、主役は赤毛の少年・アドル=クリスティンだ。
プレイしていて飽きないシステムに感心
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