“絶対に負けられない戦いが、そこにはある”「EVO2005」終了――結果は……?EVO2005 チャレンジ!:(2/2 ページ)

» 2005年08月19日 16時20分 公開
[松井悠,ITmedia]
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それで、大口をたたいたストッキング松井はどこまでいけたのか?

 続々と日本人プレイヤーが勝ち名乗りを上げる中、数年ぶりとなる大会に参加する筆者は柄にもなく緊張してしまっていた。今回エントリーした大会は「鉄拳タッグトーナメント」と「鉄拳5」の2種目。

 まずは「鉄拳タッグトーナメント」の予選プール。使用したキャラクターは「キング」と「ヘイハチ」、「ポール」。EVOLUTIONでは敗北した場合、キャラクターを変更して再試合に臨むことができる。

 総当たりで行われた試合は、4名のうち、3名が2勝1敗という混戦になり、3名での三つどもえ戦に切り替わり、先に2連勝したプレーヤーが1位に、続いての勝負で2位が決定することになるのだが、これがなかなか勝敗がつかず、3周したところでやっと決着。結果、筆者は2位でルーザーズブラケットへ進出することができた。

 そして続けて開催されたセミファイナル。初戦は突破できたが、2回戦で韓国の有名鉄拳プレーヤー「MaDDoGJiN」氏に当たる。かろうじて1試合はとれたものの、氏の怒濤のラッシュの前になすすべもなく敗れてしまった。

鉄拳4時代からトッププレーヤーとして君臨しているMaDDoGJiN氏と、彼の特製ジョイスティック。レバーの形やボタンのスペースが日本とは違うのがわかるだろうか

 気を取り直して「鉄拳5」の予選プールに強キャラクターと目される「フェン」で臨む筆者。人気タイトルの鉄拳5はエントリー人数が非常に多く、予選は5名1プール、合計40プール超の大人数で開催された。

 大盛り上がりの会場の中で「ここまできて負けるわけにはいかない」と気合いを入れている筆者の最初の相手は……ピンクの髪のキュートな女の子。

 ギャラリーからいろいろな揶揄をうけながらも、なんとか勝利を納めて、ほっと一息。続いての対戦相手は、純正のコントローラーパッドを使う「エディー」使い。「クリスティー」と同じ技を持ち、少しリーチが違う程度というキャラクターならなんとかいけるだろう、おまけにパッドで対戦ゲームなんて……とやや慢心気味に挑んだのが間違いだった。華麗なパッドさばきであっという間に2試合を連取され、敗北。もう後がないところまで追い込まれてしまった。

 「次の試合は落とせない!」と気持ちを入れ替えて対戦相手を探すと、イベントスタッフが「さっきから対戦相手を呼んでるんだけど、2人とも来ないから、君が2位、さっきのエディー使いが1位で予選通過ね。おめでとう」と一言。なんだか拍子抜けな予選通過となった。

初戦はカポエラを使うキャラクター「クリスティー」を使う女性との試合になった。ここで負けるのはいろんな意味でまずい、と必死になる筆者

 そして、大会2日目。万全の体調で臨んだルーザーズブラケットセミファイナル1回戦の対戦相手は「ニーナ」。お互いに一進一退の攻防を繰り返すも、力及ばずに敗戦。ここで筆者のチャレンジは幕を閉じてしまった。

 その後、最終日に開催された鉄拳5ファイナルトーナメントはベスト8のうち、日本勢が4人も入っていた。「これは優勝できるのでは!」と試合を見ていると、最強キャラクターの呼び声も高いスティーブの前に、一人、また一人と日本人選手が敗れていってしまう。そして、決勝はウィナーズブラケットからアメリカのCrow氏(スティーブ)、ルーザーズブラケットから日本のYuu氏(フェン)が勝ち上がっての試合開始となる。結果は緩急織り交ぜたラッシュで相手を圧倒するスタイルのCrow氏が勝利。開催国のメンツを見せつけた形となった。しかし、「ストリートファイターIII 3rd Strike」、「カプコン VS SNK2」、「ギルティギアXX #R」、「スーパーストリートファイターII X」の4タイトルを日本勢が総ナメにし、2D対戦格闘ゲームの強さを披露した。

各タイトルのベスト8以降に開催されるファイナルトーナメントは特大スクリーンの前での試合となる。試合が動くたびに大きな歓声と拍手が起きるのは大会ならでは

EVOLUTION2005を終えて……

 試合結果は、ホリさんに専用コントローラ製作に協力していただいたり、皆さんに大口叩いた手前“絶対に負けられない”と意気込んだものの、まったく芳しくなかった筆者(すいません!)。しかし、今回のチャレンジはいろいろなものを自分の目で見ることができたため、かなり実のあるものとなった。

 EVOLUTIONは日本で言う「大会」や「イベント」というよりも、「大規模なオフ会」」といった感じで、タイムスケジュールの周知や、試合の進行状況のインフォメーションをきっちりと行う日本の大会とは趣が少し異なっていて、気分としては「大きなパーティー」に遊びに行っている感じがする。シビアに勝敗を追い求めるよりも、世界中から集まるプレイヤー達とコミュニケーションをとるための場所、というようなイメージだ。決してスムーズな進行とはいえないまでも、アットホームな雰囲気を作り出すことに成功していた。

 渡米していた日本人選手との会話で多く聞かれた言葉は「もう少し賞金が多ければいいんですが…」というもの。EVOLUTIONの賞金総額はおよそ1万ドル程度。一方、世界各国で開催されているPCゲームのトーナメントは大きいもので賞金総額40万ドル超と、渡航費はもちろん、練習をするためのブートキャンプ費用、場合によっては一年分の生活費すらもまかなえる賞金となっている。もちろん、バックアップするスポンサーの数をはじめとするイベント全体の規模が全く違うものなので、簡単に比べるわけにはいかないだろうが、今後、EVOLUTIONがどのような方向に向かっていくのか見守っていきたい。

 また、参加した「鉄拳5」のトーナメント中、特定の技から連続で攻撃がヒットし、体力が一瞬で無くなる、いわゆる「即死コンボ」が決まるシーンが多数見受けられた。

 もちろん、お金のかかった真剣な試合であるが故に、そのゲームでできることを全て使い切るのは当然ではあるが、頻繁にキャラクターの差による一撃即死試合が出てくるとなるとベースとなるゲームバランスにやや疑問を覚えてしまう(注:8月現在、アーケードでは複数の修正が加えられたバージョン「5.1」が稼働中)。

 99年にアーケードでリリースされた「ストリートファイターIII 3rd Strike」がいまなお多くのプレーヤーに愛され続け、さらにはEVOLUTIONのトリを飾るトーナメントになっていることを見ると「ユーザーに愛される対戦ゲームにバランスは重要なのだな」と痛感させられた。

 好評のうちに幕を閉じたEVOLUTIONは来年も開催されるとのこと。会期や会場などの詳細は未定だが、アメリカならではのグルーブ感、そして世界各国のプレーヤーとのゲームを介したコミュニケーションは日本ではなかなか得られないものがある。渡航費、宿泊費もろもろで20万円程度かかるため、決して安くはないものの格闘ゲームプレーヤーならば一度は参加してみるのもいいだろう。

 EVOLUTIONのレポートは以上で終了となる。今回、応援してくださったすべての方にお礼を申し上げるとともに、大会に参加したプレーヤーの皆さんに「遠征お疲れ様でした」という言葉をお贈りしたい。

協力:松崎マーク、TigerGK@ukeru.jp



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