大都会という迷宮を駆け抜ける、ポップでホットな爆走野郎たちの大冒険「クリティカル ベロシティ」レビュー(4/4 ページ)

» 2005年10月24日 16時39分 公開
[水野隆志,ITmedia]
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指先だけではなく、頭脳も駆使するのがクリアの早道

 クリティカル ベロシティは、リアルさではなく娯楽性を追求したゲームだと思う。だが、ここで気をつけて欲しいのは、だからといって“イロモノ”ではないということだ。

 ドライビングゲームとして見た場合、このゲームは、正確な無比な操作をできる人のみが先へ進めるゲームではなく、腕前はそこそこでいいが、その代わり、よく観察し、よく考えた人が勝てる、という内容になっている。このスタンスが、コミック的な設定と相まって、クリティカル ベロシティを、間口の広い、より多くのプレーヤーが楽しめる作品にするのに一役買ってくれているのである。

 その中でも注目したいのが、舞台となるプリヨシティの道路マップだ(以下の写真は特に頻繁にミッションの舞台となる都市中心部のマップ)。

photo 大小の道が複雑に入り混じっている道路網。2車線や4車線、あるいは立体交差と交差点など、マップ上では区別が難しい要素もあるので、実際にはさらに複雑に感じる

 例えば、制限時間以内にA地点からB地点に行け、というミッションに挑むとしよう。この場合、マップを見て最短経路を探ることになるのだが、これが非常に上手く作られていて、絶対的にこのルートが近い、という明確な解答はほとんど得られない。だいたいにおいて、複数の候補が挙がるようになっているのだ。

 ここで重要になるのが、それまでのプレーヤーの観察力と記憶力だ。走行距離に大差がない場合、道幅が広かったか、交差点が曲がりやすかったか、勾配がきつくなかったか、など微妙な道路事情がタイムに影響してくる。あまりカスタマイズしていない車でミッションに挑むときなどは、わずか数秒の差で涙を見ることもしばしばだけに、慎重なコース決定が欠かせないのである。

photo 路上には、さまざまなアイテムがセットされている。損傷した車体のヒットポイントを回復してくれたり、ニトロの燃焼時間を延長してくれたり、といろいろ重宝するので、見つけたら確実に回収しておきたい

 その一方で、やはり一定のテクニックも必要になる。いくらルートの算定がカンペキでも、腕がボロボロではクリアまでの道は遠いだろう。ただ、クリティカル ベロシティはそのあたりのバランスが良く、シナリオモードをクリアしていけば、自然と技量も上がり、先へ進む素地ができるようになっている。同じミッションで何度も失敗することがあったら、それまでのテクニックでは乗り越えられない、何か新しい要素があるのだと考え、落ち着いて別のアプローチを考えるタイミングなのかもしれない。

photo 暴走=過度のスピードオーバーだから、万一、警察に見つかれば、タダでは済まない。どこまでもしつこく追いかけてくるうえに、逃走中にもどんどん新たなパトカーが加勢してくる。もし捕まれば、高額の罰金を払わねばならない
photo コーナーを曲がるときにドリフトを決めたり、対向車を高速で回避したりするなど、ドイライビングテクニックの冴えを見せれば、アクションポイントを獲得できる。これはミッション終了時にボーナスとして加算される

 ストレートでポピュラーなキャラクター、コミック的な設定を十分に採り入れたカスタマイズ、ドラビングテクニックだけでは効率の良いクリアが難しい、考えさせられるミッション攻略。クリティカル ベロシティは、車を運転する楽しさとゲームならではの面白さを、バランス良く併せ持ったタイトルだ。手軽にドライビングゲームを遊びたい人や、車のゲームをやってみたいけど難しそう、と躊躇している人などには、真っ先にプレイすることをお奨めしたい。

クリティカル ベロシティ
対応機種プレイステーション 2
メーカーナムコ
ジャンルドライビングアクション
発売日発売中
価格7140円(税込)
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