Virtual PCでメモリを「ガバッ」と確保して「Harpoon II」を動かす勝手に連載!「レトロ“PC”ゲームが好きじゃー」(3/4 ページ)

» 2005年11月11日 21時47分 公開
[長浜和也,ITmedia]

作戦指揮は「段取り」がすべてなのだ。

 新しく導入されたユーザーインタフェースと追加された新機能などなど、初代にましてHarpoon IIは「複雑」なゲームと評されるようになった。「作戦でできることが増えた」ゲームの常として、増えた機能を全部説明するためにマニュアルが分厚くなるのは当然のことである。ゲームをせずにマニュアルを眺めただけでは「複雑怪奇」と思うのも当然かもしれない。

 しかし、実際にゲームを進めると、初代Harpoonがそうであったように、Harpoon IIの操作体系も「ゲームのための操作」ではなく、実際の作戦指揮の決定過程に則して整理された、いたって直感的な分かりやすい構成であることに気がつく。「複雑怪奇」とはまったく逆の「単純明快」なゲームなのである。

 ただし、リアルタイムシステムで、かつ多数のユニットが広範囲に展開する状況で、シミュレータゲームのように、個別の部隊へ速度や針路をリアルタイムに指定したり、ミサイルの発射をその都度命令するような戦いをすれば、部隊と戦況の把握は不可能になる。「何が起こっているか、さっぱり分からないうちに一斉攻撃を受けて全滅」というHarpoon初心者がよく陥る状況はこういうときに起こる。

 複数の部隊を擁する作戦を指揮するとき、必要なのは「個別の部隊に場当たり的な命令をリアルタイムで下す」ことではなく、「作戦目標を達成する行動計画を立案して実行させる」ことにある。ヒゲをはやして威張っている将軍や提督(とその取り巻きの司令部幕僚)といってもやることは「段取り上手な宴会の幹事さん」とそれほど違わない。

 作戦を成功させるための段取りというのは「艦隊陣形における兵力配置」だったり、「艦隊の進撃針路」であったり、「哨戒区域の策定」だったり、「攻撃兵力の編成と武装の選択」だったりする。

 Harpoon IIではそのあたりの「段取り」を直感的な操作で設定できる。

 艦隊陣形の兵力配置を指定したければ「Formation Editor」を起動して、ASW、ASuW、AAWそれぞれに兵力を割り当てて、マウスで配置場所と警戒担当エリアを設定する。Harpoon IIでは航空兵力、潜水艦、水上兵力それぞれに脅威軸(攻撃が予想される方向)をFormation Editorに指定して、脅威軸方位の変化に合わせて、ASW、ASuW、AAWに割り当てた艦船、航空機の配置を「自動で」変更する機能が盛り込まれている。

 哨戒や攻撃を実行するなら、行動目標(攻撃任務なら攻撃目標を、哨戒任務なら索敵するエリア)をマウスで選択してからMission Editorを起動して、任務に赴く部隊の割り当て、武装の選択、行動中の速度、高度、センサーのモード、などをプロットする。

 あとは、こうして立案した行動を粛々と実行していけばいい。きっと予期せぬ敵を発見したり、予期せぬ攻撃を受けたりするだろう。発見した敵にはMission Editorで攻撃任務を立案すればいいし、攻撃してきた敵には、そのユニットをクリックして表示される迎撃部隊を向かわせればいい。

Harpoon IIで用意されたFormation Editorの機能は基本的に初代Harpoonと同じ。消化エリアの設定や、攻撃してくる敵の方位に合わせて艦隊陣形の配置を自動で変更できる機能が追加された

Mission Editorは初代Harpoonの「Enter Group Coruse」を発展させたもの。「部隊に行動計画を割り当てていた」のが「作戦計画に部隊を割り当てる」ようにしたことで、実際の作戦指揮に近い手順を再現できるようになった

Harpoon IIにおける作戦指揮のポイントは、FormationEditorとMissionEditorといってもいい。事前に配置した兵力を用いて、出現する敵兵力に対処するのが、統制の取れた作戦を進行させる「勝利の方程式」となる

 このように、実際の作戦指導の過程で行われるであろう流れに沿って、Harpoon IIというウォーゲームの中でもユニットのコントロールが行われる。初代Harpoonの改善要求として「ミサイル1本単位の武装や1機1隻単位の移動、武器の発射など、ユニットをもっと細かく操作させて欲しい」という声があったのも事実だ。しかし、Harpoonは原則的に艦隊レベルの戦闘を再現する「作戦級」ウォーゲームであることを考えると、このゲームデザインにおける「詳細と省略のバランス」は非常によく取れていると思える。

 実を言うと、この「直感的な命令体系」は初代Harpoonですでにある程度確立している。ユーザーインタフェースをはじめとして、Harpoon IIで追加された新機能はゲーマーの「省力化」がメインであったので、初代Harpoonでも運用次第でHarpoon IIと同じような「作戦指揮」は可能なのだ。このことが、初代HarpoonがHarpoon Classicとして今も存在する理由でもある。

 ただ、Harpoon IIで採用された「通信システム」「補給」などの概念は、海軍作戦の可能性において重要なテーマを与えてくれる(とくに空中給油のサポートは、防空作戦におけるこの種の機体の有効性について興味深い考察を提供してくれるはずだ)し、それとは別に、日本人ゲーマーにとって大きな存在理由がHarpoon IIにはある。

それは「自衛隊」である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/27/news008.jpg 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. /nl/articles/2404/27/news009.jpg しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  3. /nl/articles/2404/27/news003.jpg 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  4. /nl/articles/2404/27/news005.jpg “女子小学生”がメンズカットしたら……「え!」 その驚きの大変身に「な、なに!?」「絶対モテる」と反響
  5. /nl/articles/2404/28/news005.jpg 「とんでもないものが売ってた」 ハードオフに“33万円”で売られていた「まさかの商品」に思わず仰天
  6. /nl/articles/1901/08/news126.jpg 正体不明の「なにかふしぎなもの」がハードオフで販売→Twitterで情報集まり正体が判明
  7. /nl/articles/2401/18/news035.jpg 「起動しません」 ハードオフで4000円のジャンクPS4購入→電源入れると“驚きの結果”に「そんなことあるんだ」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  10. /nl/articles/2404/28/news023.jpg 飼い主へ驚きの理由でブチギレるタコ 「こんなんうちの3歳児じゃん」「めちゃくちゃ人間くさい生き物ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」