タイトル復活にてお呪い申し上げます――新世代のドラキュラで年を越せ:「悪魔城ドラキュラ 〜闇の呪印〜」レビュー(1/3 ページ)
今や世界的にも有名な作品となった“悪魔城ドラキュラ”シリーズ。その最新作が、PS2でお目見えとなる。前作では、若干荒削りな面が見えていたと思われたシステムも、今作ではより完成度を増している。果たして、どのような形で結実したのだろうか?
それは1986年に始まった
1986年9月にファミコンで、10月にMSX2で発売され、たちまちのうちに人気を博した作品、それが悪魔城ドラキュラシリーズだ。当時、ファンタジー色を持ったアクションゲームは数多くあったものの、主人公の武器が鞭であるという点やホラー映画のような演出が功を奏し、ファンの獲得に成功。現在に至るまで、様々なハードにて数多くのタイトルが発売されてきた。
シリーズ1作目となった「悪魔城ドラキュラ」は、元々ディスクシステムタイトルだったため入手困難と言われてきたが、先頃ファミコンミニという形で復活を遂げたため、気軽に遊べるようになった。すべてはそこから始まったわけだが、シリーズは途中で一度、大きな転換期を迎えている。それが2002年に行われた、タイトルの統一だろう。
それまで、国内版は悪魔城ドラキュラ、海外版は主にCastlevaniaというタイトルだったのだが、この時にどちらもCastlevaniaで一本化された。さらに、シリーズを重ねてきたために、やむを得ず生まれてしまった矛盾を解決するため、一部作品の外伝化なども行われたのだ。これに関しては賛否両論、様々な意見が寄せられたようだ。最終的に、Castlevaniaというタイトルは日本では受け入れられなかったらしく、これまで通りの“悪魔城ドラキュラ”という名前に戻っている。
PS2では2003年末に「Castlevania」が発売されているが、大勢がプレイするプラットフォームでの3Dドラキュラは、これが最初といってもよいだろう(NINTENDO64版もあるが、ここでは置いておく)。そのため、“ドラキュラシリーズといえば2Dなのが当たり前!”という意見も数多く聞かれ、ここでもまた賛成派、反対派が出たようだ。
実際にプレイしてみると、難易度はそれまでのドラキュラシリーズよりも若干高いように感じられ、また3Dということもあって、周りで手を出した人は少なかったように見受けられた。個人的には、プレイしていても爽快感を感じられる場面が少なかったように思え、また、難しかったという印象が残った作品となっている。しかし、今回発売される「悪魔城ドラキュラ 〜闇の呪印〜」は、そんな前作の印象を忘れさせるほどの出来の良さがあった。
創る・成長させる楽しみが味わえる
今作での主人公は、かつてドラキュラに仕えていた悪魔精錬術士のヘクター。悪魔精錬術士とは、人間でありながら自らにのみ忠誠を誓う悪魔“イノセントデビル”を創り出すことが出来る人物の総称だ。
ヘクターは元々、ドラキュラに仕えていたものの、唐突な人間への虐殺に我慢が出来ず悪魔精錬術士としての力を捨て、そこを去ってしまう。しかし、同じ悪魔精錬術士のアイザックはヘクターの裏切りが許せず、彼の恋人ロザリーを異端審問官に売り渡す。結果、力を捨てたヘクターはロザリーを助けることができず、彼女は無実の罪で処刑される。恋人を殺された復讐を果たすため、ヘクターはアイザックを追う。そこに、何が待ち受けようと……。
今回のストーリーからも分かるように、主人公はヴァンパイアハンターではなく、ドラキュラの側近だった悪魔精錬術士となる。そのため、以前にPSで発売された「悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲」のように、さまざまな種類の武器が使えるようになっているのだ。
敵を倒すと、青銅や黒曜石、野生の記憶といったアイテムを落とすのだが、これらを集め、メニュー画面から武器合成を選ぶと、新たな武器も創り出すことができる。実は、これが結構楽しい。お店で購入するのではなく、自らの手で新しい装備品を創り出せるのは、なかなかツボにはまる。必要なアイテムがなければ、持っている敵の場所へと移動して倒せばいいので、新しい街へ着いたらショップに入って買い物……なんてことをするより効率がいい。中でも、一番数多くのバリエーションがあるのが武器。剣や斧だけでなく、槍や格闘戦が挑めるナックルなどの他に、分類できないジャンルのものまで用意されている。これらは、攻撃力は高いが動作が遅いなどの一長一短があるので、腕や趣味に合わせて使い分けるといいだろう。
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