より実機の手応えを体感したい人に――大空へのススメ「Over G」インタビュー(2/3 ページ)

» 2006年03月29日 16時54分 公開
[松井悠,ITmedia]

F-15に初めて乗ったときの強烈な印象が「Over G」のリアルを作り上げた

眼前に広がる計器類の数々。ゲーム中はこれらもすべて、実際に稼働している

田中 空の感じ、地形、そういうのは感心するほどよく作られているんですけれども、ね。わたしがたまたまF-15が航空自衛隊へ導入される時にテストパイロットをやっていましたので、そういうデータなんていうのはもう、体に染み付いている。例えば、高度1万フィート、2万フィート、3万フィートそれぞれで、アフターバーナーの場合と、ミリタリーの場合とで、例えば、マッハ0.7から1.2までに何秒かかる、というようなものが確実に自分の中にあるわけです。

―― そういったカタログスペックと、ご自身の体にある感覚の融合で作り上げている、と。

田中 それから昔の飛行日誌をひっくりかえしてみて、データが書いてあったらそれを参考にしましたけれども、その中には数値的なものはほとんどないですね。なので、基本になるのはまずカタログスペック。それからF-15に初めて乗ったときの強烈な印象です。

―― そういったゲーム内「F-15」は、今までの「EAF」とは随分変わっていますか?

新地 これは、今だから言えるんですが、F-15をゲームに落とし込んでいくときに、田中さんがおっしゃることというのが、私たちが認識していたF-15とかなり違っていました。「こんなに性能を良くしちゃって大丈夫かな?」と内部で相談したくらいですから。それで、徳永さんに相談をしたら「その機体に乗ってるパイロットっていうのは大体性能を50%増しで言うので……気をつけてくれ」と言われまして。それで、米軍のパイロットに、ほかの機体のこともあわせて、ちょっと違うアプローチで聞いてみたら「確かにそうだね、これでいい」と太鼓判を押されまして。開発中には「日本のF-15は特別に性能がいいんですか?」って話もあったくらいです(笑)。そんなこともあって「大丈夫かな?」と思いながらずっとやってましたね。半年くらいはずっと……どきどきしながら。

―― 結局、田中さんのおっしゃるF-15がゲームに入り、それがベースとなってどんどん次の機体が作り出されていった、と。

新地 そうですね。最初はEAFのゲームエンジンを使っていこうと思ったんですが、全部作り直しになりました。F-15はすぐに終わる予定だったんですよ。そんなに特殊な癖をもった機体でもないらしいですから。それがいろいろと調整するうえで時間がかかってしまって。「とにかくF-15を早く終わらせて、次の機体に行かないと間に合わない!」と焦っていたんですが、結局F-15だけで半年近く使いましたね。

―― その苦労の中で作られた“Over GのF-15”。田中さんの評価はいかがですか?

田中 もう、ほぼ実機ですね。操縦装置さえ本物をつけていただければ、実際のフライトシミュレーターとして航空自衛隊に持っていっても売れるんじゃないかなというくらいです。

新地 それもありでしょうか? F-15というのは世界の戦闘機が目標にしているという代物で、アメリカが本気で作った戦闘機らしいですので……さまざまな戦闘機を比べるための物差しになるんです。ほかの機体を作るにあたってもF-15という基本的なものができたおかげで、すごくやりやすかったですね。

いままでのものとは本当に感覚が違う。実際に戦闘機を動かしていた人の感覚を大事にした

―― ゲームが発売されてからは、どんな反響があると思いますか?

新地 うーん、まだ想像がつかないですが……。まず、戦闘機ファンの方たちに対しては「Over Gは実機に近いんだ」という風に思ってもらえるか心配ですね。いままでのものとは本当に感覚が違いますから。操作の部分では「遊び」の部分をぎりぎりまでつめているんです。一般的にコントローラは操作してから認識するまでに若干遊びの部分がありますが、その遊びの部分を田中さんが嫌ってらっしゃったので、かなり調整を行いました。

特定の機体では、敵機体を正面にとらえていなくてもロックを持続させられる。また、右のアナログスティックで敵をサーチすることも可能

田中 例えば横に力を加えた場合なんですが、遊びを超えて、動き出す力というものが大事なんですよ。せいぜい、2ポンドから2.5ポンドくらいの圧力で機体が応答してくれないと困るんです。そういうところから「このコントローラ駄目だね」とか言いながら……(笑)。

新地 田中さんに、微妙な操作を行って頂くんですが、飛行機がコントローラの誤差で震えてしまう。これをどうしたものかと。しかもコントローラには個体差がありますから。

田中 結局それは修正できたんですか?

新地 もうギリギリまでやれるだけやりました。あと、「さらに詰めたい人にはどうぞ」ということで、キーコンフィグに遊びを詰めたりできる要素をいれてあります。だからご自分のコントローラの程度がよかったら「ギリギリまで詰めてください」ということで。それをわざわざ作るのは大変でしたが、そこはプログラマーに頼んで作ってもらいました。

―― 操作感の部分についても、戦闘機のコアなファンは一家言あると思いますが……。

田中 東京ゲームショウで展示したときに「横転が早すぎる」なんて言っていた人がいましたね。

新地 ええ。「ロールが速すぎる」って言われました。インターネットの掲示板を見ていると「実機はこうじゃないはずだ」なんて、会話がなされていることもありましたが……。やはり実際に戦闘機を動かしていた田中さんの感覚を第一にしました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/01/news138.jpg イオンモールで販売「シフォンケーキ」にカビ発生、5000個回収へ “下痢”の報告で調査中……出店企業が謝罪
  2. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  3. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
  4. /nl/articles/2405/01/news095.jpg 秋元康、AKB48卒業の柏木由紀に送った手紙が物議 “冒頭の一文”に「昭和丸出し」「嫌すぎる」
  5. /nl/articles/2405/01/news013.jpg IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  6. /nl/articles/2405/01/news093.jpg 500円玉が1つ入る「桔梗のお花ケース」が100万件表示超え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「お小遣いあげるときに便利」「美しい〜!」
  7. /nl/articles/2404/30/news015.jpg 【今日の計算】「500×99」を計算せよ
  8. /nl/articles/2404/30/news165.jpg 「これは変態だ」 職人が“鉄の塊”から作った「はぐれメタル」がガチすぎる 狂気の手作業に驚き「いかれてるw」
  9. /nl/articles/2405/01/news104.jpg 「そっち使うの?!」「これは天才」 さびだらけの鉄くぎをぐつぐつ煮込むと……? DIYに役立つ“まさかの使い道”が200万再生
  10. /nl/articles/2405/02/news013.jpg 2歳娘、自分のバースデーフォトをセルフタイマーで…… プロ顔負けの仕上がりに「すごーーーーーーー!!」「天才すぎます」と称賛の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評