DSカードの限界に挑戦? ゼノサーガを再び自らの手の中で「ゼノサーガI・II」レビュー(1/3 ページ)

独特の世界観と物語、魅力ある登場人物たちで話題をさらい、年内には完結編となる3作目のリリースがPS2版で予定されている「ゼノサーガ」シリーズ。その1、2作目を一度に遊べてしまうという、ぜいたくなソフトが登場した。オリジナルと比べて、果たして何が違うのだろうか?

» 2006年03月31日 18時10分 公開
[篠崎薫,ITmedia]

確たる世界観を構築できれば、プレーヤーを虜にすることも

 ゲームを作るに当たり、初期の段階で何よりも大切なのは、魅力的な世界観の構築だろう。これの上手下手で、プレーヤーをトリコにできるかどうかが変わってくる。薄っぺらい世界を作るのは簡単な反面、底の浅さがすぐにわかってしまい、あっさりと飽きられてしまう。反対に、奥深く、それでいて矛盾のない世界を作るのは非常に大変な作業となるが、その分プレーヤーに受け入れられたときの反応は良好なものとなる。また、いくつかの解明できない謎を盛り込んでおき、その判断を各プレーヤーにゆだねるというのも、世界観を盛り上げるには欠かせない要素といえる。

謎の存在グノーシスと戦ううちに、少しずつ浮かび上がってくる真実。プレイしていると、奥深いストーリーにどんどん引っ張り込まれるのだ

 このようなテクニックを使い、大成功を納めたアニメといえるのが、社会現象まで巻き起こした“エヴァ”こと「新世紀エヴァンゲリオン」だろう。難解な単語や謎だらけの世界観、未解決のまま進むストーリー。そして、宗教的な要素が色濃く反映された世界。そのどれもが、見ているものをトリコにするには十分な要素となり得た。残された謎を解決すべく、ネット上などでも熱い議論がかわされていたのは、記憶に新しいところだろう。

 そんな魅力的な世界観を持つ作品は、もちろんゲームにも存在する。難解な単語に謎多き登場人物、正体不明の敵などが作品のいたる所に現れ、時には私たちを悩ませ、時には新たな疑問を投げかけてくる「ゼノサーガ」シリーズが、それだ。正体不明のグノーシスと呼ばれる敵との戦いを繰り広げながら、さまざまな謎に包まれた物語を少しずつ紐解いていく様は、プレーヤーの知的好奇心を駆り立てるには十分だ。すでに、プレイステーション 2(以下、PS2)版としてエピソード1とエピソード2の2作品が発売されているが、ニンテンドーDS(以下、NDS)版は1と2を1本にした形「ゼノサーガI・II」でのリリースとなっている。

壮大なる叙事詩を、手のひらという宇宙の上でプレイできる楽しさ

見た目はシミュレーションRPGライクな視点だが、思った以上にプレイしやすい

 物語は、今から約4000年後の未来。グノーシスと呼ばれる謎の存在により、人類が絶滅の危機にさらされているところから始まる。未知の物体ゾハルに、対グノーシス用兵器として開発されたKOS-MOSなど、多数の謎を抱えた魅力あるストーリーが展開されていく。一言で記すならば、まさに“壮大なる宇宙の叙事詩”であり、それを手のひらの上でプレイできるのは、ファンとしてもうれしい限りだろう。

 基本的なシステムはPS2版の1作目を踏襲する形になっているが、難解と思われる部分に関しては随時解説が入るようになっているので、シリーズをはじめてプレイする人がマニュアルを見ずに遊んでも、何ら困ることはないだろう。ストーリーはほぼ一本道で、斜め上から見下ろした形で表示されるフィールド上を歩き、特定の場所へたどり着くかボスを倒すなど、条件を満たすと次のシーンへと移る。全20章で構成されており、基本的には1作目の内容が10章まで、11章からは2作目となっている。PS2版では1作目と2作目の間に14年前のシーンが入っていたが、本作はシームレスに繋がっていて不自然さを感じることはまったくなかった。

フィールドでYボタンを連打していれば、壊せそうなものは勝手に破壊してくれる。しかし、中には文句を言うNPCもいたりするのがおもしろい

 フィールドには破壊できるターゲットがあり、Yボタンで壊すとアイテムが入手できたり先へ進めるようになる。とはいえ、アイテムは敵との戦闘でかなり大量に入手できるので、無理にゲットする必要はないかもしれない。また、EVSプレートと呼ばれる部分に触れると、パーティのHPとEP(俗に言うMPのようなもの)が全回復する。PS2版ではここでしかセーブできなかったが、NDS版はイベントや戦闘中以外は好きな場所でのセーブが可能になっている。この変更はうれしいのだが、2カ所しかセーブファイルが作れないのが残念。

 それにしても、あの壮大なる叙事詩を持ち運ぶことができると言われても、最初はピンと来なかったものだ。物語のスケールが大きいだけに、据え置き機+きちんとしたモニタ+ステレオコンポという設定しか似合わないと思っていたのだが、なかなかどうして携帯ゲーム機でも、あのスケールが再現されているのには驚いた。しかも、ちょっとプレイしてはセーブしたり、スリープが可能なので、通勤通学中に手軽に遊べるのもありがたい。

戦闘シーンは非常に簡単で、イライラする要素はまったくナシ

 戦闘シーンもPS2版の1作目に近い形で作られているが、難しいことは特にない。ターン開始時に、各キャラ共に2ポイントのAPを付与される。通常攻撃では1ポイント、アイテムやEP使用時には2ポイントなど、何らかの行動を取るとAPが減る仕組みだ。敵を攻撃するにはXまたはYボタンで、X軸が合っているときなら強力なXボタン攻撃が出せる。Yボタン攻撃は威力が小さいものの、どんな場所にいる敵にでもアタックできるので、汎用性に富む。敵味方共に3×3のマス目内に向かい合わせで配置されるので、味方キャラをうまく移動させて、敵に大ダメージを与えるようにしたい。

 なお、ガードや攻撃を1度で終わらせるなどしてAPを3ためると、強力な必殺技が出せる。1ターンでは発動させられない技だけに、その破壊力は大きく、ボス戦などで威力を発揮するのだ。ちなみに、必殺技は通常攻撃を2回繰り出した後にAボタンで発動できるのだが、あらかじめメニューでセットしておかないと出せないのには注意したい。とはいえ、最低限の必殺技だけは最初からセットされているので、序盤はあまり気にする必要もないのだが……。

ターゲットにはそれぞれX、Yのマークが表示されているので、どのボタンがどの敵に攻撃するのか、一目で分かる。これなら迷うことはない
条件次第では、攻撃キャラのカットインが入る。一瞬しか表示されないものの、このような演出はファンにとってはうれしいものだろう
必殺技は簡単に出せないだけに、その威力はかなり強い。ボス戦などでは積極的に発動させたい

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