12年待った――糸井重里さんへの手紙「MOTHER3」レビュー(3/4 ページ)

» 2006年05月10日 16時37分 公開
[篠崎薫,ITmedia]

ストーリーだけでなく、優れた戦闘システムも敬服

しばらくは1人での冒険となるので、城内でのHPには十分注意したい。何はさておき敵と遭遇したら眠らせ、サウンドバトルで早めに倒すのがいいだろう

 このような感じで展開していく第1章だが、途中で登場するキャラの1人に、平和なタツマイリ村では何の役にも立たないドロボーの技術を身につけた人物、ダスターがいる。彼は師匠のウエスに命じられ、村の奥にある閉ざされた城へ潜入し、とある宝物を取ってくるように言われるのだ。第2章の主人公は、そのダスターとなる。

 実は彼は、とあることが原因で左足が悪いのだ。もちろん、ゲーム中の移動にはまったく関係がないのだが、表示されているドット絵をよく見ると、微妙に変な歩きや走り方をしているのが分かるはず。ドット絵は暖かみがあるものの、描ける範囲が制限されていることから、細かな表現を苦手としている部分があった。しかし、本作では細かなパターンを作ることでそれを克服し、表現力豊かなキャラたちへと仕上げている。今や、(ニュアンスは若干違うが)ポリゴンでの描画が全盛を占める世の中ではあるものの、ドット絵でもまだまだいけるということを感じさせてくれる出来だ。

 第2章では城内を探索して、隠されたお宝を見つけるのが目的。ところが、持ち帰ったお宝はウエスが考えていたものとまったく違ったために、今度は師匠と弟子の2人でお城へ潜入することに。そこで、お姫様のクマトラと出会い、行動をともにすることに。彼女はPSIを使うことができるので、戦闘が非常に楽になるのだ。

なお、フィールド内を多く歩き回ると、経験に応じてPSIを使えるキャラたちの体に異変が起き、体が熱っぽくなる(このときBボタンを使用してのダッシュはできなくなる)。これは新しいPSIを覚える前兆で、しばらく歩き回っていれば新しいPSIが使えるようになる。このような独特の演出を挿入することで、戦闘や移動を単調なものからアクセントのあるものへと変化させ、プレーヤーを飽きさせないように工夫させているのだ。

 なお、城内だけでなくいくつかの場所には、パーティー全員のHPとMPを回復させることができる温泉がある。これを使えばタダでステータスを全回復させられるので、行った先では必ず場所をチェックしておきたい。

ダスターの歩いているところをじっくり観察すると、歩き方が微妙に違うのが分かる。ドットは細かくできないものの、その分を動きでカバーしているのだ
なぜか歩いている最中に、突然汗をかき出す。これは新しいPSIを覚える前兆。しばらく走れないので、安全なところでうろつくのがいいかもしれない
温泉には5秒以上浸かっていないと回復しない。これがいまいち面倒なのだが、そこも現実と同じく、お風呂はじっくり入るものだと思えば納得。カラスの行水ではダメなのだ

シルエットは後ろ姿も用意されているので、すべてを集めるのは一苦労

 この章で得られるアイテムの1つに、「たたかいのきろく」と呼ばれる書物がある。ここには、プレーヤーがそれまでに出会った敵のすべてが記録されているのだ。しかも、閲覧中にスタートボタンを押せば敵が一切攻撃してこない練習戦闘もできてしまうので、苦手な相手との事前予習を行っておけば、相手を簡単に倒せるようになるだろう。さらに、たたかいのきろくにはモンスターのシルエットも掲載されるのだが、前だけでなく後ろ姿も収録されている。つまり、正面からだけでなく敵の背後からもエンカウントしないと、すべてのグラフィックが集められない仕組み。さりげなくやり込み要素が詰まっているのも、にくい演出だと言えよう。


各章の始まりと終わりには、画面にナレーションが表示される。毎回、気になることが書かれているので、ついつい止めずに続けてしまう

 ところで物語だが、最終的に、城の奥にあるお宝をゲットするものの、トラップに引っかかって水に流されてしまう3人。クマトラとウエスは無事に村へ戻るが、なぜかダスターの姿だけ見あたらない。果たして、彼はどうなってしまったのだろうか……。

 このように、どの章も非常に気になる終わり方をするため、中断したくてもぐいぐいと次の章へと引っ張られてしまう。

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