現代社会に潜む“IT犯罪”を任天堂×レッド・エンタテインメントのコンビが描く「プロジェクトハッカー 覚醒」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年07月24日 14時43分 公開
[立花裕壱,ITmedia]
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個性が光るIT捜査官たち

 GISのメンバーにはそれぞれ役割がある。例えばプログラミングやデータ解析は現役女子高生のケイが担当する。危険な場面では、トレーニング室で鍛え上げた強じんな肉体が自慢のバルデスの出番だ。サトルに便乗して組織に入ったリナはムードメーカーを務める。ひと癖あるキャラクターぞろいのGISはチームワークも見どころのひとつだろう。

雨坪サトル
 コンピュータならお任せの大学生。ハッキングの腕は政府のデータを盗み見ることができるほど高い。その能力を買われてGISへスカウトされる。基本的に真面目な性格で、幼なじみのリナの暴挙にいつも振り回されっぱなし。

小久保リナ
 サトルの幼なじみ。サトルの家へ勝手に忍び込んだり、いたずらメールを送ってきたりと、何をするか分からない天然のトラブルメーカー。大概の事件の発端はリナという説も……。PCにはあまり詳しくないが、サトルと一緒にGISにスカウトされ、すっかり周囲を自分のペースに巻き込んでしまう。

南ケイ
 現役女子高生にして、GIS解析室でも屈指の優秀なスタッフ。高校とGISの仕事を両立させているため、忙しいときは徹夜続き。それでもがんばる姿はけなげで心打たれる。なぜかかなりのオカルトマニアで、宇宙人の存在を心の底から信じている。宇宙人系の話になると、突如テンションがアップ。ここはチャームポイントなのか、欠点なのか……。

瀬串ミスヅ
 GISが誇る美人部長。人員不足からサトルとリナに目をつけ、GISへ引き入れる。冷静な状況把握能力と、的確な判断力の持ち主で、普段はサトルとリナの行動を見守るきれいなお姉さん役。名前に負けずセクシーなのは「クノウ姉妹」を特集した雑誌を見て研究しているからとか。

バルデス
 ミスヅ専属のSP。陽気なアメリカ人。パソコンが得意でない代わりに戦闘力は抜群だ。すごい筋肉の持ち主で、タンクトップ姿でバーベル片手にオフィスを歩く様子はまったく持ってIT関連の組織の一員とは思えない。

photo 普段はちょっと頼りないが、PCの前に座れば人が変わる。ミスヅにも目をかけられる期待のホープだ
photo すべてはリナのいたずらから始まった!? というほどトラブルメーカーのリナ。主人公の良きパートナーだが……
photo GISの心のオアシス、女子高生のケイ。かわいいけど真面目系天然少女。オカルトネタが大好きで、宇宙人とのチャネリングを試みている

 こうした顔触れでストーリーは進む。ここでの注目はキャラクターの細かい表情だろう。得意げな顔、困ったときの表情、何か思い出しているとき……とパターンが多く、脇役陣も含めてみな生き生きしている。シナリオ構成は全5話。1話クリアするとゲーム内の成績でS〜Cのハッカーランクが表示される。

サイバー感あふれるミニゲーム

 普段は会話やネットでの情報収集がメインでアクション要素はない純粋なアドベンチャーだが、事件の要所要所、敵との攻防戦や、ハッキングの際のファイアウォールの破壊といった部分にはシューティングなどのミニゲームが入る。画面がいかにも電脳空間といった感じで、サイバーパンク気分に浸れる。このミニゲームの代表的なものは以下の通りだ。

妨害プログラム
 IT犯罪者のハッキングに対抗するためのミニゲーム。1つの面だけ塗られた透明な多角形が回転しながら迫ってくるので、色がついた面をタッチして破壊する。タイミングが合わずタッチでミスをすると、もう一度その面がこちらを向くまで待たなければならない。多角形はひっきりなしにこちらに降ってくるから、パニックにならないように注意しよう。

攻撃プログラム
 敵のファイアウォールを突破して、不法なプログラムのコントロールを奪取するミニゲーム。プレーヤーの前にはパネルでできた壁が立ちふさがり、そこを光るパネルが移動する。光るパネルの移動コースを予測して、タッチして破壊しよう。ほかのミニゲームに比べてアクション要素は低い。

侵入プログラム
 接続されているプロキシサーバをたどり、敵ハッカーのアクセスポイントを突き止めるミニゲーム。レースゲーム風の作りでスピード感はバツグンだ。チューブのようなコース内で、次から次へと現れる壁を、自機をスライドさせて避けていく。制限時間は比較的短い。

photo 次々と出現し、接近する妨害プログラム。アタックポイントの赤い一面をタッチして破壊していこう
photo 光るパネルをタッチしてファイアウォールを破壊するミニゲーム。動き方は規則的だが、タイミングが難しい
photo 世界中のアクセスポイントをたどるレースゲーム風ミニゲーム。自機をタッチすると加速する。演出がワールドワイドでかっこいい

 これらのミニゲームはすべて反射神経と集中力が求められる。失敗するとゲームオーバーになるため、ミニゲームに入る前はセーブしておいたほうがいいだろう。エンディングを迎えると「おまけ」モードでこれまでのミニゲームが遊べるようになる。

システムを練った新作を希望

 プレイ時間はおよそ10〜15時間程度。医療問題、環境問題など、社会派ネタを取り扱ったシナリオは情報量も多く、このくらいのボリュームでもちょうどいいと感じた。終盤は話が一気に展開し、最後まで飽きさせない。

 アドベンチャーとしては申し分のない内容だが、移動などのシステム部分に少々気になる点が残った。どこかへ行く場合、必ず「センターパーク」か「駅前ロータリー」を経由しなければならないからだ。最近のアドベンチャーは直接目的地に移動できる場合が多いので、この仕様は面倒くさいと感じる人が多いのではないだろうか。

 もうひとつ、読み返し機能がないのも少し不便だと感じた。事件の情報をきちんと整理しなければならないゲーム性だからこそ、できれば前の文章を自由に読み返せるのが理想だろう。また、メッセージスキップがないことで、Sランクを狙って再プレイという気持ちにも水を注す。こうした、直接中身と関係ないところで評価を下げてしまってはあまりにもったいない。遊びやすさの部分で、あと一歩詰めをしっかりしていれば、かなりの秀作になったのではないか。本当に惜しいと思う。

プロジェクトハッカー 覚醒
対応機種ニンテンドーDS
メーカー任天堂
ジャンルアドベンチャー
発売日発売中
価格4800円(税込)
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