スナイパーHは再び後ろからヘッドショットを狙えるか――「WINBACK2 Project Poseidon」「WINBACK2 Project Poseidon」インタビュー(1/2 ページ)

北米と日本におけるガンシューティングの立ち位置――2つの温度差を身をもって体感するコーエーの「WINBACK2 Project Poseidon」開発陣は、両方の立場で冷静に現状を見つめる。そしてそんな彼らをスナイパーHも遠くからスコープ越しに見つめていた。

» 2006年07月31日 16時01分 公開
[加藤亘,ITmedia]

 6月に発売された「WINBACK2 Project Poseidon」は、コーエーが1999年9月にNINTENDO64で、2000年12月にプレイステーション 2で発売したガンシューティングゲーム「WINBACK」の続編にあたる。実にプレイステーション 2では6年ぶりの最新作は、描写のリアルさよりも、その状況に対する自由度を追求している。

 チームで協力してミッションを達成する「リンクシステム」が特徴だが、これは別ルートでプレーヤーが行った行動が同時進行で別ルートから潜入しているプレイに影響するというもの。また、4人まで対戦可能な「マルチプレイヤーモード」では、4分割された画面で和気藹々と相手の状況を見ながらプレイでき、いわゆるオンライン対戦とは別の楽しさがある。

 ミッションも10のエピソードで構成され、戦場となるステージも39エリア(78ルート)と豊富。敵に気づかれずに近づき仕留めるものや、時限爆弾のタイムリミットに急かされるものなど、さまざまなシチュエーションが楽しめるようになっている。狙撃部位をプレーヤーが任意に選ぶことができ、足を狙い動けなくしたり、右手を撃ち抜き武器を落とさせるなど、戦略的な戦闘も可能。敵が落とした武器を獲得することもできる。敵からの攻撃はレーザーポインターで画面上でも判別できるので、ロックオンされた緊張感の中、回避行動も取れる。アサルトライフル、ハンドガン、サブマシンガン、ショットガンなど武器を状況に応じて変更し、ミッションクリアを目指すといった内容だ。

 ガンシューティングゲームというジャンルは、一部を除きとかく日本では苦戦を強いられる。しかし、海を渡ったアメリカではFPS(ファースト パーソン シューター)のゲームが隆盛を誇っているのが現状だ。そのタイトルもさまざまで、SFものから第2次世界大戦もの、さらに現代を舞台にしたものなど、よりリアルにより戦略的なものが求められている傾向にあるようだ。

 そんなFPS全盛の兆しが見え始めていた1999年に、TPS(サード パーソン シューター)の「WINBACK」は北米でも発売され好評を得た。続編の話はその時から出ていたというが、なかなか実現はできなかったと聞く。国が変われば好みも変わる。ゲーム市場を日本とアメリカの両方から見つめる「WINBACK2」プロデューサーの松本秀氏とデイラン・コスコ氏に話をうかがってみた。

「真・三國無双2 猛将伝」ではプロデューサーも務めたコーエー ソフトウェア事業部ソフトウェア2部マネジャー松本秀氏と広報を手がけるデイラン・コスコ氏

―― まず「WINBACK2」発売の経緯を教えてください。

松本 1999年にNINTENDO64で発売された「WINBACK」は、その頃の64市場が厳しかったこともありなかなか苦戦しましたが、それでもプレイステーション 2を含め北米で30万以上を発売しました。それを受けての続編製作が決定したわけです。それでも6年かかってしまいましたが。

―― 本作のコンセプトは?

松本 ゲーム本来の面白さを出したいと思っていました。前作を踏襲しているものも、もちろんあるのですが、現状のガンシューティングの主流が弾をただばらまいて進んでいくのに対して、本作はそのアンチテーゼとして「狙って倒す」という部分を大事にしました。また、チーム制を導入し、1つの事件に対して2人の隊員の視点で楽しめる「リンクシステム」を実装しています。ゲーム内時間は同時進行で自分のとった行動が顕著に分かるというシステムです。

―― 日本とアメリカでは市場的にも差があると思うのですが。

松本 入社した頃の私は、日本で開発したタイトルのローカライズを担当していたので、海外のユーザーの意見をよく耳にしていました。そんな私の個人的考えですが、日本はゲームの面白さを純粋に評価してくれるのに対して、アメリカはパートごとに評価する傾向がありますね。

デイラン ゲームのポジショニングにもよるのですが、ざっくり言うとFPSにもシューティング系、リアル系、ファンタジー系などがあります。今回はリアルな世界をイメージはしているものの、エンターテインメント性を重視しています。ですから、昨今流行のリアル系とはターゲットが若干違うところにある作品なんです。

松本 リアルは突き詰めるとどうしてもゲームにならない部分があるんです。ゲームとして割り切ることができない限りはリアルとは違うなにかを求めないといけない。

―― 現在あるFPSの主流ではないということでしょうか?

デイラン 確かにFPSは売上げ的にも、スポーツゲームと同様に主流と言えるでしょう。しかし、昨今ユーザーからは疲れの声も聞こえています。例えば第2次世界大戦ものがひとつ当たれば、10個も20個も同じようなものが出てくる現状では、それも否めないでしょう。我々は、他社がやっていることと同じことをしても仕方がないので、本作では違う方向からの面白さを追求したつもりです。

―― FPSにも陰りが見えたということですか?

デイラン というよりも、変わったものを受け入れる器が広くなってきているといった印象でしょうか。

―― では、アメリカから見た日本のゲーム市場はどうですか?

デイラン 分かりにくいとは思われているでしょうね。どちらもそうなのですが、アメリカで売れているものを日本に持ってきてもそうそう売れるものではない。コーエーでは「真・三國無双」シリーズなどがアメリカでもヒットしました。ただ、日本では当たり前のことでもアメリカでは疑問になるようで、例えば「前作で虎牢関ステージをクリアしたのに、なぜまた続編でも虎牢関をやらなくてはならないのか?」などがいい例です。同じ話をまたやらないといけないのかと不満が出たわけです。焼き直しにしか見えないと。ですからアメリカではキャラクターなりステージ、ストーリーそのものをがらりと変えないとダメなんです。新しい体験をしたいのがアメリカと言えるでしょう。

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