日本中を“波紋”に巻き込め――「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド共同プロジェクト」記者発表会(2/2 ページ)
荒木氏と羽山氏、スピードワゴンのトークセッション
トークセッションでは原作者の荒木飛呂彦氏と映画監督の羽山淳一氏、そしてお笑いコンビのスピードワゴン(井戸田潤さん、小沢一敬さん)がディープなジョジョ話に華を咲かせる。特に大の荒木作品ファンと公言する小沢さんは、荒木氏に会えたことで舞い上がるほど。次々に作品のことについて質問が飛ぶ。
25周年を迎えることに質問されると荒木氏は「25年はあっという間で、ジョジョも20年書いていると他人の作品みたい。キャラクターも忘れてしまったものも多く、今ここで書いてくれと言われるのが一番困る」と、ファン代表の小沢さんを困らせる。
デビュー当時のことを振り返る。荒木氏が手塚賞を取ると、その賞状をその場で丸めたという真偽のほどは分からない伝説についてや、スピードワゴンのコンビ名の由来にもなったキャラクターに触れ、その言葉使いが気に入ったことと、街のチンピラという設定に憧れたと小沢さんが熱く語る。
キャラクターやスタンドの名前をバンド名や曲名から引用することが多いジョジョでは、好き嫌いではなく、そのキャラクターの能力や性格、生き様に則して命名しているとのこと。とはいえ、ジョナサン・ジョースターのように、ネタを考えていたのがファミレスのジョナサンだったから命名したという勢いのものもあるとか。
荒木氏は“人間賛歌”をテーマに作品を描いているため、悪人だろうが善人だろうが、同じ人間としての生き様を同等に扱いたいという思いがあるのだとか。人間を肯定することで、悪人にも善人にも言い分があり、そんな“人間”を描くことが漫画家として面白いのだと語る。
ジョジョが誕生したのも、肉体の追求に起因する。純粋に果たしてどんな“人間”が一番強いのだろうかという興味からジョジョは生まれたのだそうだ。肉体の追求は特徴的なポージングにも活かされている。荒木作品では独特な擬音とともにありえないポーズをキャラクターに取らせる。現実にはありえない構図を追求してのことだが、「ありえない構図のはずなのに、最近マネしようとする人がいるんですよね」と荒木氏が笑う。
ジョジョは当初から3部構成で考えていたと荒木氏。しかし、第3部「スターダストクルセイダース」の構想を練っているうちに、潜んで待ちかまえるタイプのスタンドが余ってしまい、それを街に根付かせるアイディアを思いつき第4部が誕生したと語る。荒木氏も好きなキャラクターを東方仗助と答えるほど愛着があるようで、その想いが伝わっていたのか小沢さんも第4部「ダイヤモンドは砕けない」がお気に入りとのこと。小沢さん曰く、一番エンターテインメントしているのが第4部だそうだ。しかし、小沢さんが好きなキャラクターは第5部「黄金の風」のジョルノ・ジョバァーナだったりする。
ジョジョの世界では最後の敵が“時間”を操る能力を持つことが多い。そのことに触れると、やはり荒木氏の中では時間を扱うキャラが一番強いと思っており、主人公たちがどうやったら勝てるのか分からないから、必然的にそうなるのだと説明する。事実、第4部の最後の敵となる吉良吉影戦では、荒木氏自身、書いていて吉良には勝てないと思っていたと明かす。荒木氏はシリーズの最初と終わりはある程度想定して書き始めるそうだが、この時ばかりは主人公が負けてしまうと諦めかけたとか。キャラクターやストーリーが作家の意思とは違う動きをすることもあるという例だ。荒木氏が吉良を身近な存在として好きになってしまったことも原因とも。
羽山氏も劇場版を製作するにあたり何度も読み返し、考え抜き、なくなく好きなキャラクターの出番を減らしたりなくしたりすることがつらかったと語る。ファンの目線でファンが見たかったものを形にしたいと思っている羽山氏だが、スピードワゴンが時間の制約上劇場版では登場しないことを明かし、彼の登場を心待ちにしていたファンには心苦しいと謝罪する。なによりも名前の由来とした井戸田さんと小沢さんが残念がる。どうやら声優としての参加も狙っていた様子で、気をつかった荒木氏がワンチェンをオススメする場面も。なにかしらの役での参加を約束していたが、果たしてなんの役になるのかは調整してからとのこと。
トークセッションは小沢さんがファンなだけにさまざまな話に飛ぶ。現在連載中の第7部「スティール・ボール・ラン」で登場する“遺体”が想像どおりの聖人のものであることや、その中でも好きなキャラクターはルーシーであること。荒木氏が第4部の岸辺露伴の元なのかなど、ファンにとっても興味深い話が多かった。
最後にスピードワゴンの小沢さんが「実は正直、ジョジョを読んですごく後悔している」とこぼす。井戸田さんが慌てて「これから映画やゲームが出るのになんてこと言うんだ」と振ると「だってこんな素敵なマンガ読んだら、もう他のマンガ読めなくなるぜ」と締める。
「あまーい!」
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