おサルのボールを転がすのみにあらず。ボリュームたっぷりの痛快パーティーゲーム、Wiiに登場:「スーパーモンキーボール ウキウキパーティー大集合」レビュー(1/2 ページ)
12月2日、Wii本体と同時発売で「スーパーモンキーボール ウキウキパーティー大集合」がセガからリリースされた。家族や友人と遊べるジャンルが注目を集めるWiiタイトルの中でも、かなりオススメできるパーティーゲームだ。年末年始はおサルとたわむれてみる?
栄えあるローンチ2連続!シンプルで歯応えのあるおサルゲーム
Wiiのローンチタイトルとしてセガから「スーパーモンキーボール ウキウキパーティー大集合」が発売された。思い起こせば5年前の2001年9月14日……。この日この世に生まれたニンテンドーゲームキューブのローンチタイトルの中に「スーパーモンキーボール」があった。くしくも任天堂の据え置き型ハード2世代に渡ってローンチタイトルにシリーズ作品が名を連ねたことになる。
いきなりぶっちゃけてしまうと、筆者はこの初代「スーパーモンキーボール」が本当に大好きだ。ゲームキューブが発売された当初から友人たちが集まるたびにわいわいと遊んでいたものだ。「スーパーモンキーボール」はゲームをあまり遊ばない友人にも好評だった。理由はそのシンプルさ、とっつきやすさにある。
ボタンは一切使わず、左スティックを動かし盤上のボール(なぜかおサルが入っている)を転がしゴールに導くだけというシンプルなルール。それでいて微妙なスティックさばきが要求され、ハチャメチャでトリッキーなステージの数々にハラハラドキドキの連続。ちょっとしたミスが命取りで油断をすればゲームオーバー、コンティニューの嵐(それがまた悔しくてムキになってしまうのだ)。はてはマゾゲーかと思わせる後半の鬼神のごとき難易度。そして数は少ないながらも複数のプレーヤーが集まれば盛り上がること間違いなしの珠玉のパーティーゲームたち。こんな楽しくて刺激的な体験があっていいのかと、多少大げさではあるが、そんなことを思いながら、ボールを転がしていたのも5年前のことか……と感慨もひとしおである。
その後、ゲームキューブおよびプレイステーション 2でリリースされた「スーパーモンキーボール2」ももちろんがっつりとプレイした。こちらはメインゲームで4人同時にボールを転がすという仕様がなくなっていたのは残念であったが、それ以外は前作からの正常進化と言ってよいボリュームアップが施されていた。またしても友人たちと遊びほうけた日々を思い出す。そして昨年末に発売された「スーパーモンキーボールDS」も熱烈にプレイ。タッチペンでの「転がす」という操作には全く違和感がなく、今までの操作感とは違うものだったが、すんなりと入り込めた。こちらもかなりハマらせていただいた。
そんな筆者なので、どれもこれも面白そうで悩ましきWiiのローンチタイトルの中で本作を見過ごせるわけがない。元々シンプルな操作でとっつきやすかったシリーズなので、Wiiのコンセプトとピッタリと合致するではないか。そしてWiiリモコンを使った新しいパーティーゲーム群のことを思うと、何だか顔がニヤけてくるではないか。というわけで、Wiiを入手すると同時に、迷わず本作に手をつけてみた筆者である。さて、新世代のおサルたちの進化やいかに…!
おサルは生物として進化を遂げていた… 今度のボールはジャンプする!
本作には大きく分けてメインゲームとパーティーゲームという2種類のモードが存在する。
まずはメインゲームを見てみよう。こちらは制限時間内におサルが入ったボールをゴールに導くのみ、というシリーズを通して変わらないシンプルなルールだ。そしてそのルールでWiiリモコンを使うとなると…これはもうプレイする前から想像できるほどに直感的な操作方法が採用されている。
Wiiリモコンを前に傾ければボールは画面の奥に転がり、手前に引けばボールにブレーキがかかり、左右にひねればひねった方向にボールが転がる。そして本作には新たなアクション“ジャンプ”が追加されている。Aボタンを押す、もしくはBボタンを押すのと同時に上に振り上げると、ボールがジャンプしてくれるのだ。この操作によって、大きな段差を越えることができる。ジャンプを駆使しなくては進めないステージも多く存在するので、うまく使いこなさなくてはならない。
転がすだけの操作にジャンプが追加されてゲーム性が変わってしまったらどうしよう、というオールドファンとしての心配もあったが、プレイしてみるとそれは杞憂だった。シリーズ特有のシンプルさは何ら損なわれていないのだ。Wiiリモコンによる転がしは慣れるまではボールがあっちこっちに行って大変かもしれないが、慣れてくると手の動きとボールの動きがかなりシンクロしてクセになる感覚がある。そしてジャンプによってゲーム性が増し、よりアクションゲームらしくはなっているものの、前作までの面白さはそのまま。もちろん後半に進むに従って難しさが極まり「うわー」と叫びたくなる、あの難易度も健在だ。
また、本作のメインゲームで面白いのは、各おサルごとに個性があるということ。例えば主人公的な存在のアイアイはバランスタイプで最も無難に使いやすく、力持ちのゴンゴンはバンパーにぶつかってもビクともしない代わりに、ジャンプと加速が苦手。新キャラであるドクターとヤンヤンは、それぞれ加速重視、ジャンプ重視、といった具合に特性が違うので、ゴンゴンでは難易度が高いステージがヤンヤンならあっさりクリアできた、というような現象も起こる。ステージの特徴を見極めておサルを選ぶ楽しみが加わったことで、戦略性も増しているといえよう。各ステージの最後に登場するボスモンスターの存在も、弱点を見つけたりする楽しみがあり、アクションと思考のバランスがよい遊びを体感できるはずだ。
ボリュームもアクションも戦略性も文句なくバッチリな本作。ただ残念なのは、メインゲームが1人用になってしまったことだ。「スーパーモンキーボール」では分割画面で4人同時に転がすことができたし、「スーパーモンキーボール2」では交代でプレイすることで複数プレーヤーで遊ぶことができた。本作のメインゲームを複数のプレーヤーで遊ぼうと思ったら、ちょっとした工夫で独自ルールを設ける必要がある。たとえば1回失敗するたびにプレーヤーを替えるとか、ゲームオーバーになるたびにプレーヤーを替えるとか。おそらく人が集まれば自然と独自ルールができるのではないかと思う。それを見越しての1人用なのかもしれないが、初代からのファンとしては分割画面で同時転がしモードも入れてほしかったというのが正直な感想だ。
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