ハムスターの愛くるしい姿や仕草にもうメロメロ「ハムスターと暮らそう」レビュー

くりくりの黒い目に、愛嬌のあるずんぐりとした体付き。短い前肢でひまわりの種を持って食べる姿は、何ともいえずかわいい。「ハムスターと暮らそう」をプレイしていると、ハムスターたちの愛らしい容姿や仕草に思わず顔がほころんでしまう。

» 2007年01月10日 11時00分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

タッチペンでハムスターと触れあう育成シミュレーション

画像 ニンテンドーDSでハムスターの飼育をバーチャルに楽しむ「ハムスターと暮らそう」。発売元のインターチャネル・ホロンは、旧インターチャネルと旧ホロンが2006年8月に合併してできた新会社

 ペット市場では、ハムスターがちょっとしたブームになっているらしい。哺乳動物の中でも小型で、広い飼育スペースを必要としないことから比較的飼いやすい、というのが人気の理由かもしれない。「ペット禁止」と定められている集合住宅でも、ハムスターのような小動物ならたいていは容認されるのだろう。何より、あの愛らしい顔や、小さな体でちょこまかと動き回る様子に魅せられる人も少なくないはず。

 ただ、どんなペットであれ、命あるものを飼育するのは想像以上に大変なこと。ハムスターが“飼いやすい”と言われているのは、犬や猫などに比べれば手間や費用がかからないという意味であって、実際に飼うとなればそれなりの心構えを要するし、苦労することもきっと多いのだろう。それで、予行演習のつもりで「ハムスターと暮らそう」をプレイしてみようと思った。これは、インターチャネル・ホロンがニンテンドーDS向けに発売したソフトで、タイトルが示すとおりハムスターの飼育をテーマとした育成シミュレーションゲーム。3Dで描かれたハムスターの容姿や仕草がリアルで、ハムスターの特徴をよくとらえている。また、タッチペンでハムスターをなでたり、手のひらですくい上げたりと、DSならではの操作でスキンシップが楽しめることも魅力だ。


画像画像 最初に、プレーヤーの名前や性別、誕生日などのプロフィールを登録。自分の部屋のイメージも選べる。そしてゲームが始まると、親戚の子からハムスターを1匹もらうイベントが発生。ちなみにわたしがもらったのは、初心者向けといわれるゴールデン種のメスだった

 このゲームの中で飼育できるハムスターは、ゴールデン、ジャンガリアン、キャンベル、ロボロフスキーの全4種類。わたしは実際にハムスターを飼ったことがないので、このゲームを通じて初めて知ったのだが、同じハムスターでも種類によって外見や大きさに違いがあるほか、性格まで異なるらしい。例えば、ゴールデンはハムスターの中でも体が大きいが(といっても体長18cm程度)、性格はおとなしくて初心者向き。ジャンガリアンは体長や体重がゴールデンの半分程度と小さく、現在もっともポピュラーな種類。キャンベルは外見がジャンガリアンとよく似ているが、少し気の強い面があるらしい。最後にロボロフスキーは4種類の中で一番小さく、目の上にある眉毛のような模様がかわいいが、臆病で警戒心も強いことから上級者向けなのだとか。「ハムスターと暮らそう」では、それぞれ異なる特徴を持ったこの4種類を育てられるが、毛色や柄も豊富で、そのバリエーションは全部で97種類もあるという。

暇を見つけては世話をするも、なかなか懐いてくれない……

 このゲームではリアルタイムと同じに時間が経過するので、電源を切っている間にもえさや水は減っていく。そこで、まず飼い主(プレーヤー)がするべきことは、一日1回を目安にえさや水を与えること。床材もときどき換えてあげる必要がある。これらのえさや床材などの飼育用品は、実際にハムスターを飼育するのに使われるのと同じものが登場する。例えば、主食にはペレットと呼ばれる人工飼料を与え、床材にはポプラチップやパイン(松類)チップといった木くずを使う。えさ入れや給水器もペットショップで売られているものを再現していて、現実に近い飼育環境が作れる。その一方、ケージ内の掃除はかなり簡略化されていて、排泄物を始末するといった作業までは再現していない。このあたりはゲームらしくアレンジされている。

画像画像 手持ちのグッズの中からケージ内に設置したいものを選び、タッチペンでレイアウト欄にスライドするだけ。ハムスターを飼うには、最低でも巣箱、えさ入れ、給水器、トイレの設置が必要。
またハムスターといえば、やっぱりこの回し車が欠かせない。ハムスターが回し車に乗ってせっせと回している様は、何ともほほえましい

 また、巣箱やトイレなど、ケージ内に入れる道具やその配置もプレーヤーが自由にカスタマイズできることも特徴。メニュー画面にケージのレイアウトが表示され、タッチペンで道具をレイアウト上にスライドさせるだけで設置や移動が簡単に行える。ゲームに登場するグッズは実に200種類以上にもおよび、回し車やパイプといった遊具ももちろん用意されている。中には、ハムスターからするとはた迷惑なグッズもありそうだが、何をどのように配置するかを試行錯誤するのが、箱庭作りの感覚にも似ていて楽しい。

 おもしろいのは、ハムスターを喜ばせたり満足させると“スター”が飛び出し、このスターがペットショップでえさや道具などを購入する際の資金になるというところ。最初は、ハムスターを養うためにゲームの中でアルバイトでもさせられるのかと思ったが、ハムスターの満足度をゲーム中でのお金に見立てたのはおもしろいアイデアだと思う。具体的には、ハムスターをなでたり、ひまわりの種などのおやつを与えると、大量のスターを獲得できる(本物のハムスターはなでられることをそれほど好まないらしいが)。また、えさを食べたり水を飲むだけでもスターが出てくるので、何もしないでハムスターを見やるだけでも、少しずつだがスターが貯まっていく。

画像画像 タッチペンを使ってハムスターをなでると、機嫌がよければ大量のスターが飛び出す。貯めたスターを使って、ペットショップでえさや床材などの消耗品や、ケージ、回し車といったグッズを購入できる。新しいハムスターを買うことも可能。最大3つのケージでハムスターを飼えるが、その収容力を超えた分についてはショップに預けることもできる(最大9匹まで)

 本物のハムスターを飼ったことは一度もないが、他のペットがいるのでペットショップには行く機会も多く、そこでハムスターを見かけることがよくある。このゲームに登場するハムスターたちは、ペットショップで見るハムスターと似た動作をしてみせることがあり、そこにリアリティを覚える。前肢を使って顔を洗う仕草をしたり、あくびをしてみたり、鼻先をひくひくさせながら周囲を伺ったりと、ハムスターの動作をよく研究して作ったことを感じさせる。

 「ハムスターと暮らそう」をプレイし始めてからというもの、生活はすっかりハムスター中心で回るようになった。仕事の合間にも、就寝前のベッドでも、病院の待合室でも、DSの電源を入れてはハムスターの世話に明け暮れる毎日。これは、どこにでも持ち歩けるDSならではの利点だ。だが、最初に引き受けたハムスターが、どういうわけかなかなか懐いてくれない。なでても露骨にいやがるし、ひまわりの種を渡そうとしてもちっとも受け取ってくれないし、巣穴にこもってばかりで姿も見せてくれないという有様。環境に不満があるのか、一度えさやりを忘れたことを根に持っているのか、それとも性格の個体差なのか定かでないが、どうしてウチのハムスターはこうも不機嫌なのだろう……。

繁殖イベントや、ワイヤレス通信での交流も楽しい

画像 ゲーム中の登場人物や、他のプレーヤーが飼っているハムスターと一緒に遊ばせたり、お見合いをしてパートナーになることができる

 ゲームでの育成期間が21日を超えると、そのハムスターは“おとな”になり、相性のよいパートナーを見つけることができれば、子供を産ませることもできる。繁殖イベントは、ゲームの登場人物(例えばペットショップの常連客など)からお誘いを受け、その人物が飼っているハムスターとお見合いさせる方法のほかに、DSのワイヤレス通信を使って他のプレーヤーが飼っているハムスターともパートナーになれる。

 今回は周りに同ゲームのプレーヤーがいないため試すことはできなかったが、例えば友人が飼っているハムスターと遊ばせたり、パートナーになって出産させるというのはおもしろい仕掛けだ。なお、本物のハムスターは多産だが、このゲームで産まれる子供のハムスターは1匹と決まっている。また、他のプレーヤーとのお見合いで産まれた子は、メスのハムスターを飼っている側が引き取ることになる。このイベントを経て誕生した子供ハムスターの中には、ショップでは売っていないような非常に珍しい毛色になることもあるとか。

リアルさとゲーム性をバランスよくまとめたところに好感

 「ハムスターと暮らそう」のよいところは、ちょっとした空き時間を見つけてハムスターの世話をしたり、可愛がったりできるという点にある。タッチペンでなでたり、マイクで呼びかけるなど、DSの特性もうまく生かしている。また、ハムスターを飼うことのリアリティとゲーム性を、程よいバランスでまとめたことには好感が持てる。本物のハムスターを飼うのと同じくらいにシビアでは、ゲームとして長くプレイし続けることが苦痛になりかねないし、某アニメのようにハムスターにしゃべらせてしまうと、今度はまるっきりファンタジーになってしまう。子供に遊ばせたとき、生き物を飼うことの難しさをあまり易く受け取られても、命の大切さを軽視することになっても困る。その意味で、この「ハムスターと暮らそう」はちょうどよい塩梅でバランスを整えてあるように感じた。

画像 ペットショップにでかけると店長や店員などと会話ができるが、話す内容にあまり変化がないのは寂しい。一度、ウチのハムスターが「左利き」だといわれたことはあるが……

 少し残念に思われたのは、毎日少しずつプレイしていても、これといった変化や進展が見られず、新しい発見や喜びを感じられる場面が少ないこと。ハムスターの姿形や動作はよく似せてあり、見ていてとてもかわいいけれど、動作の種類はそれほど多くない。ペットショップの店長など、ゲーム中の登場人物が語る内容も変化に乏しく、どちらかといえば無意味なものが多い。ハムスターと触れあい、世話をすることで獲得できるスターのほかに、何かプレーヤーの達成感を刺激するような要素があればと思う。

 もう1つ思ったことは、このゲームを子供にプレイさせると、遅かれ早かれ「本物のハムスターを飼いたい!」と言い出すのではないかということ。ハムスターを飼った経験はなく、これまでも特に興味はなかったわたしが、「ハムスターと暮らそう」をプレイしているうちに、ハムスターの種類や生態などを詳しく知りたいと思うようになった。そう思わせてしまうくらい、このゲームはハムスターを飼うことの魅力を感じさせるものになっている。

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※画面は開発中のものです。


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