次世代ハードでさらなる速さを身につけた15年目のソニック:「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」レビュー(1/4 ページ)
2006年は、セガを代表するゲームキャラクター「ソニック」の生誕15周年。そのアニバーサリーイヤーを飾る作品が、プレイステーション 3とXbox360で登場した。次世代ハードという新たなステージで、ソニックはその速さにますます磨きをかけている。
1作目と同じタイトルが原点回帰を匂わせる
1991年にメガドライブで「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が発売されたときは、本当に大きな衝撃を受けた。当時はまだ2Dの横スクロールアクションだったが、目が追いつかないほどのスピード感はかつてゲームで体験したことのなかったもので、すぐさま虜になってしまった。青いハリネズミが主人公というのが奇抜だったし、かわいいけれどどこか小憎らしい雰囲気を持っているところも独創的。それに、一度聴いたら耳から離れなくなるキャッチーでポップなサウンドがまたよかった。
この1作目と、翌1992年に発売した2作目がともに世界的な大ヒットとなったことで、ソニックの人気は確固たるものになり、セガのコーポレートキャラクターに成長。その後もさまざまなハードに関連作品がリリースされてきた。そして、ソニック生誕15周年の節目にあたる2006年末、最新作がプレイステーション 3とXbox360の2機種で同時発売となった。そのタイトルは、ずばり「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」。1991年の1作目と同名だが、その内容は移植でもリメイクでもなく、完全な新作。あえてこの名を冠し、副題も付けなかったところに、今回はソニックの原点に立ち返って、その魅力であるスピード感やかっこよさを改めて追求しているように見える。
今作の注目点は、やはりビジュアル面における進化だろう。HD出力に対応したプレイステーション 3とXbox360で初めてのソニック作品ということで、映像のクオリティがどれくらい向上しているのか、大いに気になるところだ。なお、今回のレビューに使用したのはプレイステーション 3版で、ここに掲載した画面もすべてプレイステーション 3のものだ。
今回はソニックのほかにシャドウとシルバーも登場し、この3人が主人公となってストーリーが進んでいく。シャドウについては過去の作品にも登場しており、2005年末には彼を主人公とした「シャドウ・ザ・ヘッジホッグ」がプレイステーション 2など3機種で発売されているが、シルバーは今回初めて登場する新キャラ。テイルズやエミーなど、おなじみの面々もソニックたちを補佐する“アミーゴ(友だち)キャラ”として登場し、彼らを操作する場面もある。
さらに今回は、人間の少女がヒロインとして登場するが、これもシリーズを通して初めてのこと。1作目の企画段階でも同様のアイデアはあったようだが、それが15年を経て実現されたことになる。ソニックをはじめ、動物をモチーフとしたアニメチックなキャラクターたちの中で、人間の少女がどのように関わっていくのかにも興味が深まる。
3人のヘッジホッグが繰り広げる時空を超えたストーリー
プロローグでは、ソレアナ公国で年に一度開かれる「炎の祭典」から幕を開ける。この国の若き王女エリスが祭壇に炎を灯し、祭りが最高潮を迎えたところに、悪の天才科学者「Dr.エッグマン」が現れ、エリスを連れ去ろうとする。そのねらいは、エリスが鍵を握る“災厄の炎”にあった。
前述のように、今回はソニック、シルバー、シャドウの3人が主役扱い。といっても、プレーヤーが好みのキャラを選んでプレイするというわけではなく、ソニック編、シルバー編、シャドウ編と、3人それぞれに異なるエピソードが用意されている。各エピソードは、その舞台や展開が異なるだけでなく、現在と未来の時間軸も交錯しながら進んでいくが、おもしろいのは、あるキャラのエピソードに別のキャラが登場したり、ときに敵として立ちはだかること。例えば、ソニック編でシルバーと戦う場面があったり、逆にシルバー編にソニックが現れたりする。
エピソード本編は、ソレアナの住人たちから話を聞き、情報を集める「タウンステージ」と、ソニックの醍醐味である広大なステージを高速で駆け回る「アクトステージ」とに分けられ、基本的にはそれらを交互に進めることになる。また、途中にはボスとの戦闘もある。
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