I can fly!! 新時代の空はこんなにも快適「マイクロソフト フライト シミュレータ X」レビュー(1/2 ページ)

長年、航空機マニアを興奮させてきたマイクロソフトの「Flight Simulator」シリーズ。その10作目「Flight Simulator X 日本語版」が、1月26日に発売された。前作の「Flight Simulator 2004 翼の創世記」から2年ぶりの新作は、どう進化したのか。

» 2007年02月05日 14時33分 公開
[磯野正学,ITmedia]

Windows Vista 時代を期待させる?

フライト中は、キーボード操作によって視点を変えられる。外部ウインドウ視点に切り替えれば、機体の外からの視点になり、風景と自機の勇姿を楽しめる

 航空機を操縦する感覚をリアルに追求した「Flight Simulator」シリーズ。パイロット気分を堪能できるフライトシミュレーターというジャンルを代表する作品で、Microsoft Game Studioの看板タイトルでもある。

 フライトシミュレーターは、航空機に乗るゲームといっても、迫りくる敵機を撃ち落とすフライトシューティングとはまったく別物。航空機の操縦を楽しむことに特化したゲームだ。「空を自由に飛びたいな」と、子供の頃から思い続けていながらも、普通の社会人になってしまった人は大勢いると思う。もちろん筆者もその1人だ。そんな大人の願いをかなえてくれる、夢のようなゲームと言える。

 “シミュレータ”という名称から、ゲーム内容はメチャクチャ難しそうな印象を受ける。果たして、操縦知識のまったくない人間でも、本作で航空機を飛ばすことはできるのだろうか。「飛行機は急に止まれない」ぐらいの知識しかない筆者が、さっそく挑戦してみた。

 プレイ開始していきなり驚いたのが、航空機のコックピットの精密さだ。これでもかというほど細かく描かれているうえ、それぞれ機種によって計器など作りがまったく異なる。機体が大きくなるにつれて計器の数が多くなる傾向にあるようだ。これらの計器は、当然ながらゲーム中の機体の状況が反映されるため、計器が増える大型の機体ほど、操縦も難しくなるといえる。

 とはいえ、初心者の筆者には、数々の計器の役割や見方が、さっぱりわからない。しっかり調べてから飛ぶという手もあったのだが、空の旅を待ちきれなかったので、無謀にも計器を無視してフライトを強行した。ところが、意外や意外、計器を見なくても飛べてしまった。大きな旋回や高度の調整は難しいが、基本操作に慣れて余裕が生まれるまでは、計器は無視したほうがよさそうだ。

グライダーのDG Flugzeugbau DG-808S Austrianの機体(写真左)とコックピット(写真右)。エンジンを積んでいない機体のため、計器も少ない。コクピットからでも景色がよく見える

ヘリコプターのBell 206B JetRanger Oil Platform Supply(fictional)。グライダーよりもかなり計器の数が増えている。マウスでカーソルを計器の上に合わせると、なんの計器なのかをポップアップで表示される。フライト前に確認しておくのがよい

商用旅客機のBoeing 737-800 Boeing livery。ハイテクコンピュータを積んでいるため、優れた計器を数多く搭載している。すべてを使いこなすには、かなりの経験が必要となるだろう。これを自在に操れるようになれば、一人前の“フラシムマニア”と言える

グライダーは動力であるエンジンを搭載していない。曳航機(えいこうき)という別の機体にロープで引っぱられて加速するのだ

 機体によって違うのは、コックピットの見た目だけではない。加速の早さや、旋回速度、旋回する際の弧の大きさといった感じで機体の性能が大きく変わるため、操縦のコツも変わってくる。さらには、グライダーという機体はエンジンを積んでいないため、自力で加速をつけられなかったり、ヘリコプターは上空でホバリング(空中停止)できたりと、その特性も違う。

 1機種操作できるようになっても、ほかの機種ではまた別の操縦技術を身につける必要があるので、トータルの遊び応えも十分にあるゲームだろう。

 空を飛んで眼下に見える風景のオブジェクトの細かさに驚いた。だが、発売前のプレスリリースで見られた写真のクォリティには及ばなかった。本作は、1月30日に全世界で発売されるWindows Vistaに標準装備されているDirectX 10に対応した最先端のゲームなのだが、本稿を執筆している段階ではWindows Vistaは発売されておらず、Windows XPのDirectX9.0でプレイしていることが原因だった。ちなみに、本稿の画面写真も、すべてDirectX9.0で撮影したものとなっている。Windows Vistaと、DirectX10対応のグラフィックカードを搭載したマシンでプレイすれば、これよりも数段きれいなグラフィックで楽しめるはずだ。

アフリカのサバンナで、のしのし歩く象。ほかにもどんな動くオブジェクトがあるのか、探してみるのも面白い

 とはいえ、DirectX9.0環境下で遊んでいても、海の波や光の反射、雲などは、前作よりもかなり精密に描かれているのがわかる。また景色は、時間帯や季節によってさまざまに表情を変える。地上では象やキリン、車といった地上を移動するモノが実際に動いているなど、世界が生きていることを実感できる。変化のない場所を飛んでいても味気ないが、本作では地域や時期ごとに新たな発見があるので、飛ぶだけでワクワクするのだ。

初心者向けのミッションモードが新たに搭載された

 本作の主なモードは、自由に空を飛べるフリーフライト、指示された行動をこなしていくミッション、ほかのプレイヤーと遊ぶマルチプレイヤーの3つだ。なかでもミッションは、与えられた目的をこなしていくゲームモードで、管制官や副パイロットなどから、さまざまなアドバイスが得られる。本シリーズの初心者でも、助言があるだけ遊びやすいゲームモードといえるだろう。操縦のイロハを知らない筆者は、管制官が指導してくれるミッションから始めてみた。ちなみにミッションは4つの難易度に分かれており、EASYが20個、NORMALが14個、HARDが10個、EXPERTが7個の、計51ミッションが用意されている。かなりのボリュームだ。

 ミッション内容は、航空機の操縦やコックピットの見方などの基本を教えてくれるチュートリアルのほか、制限時間内に人物を送り届けるものや、航空ショーで演技するものなど、様々だ。変わったシチュエーションを楽しめるのも、ミッションの魅力といえよう。

 すべてのミッションが最初から選べるようになっているので、自分の腕と相談して好きなものを選べるのもポイント。フライトシミュレーターに慣れたプレイヤーならば、わずらわしいチュートリアルレベルをスキップし、いきなり先のミッションを楽しむこともできる。

 ミッション中は、管制官がミッションの内容と操縦方法を無線でアドバイスしてくれるので、指示どおりに動かせば、ミッションを達成できる。ちなみに管制官の声を演じるのは、堀内賢雄氏や池田秀一氏といった、有名どころの声優たちだ。もちろん、速度を出しすぎたり、高度を下げすぎたりすると、怒られてしまう。また、ときおり無線に飛び込んでくるATC(航空交通管制)の声は、現役パイロットや管制官経験のある人が声を当てている、いわば“本物の声”のため、その臨場感はバツグンだ。テレビドラマをほうふつとさせるシチュエーションに、筆者もついニヤリとしてしまう。

フライト前のブリーフィングで、事前に目的と操作方法をチェックしておける。これを覚えておけば、操縦している間にあわてなくてすむのだ

 ちなみにミッションによっては、クリアまでに1時間ほどかかってしまうものもある。ミッションに失敗すると最初からやり直しとなってしまうため、ミッション終盤で失敗したときほど、そのガックリ感は大きい。

 ただし、救済策(?)として、ミッション中に進行状況をセーブすることが可能だ。長時間のミッションでも、途中でセーブしておけば、仮に失敗してもその場面から再開できるのは大変ありがたいだろう。筆者もこの機能には大変お世話になった。もしセーブが行えなかったら、挫折していたかもしれない。

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