タッチペンでの演技が新鮮――フィギュアスケートを題材にしたゲーム:「くるくる◇プリンセス〜フィギュアできらきら☆氷のエンジェル」レビュー(1/2 ページ)
スパイクの「くるくる◇プリンセス」は、中学2年生の女の子がフィギュアスケート界の頂点を目指すという少女マンガチックなゲーム。題材の目新しさもさることながら、ニンテンドーDSのタッチスクリーンを使って演技をするのがユニークで、トリプルアクセルはもちろん、なんと前人未到のクワドラプル(4回転)アクセルまで繰り出せる。
ありそうでなかったフィギュアスケートのゲームがニンテンドーDSで登場
安藤美姫選手が金メダルを取った「世界フィギュアスケート選手権大会 2007東京」は記憶に新しいが、こういうフィギュアスケートの競技をTVで観ていると、「自分もこんなふうに華麗に滑れたらなあ」といつも思う。どだい無理なのは分かっているけど、ゲームだったらちょっとぐらいはフィギュアスケーターの気分が味わえるかもしれない。よくよく考えてみると、フィギュアスケートのゲームってあまり覚えがない。過去に、ウィンタースポーツを集めたゲームでフィギュアスケートが含まれているものはあったし、携帯電話用のアプリにもあるらしいのだが、家庭用ゲーム機でフィギュアスケートだけを題材に作られたゲームというのは、もしかするとこれが初めてではないか。
それが、スパイクからニンテンドーDS向けに発売された「くるくる◇プリンセス〜フィギュアできらきら☆氷のエンジェル」(以下、くるくる◇プリンセス)だ。このタイトルといい、少女マンガ風のビジュアルといい、おっさんゲーマーがプレイするにはどうにも気恥ずかしくなるような作品ではあるが、大好きなフィギュアスケートがテーマとあれば、これはプレイするしかあるまい……。
このゲームで特徴的なのは、ニンテンドーDSというハードの特性を活かして、ジャンプやスピンといったフィギュアスケートならではの技をタッチペンで繰り出せるというところ。女子では跳べる選手が数えるほどしかいないというトリプルアクセルをはじめ、荒川静香選手がトリノ五輪で披露したことですっかり有名になったスパイラル「イナバウアー」など、技の種類も豊富。また、演技の際に使用する楽曲や、着用する衣装を自由に選べるというのも、フィギュアスケートファンにはうれしい仕掛けだ。
ゲーム内容は、中学2年生の女の子がコーチの指導の元、スケートの練習に励み、フィギュアスケート界の頂点を極めるというもの。初めは、町内大会や市民大会などのローカルな試合に臨み、そこで上位入賞を果たすとよりハイレベルな大会に進むことができるようになり、最終的に世界選手権での優勝を目指すというサクセスストーリー仕立てになっている。ストーリーの展開は基本的に一本道で、プレーヤーの選択による分岐はないが、主人公に設定できる女の子を3人のキャラクターから選ぶことができ、それによって会話内容などが若干違ってくる。
お寿司の早食いで体力アップなど、ちょっと奇抜なキャラ育成
ゲームは週単位で進行し、週ごとにコーチから2つの目標が与えられる。例えば、ゲーム開始直後の4月第1週は、「体力を1レベル上げる」ことと「ダブルトゥループをマスターする」ことが課題。これを繰り返して次の大会へ向けて主人公を鍛えていくのだが、その訓練方法が何ともおもしろい。
主人公には、体力、運動、芸術という3つのパラメータが設定されていて、ミニゲームに取り組むことで各パラメータをアップさせることができる。例えば、「おすしトレーニング」では、回転寿司のレーンを流れてくるお寿司をタッチペンでスライドして、なるべく多くのお寿司を食べさせることができれば体力が1レベルアップするといった具合。ほかにも、スケートリンクにいるじゃまなペンギンをカーリングのストーンではじき飛ばす「ペンギンアタック」(運動値アップ)や、お手本と同じようにケーキを飾っていく「デコレーション」(芸術値アップ)など、フィギュアスケートとはおよそ関係ないと思われるようなミニゲームばかり。ただ、低年齢層を想定したゲームだけあって、ミニゲームの難易度はかなり低い。
目標達成のほかに、町に出て買い物をしたり、級友などと会話をするといった要素もある。買い物では、月々のお小遣いやオーナーから支給される強化資金を元手に、大会で着る衣装やアクセサリーを購入したり、CDショップで演技中に流す曲を買うことができる。衣装やアクセサリーの中には、現実の競技では絶対に着用が許されないようなものもあるが、そこはゲームならではのお遊びといった感じ。
大会が行われる週以外は、こうした訓練やサブキャラとの会話で進めていくのだが、各所を総当たりで回る必要があるのと、毎週の行動がパターン化してしまうために、どうしても作業感を強いられてしまうのが残念なところ……。プレーヤーが選んだ行動によってその後の展開が変わるなど、何らかの変化がほしい。
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