会場の熱気や選手の気迫さえもリアルに感じ取れる次世代のテニスゲーム「Power Smash 3」レビュー(2/3 ページ)

» 2007年04月06日 17時08分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

オリジナルの選手を育てる「ワールドツアー」は、やめ時を見失うおもしろさ

 ゲームモードは4つあって、中でもおもしろくてなかなかやめられないのが「ワールドツアー」だ。これは前作にもあったモードで、プレーヤーの分身となるオリジナルの選手をエディットし、トレーニングで能力を鍛えながら世界各地の大会を転戦するというもの。前作では男子と女子の選手を1人ずつ作成し、その両選手を鍛えていくという内容だったが、今作から男子か女子のどちらか一人だけを作成・育成するというものに変わった。

 また、ウェアやラケットなどのアイテムの入手方法も前作とは異なる。「2」では、大会で獲得した賞金を元手にショップで購入する方式だったのに対し、今回の「3」では、各大会での入賞や、ゲーム中に登場する実在選手との交流など、ある特定の条件を満たすことでアイテムを獲得できる。

画像 まず初めに、オリジナルの選手をエディットする。肌の色や髪型などを選べるほか、今回から目・鼻・口の形をモーフィングで調整できるようになった。身長と体重も数値で設定でき、それに応じて体型も変わる
画像 利き腕を選べたり、バックハンドも片腕打ちと両腕打ちから選べるなど、モーションを細かく設定できるところがよい

 このモードの目標は至って明快で、「世界ランク1位を目指す」というもの。最初は300位からスタートし、各地の大会で勝ち上がるたびにランクが上がっていくという仕組み。そのランクが上がるに従って、よりレベルの高い大会にも参戦でき、やがては四大大会にも出場できるようになる。当然、ランクの上位が参加する大会は強豪ばかりなので、そう簡単には勝てない。そこで、トレーニングを繰り返しながらサーブやストロークなどの能力値を高めていく必要がある。このトレーニングはミニゲーム形式になっているのだが、種類が多く、どれも創意工夫にあふれていて実に楽しい。テニスを題材に、よくこれだけ多種多様なミニゲームを考えつくものだ。

画像 ボウリングの要領で、サーブでピンを倒すという「PIN CRUSHER」。点数の算出方法もボウリングと同じで、5フレームで所定の点数を上回るとクリア
画像 こちらは、ストロークのレベルアップに最適な「DRUM TOPPLE」。強いショットを当てて、制限時間内に赤いドラム缶をすべて地面に落とせばクリアとなる

画像 取り組んだトレーニングの種類と、その成否によって各能力値がアップする。失敗した場合でも能力が少しだけ上がる
画像 ミニゲームによるトレーニングとは別に、「テニスアカデミー」という練習施設もある。ここでは、例えば「サーブから4本以内にポイントを取れ」とか「ラリーを10回続けろ」など、より実践的なトレーニングに取り組むことができる

 このモードは週単位で進行し、トレーニングに励むなり、大会に参加するごとに次の週に移る。その繰り返しなので、ともすると単調で作業的な印象を与えかねないが、実際にプレイしてみると途中でだれることもなく、時間が経つのを忘れて延々と遊んでしまう魅力がある。トレーニングの積み重ねで自分のキャラクターが成長し、その成果が本番の試合で発揮されるところに充実感を覚えるからだ。

 それに、実在のトップランカーたちとの交流も楽しい。大会で対戦相手やダブルスのパートナーになったり、トレーニングにたまたま居合わせるなどして接点ができると、後日、メールで練習試合やトレーニングに誘われることがある。知り合って間もなくはどこかよそよそしく、素っ気ない態度なのだが、誘いに応えることで親交が深まり、またプレーヤーのランクが上がるにつれて実力を認められ、やがては「忙しいとは思ったが、どうしても君とプレイしたかったんだ」なんてうれしいことも言ってくれるようになる。ウェアやラケットをプレゼントされることもあって、それがまた励みになる。ゲームの中だけのファンタジーとはいえ、まるで自分が世界ランカーの仲間入りをしたような気分に浸れるのがいい。

画像 メールで練習試合に誘われることがあり、それに応じるとその選手との親交が深まる。練習試合は非公式なので、勝ってもランクは上がらないが、各能力値のパラメーターは少し上昇する
画像 ダブルスのパートナーに指名することでも、親密度がアップする。フェデラーとダブルスで組み、勝利を喜び合う2人。でも、実のところはフェデラーが1人でがんばっていて、わたしは足手まといだったんじゃないかという気が……

画像 初めのうちは素っ気ない感じだが、親しくなると表情や会話内容が変わってくる
画像 トレーニングを行ったり大会に参加するとスタミナが減るので、適度な休養も必要。スタミナが少ない状態では試合中に動きが悪くなったり、無理をすると怪我などのアクシデントで数週間行動不能になることも……

 もう1つおもしろいのは、オリジナル選手の育て方によってプレイスタイルが変化することだ。例えば、フェデラーはオールラウンドタイプだし、ロディックは高速サーブを得意とするなど、それぞれに自分なりのプレイスタイルを持っているが、オリジナルの選手もトレーニングの取り組み方や練習相手の選び方などによって、理想とするプレイスタイルを確立できる。具体的には、どのパラメータを重点的に上げるかによって、最終的なプレイスタイルが決まるようだ。わたしの場合、トレーニングの「DRUM TOPPLE」がおもしろくて、こればかり何度もプレイしていたら「Powerful Strokes」になった。

画像 ストロークとボレーのパラメータはフォアとバックに分かれているので、例えばバックストロークが得意な「Strong Backhand」というプレイスタイルを確立することもできる

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