リアルになっただけじゃない。野球の醍醐味を見事に再現した「熱スタ2007」:「プロ野球 熱スタ2007」レビュー(2/2 ページ)
貧弱助っ人サウスポー、ジェラルドのNPBライフ
では、ここでジェラルドを実際に入団させて戦ってみた結果をご紹介しよう。ここでは「ジンセイ」モードを使うことにする。このモードはチーム全員をプレーヤーが操作するのではなく、選んだ一選手の視点で進む。投手なら自分が投げる時だけ、野手なら自分の打席が来た時だけプレーヤーが操作する。選手視点であるために、自分の役割を明確に自覚できるのが特徴だ。自分が打たれても味方の反撃で救われたり、逆に勝ちゲームを自分のミスで落としてしまったり。そうした出来事がチームメイトとの一体感を実感させてくれる。あまり能力の高くないジェラルドがどこまで通じるかを見るには最適のモードだろう。
まず1年目。所属球団には広島東洋カープを選ぶ。年俸は3000万円。「ジンセイ」ではチームメイトとの競争があって、これに勝たないと、おいしい見せ場では使ってもらえない。中継ぎのジェラルドの初期ランクは「ユーティリティ」。いつでもどこでも行け、と言われたら投げればならない便利屋投手だ。とりあえず、地道な努力を続けながら、ランクを1段階上の「中継ぎ」に昇格させる。起用法はユーティリティ時代とそれほど変わらないが、負け試合での登板が減って、勝ち試合の一端を担えるようになってくる。とはいえ、能力が能力だけに初年度はかなり苦労し、パッとしない成績でシーズン終了。チームも5位に低迷した。
再起を期した2年目。この年はチームが開幕7連勝という好スタートを切った。ジェラルドも多少能力が上がって変化球のキレが増したため、防御率が上昇。いい感じだったのだが、チームは交流戦でつまずき、前半戦が終わった頃には4位に後退。しかし、その後巻き返し、残り3試合の時点で東京ヤクルトスワローズと同率3位につけた。ジェラルドも頑張ってシーズン終盤にはランクをもう1段階上げて「リリーフエース」へ昇格。実際のプロ野球では「セットアッパー」と呼ばれる地位で、勝ち試合の終盤、7〜8回あたりで登板し、クローザーへ繋ぐという、勝利の方程式の一環を担う役割だ。だいぶサマになるポジションに上がってきた。そして最終3連戦、地元・広島市民球場でヤクルトとの直接対決。勝ち越せばクライマックスシリーズ出場という漫画みたいな展開となったが、惜しくもチームは最初の2戦を立て続けに落とし、あっさり4位が決定した。
3年目。セットアッパーに定着したジェラルドは、防御率1点台の活躍を続け、初めてのオールスターにも出場。8月には9試合に登板して自責点0という活躍を見せ、月間MVPも手にした。チームの勢いも落ちず、シーズン2位でクライマックスシリーズに進出。1stステージでは中日ドラゴンズ、2ndステージでは読売ジャイアンツを破って日本シリーズ出場を決めた。
日本シリーズの相手は、福岡ソフトバンクホークス。日本一への期待がかかったが、先発投手陣が早い回で打ち込まれる試合が続いてしまい、あっさり4連敗で敗退。ジェラルドの登板機会もほとんどなく、寂しいシリーズとなってしまった。
こうして3年目のシーズンは終わった。日本シリーズは無念だったが、ジェラルドは最優秀中継ぎ投手、ベストナイン、MVPの栄誉を手にし、年俸は大台に乗って1億8500万円に跳ね上がった。4年目の目標はクローザーへの昇格と日本一。ジェラルドのNPBライフはまだまだ続く。
リアルになっても生き続ける“ファミスタ”スピリット
「プロ野球 熱スタ2007」は、1986年に発売された「ファミリースタジアム」、通称“ファミスタ”の流れをくむ作品だ。このシリーズが20年以上に渡るロングセラーになっているのは、何よりもそのシンプルな操作性にあると言えるだろう。手軽に野球の楽しさが味わえることが、ファンの支持に繋がっているのだ。そしてプロ野球 熱スタ2007では、その手軽さを損なわないまま、投手と打者の駆け引きを実感させてくれる、より本質的な面白さが加えられた。グラフィックが綺麗になっただけではなく、伝統の実績に裏付けされた、緻密なバランス調整が施されているのだ。野球ファンならば、その見事なバランスから伝わってくるリアリティを思う存分楽しめることだろう。そして、その楽しみを味わったら、今度はできるだけ多くの人と共有していただきたい。野球というスポーツの魅力、そして“ファミスタ”の魅力は、年齢や性別を超えて、万人に共通するエンターテイメント性があるのだから。
プロ野球 熱スタ2007 | |
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発売日 | 発売中 |
価格(税込) | 7140円 |
ジャンル | リアルプロ野球ゲーム |
(社)日本野球機構承認 フランチャイズ13球場公認
NPB BISプロ野球公式記録使用 ABF/JPBOC※ゲーム内で再現された球場内看板は、 2006年プロ野球ペナントシーズン中のデータを基に制作しています。
解説:栗山英樹氏・大塚光二氏
実況:節丸裕一アナウンサー
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