新会社発足以来の最高益――スクウェア・エニックス決算発表会

スクウェア・エニックスは5月23日に都内の会場で決算発表会を開催した。アミューズメント事業部門を除いて好調で、連結決算としては売上高が1634億円、経常利益は262億円で、経常利益は新会社発足以来の最高益となった。

» 2007年05月23日 21時05分 公開
[今藤弘一,ITmedia]

ゲーム事業は海外分が増加

画像 スクウェア・エニックス代表取締役社長 和田洋一氏

 好調な成績を残した要因として、スクウェア・エニックスの和田洋一代表取締役社長は「海外で『ファイナルファンタジーXII』が好調に推移したこと、国内ではニンテンドーDS向けの『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』や『ファイナルファンタジーIII』が好評を得て、一定規模まで売り上げることができたこと」を挙げる。結果として、経常利益は新会社発足以来の最高益となったとのこと。なお2007年3月期の決算では、不採算店舗の閉鎖や人員調整など、タイトー関連の処理に伴う損益を出しているが、これは「タイトーを含めて次に向けてのスタートをするためにやらなければならない処理をすませた」(和田氏)。


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 ゲーム事業については、全世界合計で1693万本の販売本数となったが、国内は721万本であるのに対して、北米で615万本、欧州で350万本と、日本国内の販売本数を海外の売上本数が上回った。これまでは海外が半分よりちょっと多いくらいだったのが、超えたのは初めてだそうだ。これについて和田氏は「大型のタイトルが売れたこともあるが、自社パブリッシュに切り替えたことも大きい。これまでのように販売許諾で売っていたときと、自社タイトルを実際に売るのと手はテンションが違う。これは我々のゲームソフトを海外で売るときの重要なポイント」と述べる。

 オンラインゲーム事業についてはほとんどが「ファイナルファンタジーXI」。今後は大型タイトルを2、3タイトル用意しているとのことで「今年は無理でも来年、再来年が楽しみ」(和田氏)。モバイル事業は、前年度の先行投資が利益を生み出さなかった状況から立ち直り「巡航速度に入った」(和田氏)という。

500億の利益を出せる会社に

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 同社の今後について和田氏は、2010年3月期には500億円の経常利益を出せる会社にしたいと語る。「かつてはエニックスとスクウェアを合わせて百数十億の利益を出せる会社だった。これをいかに2〜300億の利益を出せるまでに固めるかが合併から3〜4年の第1ステップ。これから3、4年で500億にしていくというのが第2ステップだ」(和田氏)。株価の時価総額も、新会社発足時に千数百億だったのが三千数百億になり、期待値には応えられた、と和田氏。「ただし、ここから利益を500億にするというビジョンはまだ認められていない。確固たる柱も見えていないので、そこをどうするかというのが我々の課題であり、一刻も早くお見せするのが経営課題だ」(和田氏)。

 ゲーム事業については、以前は150〜200億円程度の規模だったのが、120〜150億円程度に落ちているとのこと。これは他社も同様だと和田氏は語るが、どこで突破するかは海外が重要であると強調する。「日本のマーケットは、携帯ゲーム機と据え置き機を合わせても、世界のマーケットの15〜20%の規模でしかない。この中だけを考えていて、残りの80%へのアプローチが弱い。ただしこれは4〜5倍のマーケットがあるということ」(和田氏)。海外へのアプローチについては、その国のテイストに合うか合わないかといったことが問題にされるが、それよりも重要なのは、いかに同時にリリースするか、リテーラーにどのように働きかけるかという「地味だがベタな部分が重要」(和田氏)。また開発体制についても、いかにさまざまなプラットフォームへ対応させるかといった共通基盤開発に取り組んでいくとのことだ。

 最後に質問に答える形で和田氏は、「ドラゴンクエスト」シリーズについて、「『ドラゴンクエスト9』を含めて、全般の開発は好調」としながら、ニンテンドーDSでのリリースとなる同作については「価格よりも売上本数を狙いに行く」とのこと。「タイトルの価格については、いい意味でも悪い意味でも『だいたいこれくらいの価格だろう』というコンセンサスができあがってくる。今回はニンテンドーDSで発売するということもあり、ひょっとしたらひょっとするため本数が全然異なる可能性もある。その可能性を追求するために、価格については状況を見ながら柔軟に対応するべきだ」(和田氏)。

 ゲーム市場全体の動きについては、トレンドとして今後は数%〜数十%の割合で増えると思う、と和田氏。「ただしプラットフォームや地域、ユーザー層などが多様化して増えていくので、“マルチカルチャー単一、一発勝負”は変えていかなければならない。これは1つのチャレンジ」(和田氏)。

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