あの「FFT」が10年ぶりによみがえる!――楽しいゲームは、いつ遊んでも良いものです:「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」レビュー(2/3 ページ)
“時”も計算する必要がある硬派な戦闘システム
では、本作のキモである戦闘シーンについて解説していこう。本作の戦闘シーンは、斜め上から見下ろす、クォータービュースタイルとなっている。ズームイン&アウトや、90度単位でマップを回転できるため、多少の視点変更は可能だ。ただし、建物の配置や地形によっては若干キャラクターの位置関係がつかみにくく、操作しにくい印象を受けた。どうせなら、もう少し自由に角度を調整できれば……とは思ったが、操作自体にはリアルタイムでの反応が必要ないため、多少の不満はあるものの、慣れるように頭を切り替えることにした。
戦闘における最大の特徴は、地形の高低差に時間の概念も加えた「4Dバトル」と呼ばれるシステムだ。注目すべきなのが、敵味方の行動順を管理するチャージタイム(CT)の存在。待機中の各キャラクターは、「Speed」というパラメータの高さに応じてCTがたまっていき、100になった時点で移動・行動が可能なアクティブターン(AT)となる。
魔法や一部の技にも発動に必要なCTが設定されているため、本作では、入力から発動までにタイムラグが生じる。コマンドの発動前に敵が移動し、目標が射程外に移動してしまう……ということもある。移動後にそのまま待機すれば、若干CTが残るため、行動順が早くなるという要素もあり、常に全力行動をするのが正解ではないのがおもしろい。
このような魅力的な行動順システムになっているのに、メニューから「アクティブターン」のコマンドを使わないと、行動するキャラクターの順番が確認できないのは、不満が残った。このコマンドを知らないうちは、どういう順番で行動するのかわからず、全軍突撃を繰り返していたほどだ。できればユニットにカーソルを合わせるだけで、行動順が分かるようにしてほしかった。
また、マップ上の地形に高さの概念があることにも注目したい。3以上高さが違う地形は乗り越えられないため(アビリティによっては高低差を無視した移動も可能)、行動順を考えて戦略を立てれば、地形を利用して敵を移動できないようにする、という作戦も行えるのだ。高所に弓や魔法を使うキャラクターを配置して一方的に攻撃する、崖から相手を叩き落とすといった、多彩な戦術が使えるのはおもしろい。
ちなみに、戦闘シーンで一度に出撃できるのは5キャラクター前後と、シミュレーションRPGとしては少なめになっている。この総数には自分で操作できないゲストNPCも含むため、毎回必ず出撃する主人公以外には、実質3〜4人のキャラクターしか出せないことになる。このため、レギュラーとして毎回出撃するキャラクターと、永久の控えメンバーの格差ができやすいのが難点だ。
豊富なジョブが用意されているのだから、もう少し出撃できるキャラクターを増やして欲しいところだが、1回の戦闘にかかる時間が30分以上はザラなことを考えると、仕方のない面もある。このあたりは理詰めの戦術シミュレーションというよりは、タクティカルなRPG風の戦闘と割り切ったほうがいいのかもしれない。
本作はかなりの大ボリュームを誇り、かつ筆者はプレイ速度が遅いため、実はこの原稿を書いている時点でやっと中盤に差し掛かったという状況だ。さらに先を知る知り合いのライターに「このあとってどうよ?」と聞いたところ、ゲーム中盤以降は強力なキャラクターが続々と仲間に加わるため、手塩にかけて育てたユニットがどんどん控えにまわってしまうことになるそうだ。弱いけどかわいいシンデレラさんが、ちょっと不憫……。
「FF」といえば、やっぱりジョブとアビリティ!
「FFT」では、ジョブ(職業)というシステムが用意されており、またキャラクター自身のレベルに加えて各ジョブごとのレベルも設定されている。ジョブは、フィールド上にて編成コマンドを使えば、自由にジョブチェンジできるのだが、ジョブチェンジする際は“白魔道士になるためにはアイテム士のレベル2が必要”という感じで、条件を満たさなければならないのだ。
初期メンバーはすべて見習い戦士かアイテム士なので、ゲストに比べて弱くて困っていたが、ジョブチェンジで白魔道士と弓使いを作ることで、少し楽になった。
ジョブには相手の装備を破壊して弱体化する「戦技」を持つナイトや、「ファイア」、「サンダー」といった魔法を使う「黒魔道士」など、「FF」シリーズでおなじみのジョブをはじめ20種近くが用意されている。さらにPSP版では、最弱にして最強の「たまねぎ剣士」と、自分のHPを消費して大ダメージを与えられる「暗黒騎士」という、2つのジョブも追加されている。
さらに、敵味方の主要キャラクターには専用ジョブも用意されており、それらのジョブは非常に強力なものになっている。特に敵の専用ジョブには凶悪なアビリティを持つものが多いので、交戦する前に調べるクセを付けないと酷い目にあってしまう。
ジョブを変更することで、固有の能力を身につける以外にも、さまざまなアビリティ(特殊能力や魔法、技)を覚えることが可能だ。アビリティは戦闘で手に入れるジョブポイントを使って獲得するため、欲しいアビリティを手に入れるためには、変更したジョブで繰り返し戦闘に出て、たくさん行動をする必要がある。
アビリティは、行動で実際に使用する「アクションアビリティ」、特定条件で自動的に発動する「リアクションアビリティ」、セットするだけで効果がある「サポートアビリティ」、移動力やジャンプ力を強化する「ムーブアビリティ」という、4系統に分けられる。これらのうち、アクションアビリティを2つ、そのほかを1つずつセット可能になっている仕組みだ。
通常の獲得方法以外にも、戦闘不能になったキャラクターがクリスタルとなって消滅したときに、そのクリスタルを回収することでアビリティを継承することもできる。また、敵からの攻撃を受けることで身につけられるアビリティもあるため、うまく育てていけば非常に強力なキャラクターを作ることも可能だ。
ちなみに筆者は、なぜかジョブを変えたら習得したアビリティも外れてしまうものだと勝手に思い込み、アイテム士を大事に大事に育てていた。実際は、覚えたアビリティはジョブを変えても自由にセットしなおせるので、必要なアビリティを身につけたらメインのジョブにジョブチェンジ、という流れが有効。特に、ムーブアビリティを優先的に覚えていくと、かなり戦いやすくなる。
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